せきぜんそく
咳喘息
長引く咳を唯一の症状とする喘息の一種。それまで喘息と診断されていなくても、咳喘息を発症することがある
4人の医師がチェック 32回の改訂 最終更新: 2024.05.22

咳喘息の症状は咳以外にある?

咳喘息(せきぜんそく)の患者さんは、典型的には乾いた咳がしつこく出ます。ここでは咳喘息における症状の特徴や、似たような症状が出る病気に関して詳しく解説していきます。

1. 咳喘息で見られる咳の特徴

咳喘息になると咳が出ます。その咳には特徴があるので、次の段落から説明していきます。

咳が止まらない

咳喘息ではあまり痰(たん)の絡まない咳がしつこく出るのが特徴です。痰がないことを「乾いた」咳とも言います。数週間から数ヶ月以上の単位で咳が続くことが多いです。市販薬などの一般的な咳止めではあまり効果がないことが多く、治療には気管支喘息の治療薬である気管支拡張薬が有効です。

咳がすぐに出てしまう

咳喘息では空気の通り道である気道が過敏になっており、ちょっとした刺激で咳発作を起こしてしまいます。具体的には、冷気・暖気、喫煙(受動喫煙も含む)、会話、運動、飲酒、精神的な緊張などが発作の引き金となりえます。

咳が夜に多い

本格的な気管支喘息でもそうなのですが、咳喘息では夜に寝付く時や深夜、明け方にかけて咳発作が出やすいのが特徴です。ただし、例えば日中に受動喫煙が多い方では、受動喫煙の影響によって昼の方が咳が出やすい場合などもあります。このように、咳の出る時間帯には個人差があります。

参考文献:喘息予防・管理ガイドライン2015(日本アレルギー学会)

2. 咳はどうして出るのか?

正常な肺は、木の枝のように細かく分かれる気管支と、枝の先にあたる位置にある袋状の肺胞(はいほう)からできています。1個1個の肺胞は目に見えない大きさです。このとても小さな肺胞がブドウの房のように集まって肺という臓器ができています。

図:肺の構造。 図:肺胞の構造。

咳喘息は、空気の通り道である気管支でしつこい炎症が起こっている状態です。炎症が強いときには気管支が狭くなってしまうことにより咳が出てきます。「炎症がなぜ起きてしまうか」という点に関してはさまざまな原因があるため、一口に咳喘息といっても、全てが同じ原因ではありません。

炎症が何年も続くうちに、気管支は破壊されたり分厚くなったりしていきます。これを気道リモデリングといいます。気道リモデリングが進むと、薬を使ってもなかなか気管支が拡がらないようになります。リモデリングが起こると、咳喘息がなかなか治らなかったり、気管支喘息へと進行したりするので、適切な時期に適切な治療をしていくことが大事になります。

咳喘息はアレルギーの一種であるという話は、厳密には正確な表現ではありません。咳喘息がアレルギー反応と深い関係にあることは間違いありませんが、咳喘息を単なるアレルギーの一種であると言い切ることは難しいです。なんだか難しい話になったので、少し説明を加えます。

咳喘息には様々な分類がありますが、環境中の物質に対するアレルギー反応が検出される「アトピー型」とアレルギーの関与が明確でない「非アトピー型」の2つに分けるという分類が使われることがあります。

「アトピー型」では、ダニに対するアレルギーが最も原因になりやすいです。カーペットなどはダニの温床になりやすいため注意が必要です。また、ネコ、イヌ、ハムスターなどの動物やカビ類、ゴキブリ等もアトピー型の原因になりやすいです。屋外のアレルギー物質としてはスギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどの花粉などもありますが、屋内のアレルギー物質よりは咳喘息との関連は薄いと考えられます。

一方、「非アトピー型」はアレルギーの原因となる物質がはっきりとしていません。しかし、何らかのアレルギーが関与していると考えれていますが、現在のところ詳細は分かっていません。

3. 持続期間による咳の分類

咳は出始めてからどれくらいの期間が経っているかによって以下のように分類します。

  • 急性咳嗽(きゅうせいがいそう):3週間未満
  • 遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう):3週間以上8週間未満
  • 慢性咳嗽(まんせいがいそう):8週間以上

急性咳嗽はほとんどがウイルスなどの感染症による咳で、慢性咳嗽は多くが感染症以外による咳です。そのため、咳の持続期間を分類することで咳の原因が分かってきます。(ただし、慢性咳嗽の中にも例えば肺結核などの感染症が含まれます。)

遷延性咳嗽は、急性咳嗽と慢性咳嗽の間の期間であり、感染症も非感染症もどちらも十分可能性があります。

咳喘息は慢性咳嗽の原因として非常に多く、慢性咳嗽全体の3割から5割ほどを占めるとされています。

参考文献
Respirology. 2005 ; 10 : 201-7.
Pulm Pharmacol Ther. 2007 ; 20 : 383-7.
日本呼吸器学会, 咳嗽に関するガイドライン第2版

4. 咳が長引く原因は何なのか?

いわゆる風邪急性上気道炎)のような一時的な感染症であれば、自身の免疫力で自然に治癒することがほとんどですから、咳も自然に治まってきます。しかし咳喘息は、空気の通り道である気道が感染によらない炎症を起こしている状態であり、自然に良くなるものとは限りません。目安として3週間以上咳が続く場合には医療機関を受診として、咳喘息を始めとした咳の原因を調べておくことをお勧めします。

5. 咳以外の症状はあるのか?鼻水、痰、熱、吐き気など

咳喘息の特徴的な症状は以下の通りです。

  • 痰の絡まない咳がしつこく持続する(数週間から数ヶ月単位以上の期間)
  • 喘鳴ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーと鳴ること)は伴わない
  • 息が苦しくなることは基本的に無い

基本的には痰の絡まないしつこい咳が咳喘息の特徴です。たとえば咳喘息の患者さんが一般的な風邪急性上気道炎)をひけば、鼻水が出たり、痰が出たり、熱が出たりします。ほかにもいわゆる盲腸(急性虫垂炎)にかかれば吐き気も出るでしょう。しかし、咳喘息によって出てくる症状は咳のみと言えます。

6. 咳喘息と似たような症状が出る病気

咳喘息は、乾いた咳がしつこく出るのが唯一と言ってよい症状です。そのため、咳が出る、という点においては非常に多くの病気と似ている症状が出ると言えます。以下では、咳喘息との区別が問題になる代表的な病気に関してそれぞれ解説していきます。

参考文献:
日本呼吸器学会, 咳嗽に関するガイドライン第2版

気管支喘息

気管支喘息はアレルギーなどの影響で、空気の通り道である気道が炎症を起こして狭くなることにより、咳や息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーと鳴ること)などが起こる病気です。病気の原因や治療法に関しては咳喘息とほとんど同じと考えてよいでしょう。ただし、咳喘息とちがって、息苦しさや喘鳴を伴うこともあるのが特徴です。気管支喘息に関しては別のページで詳しく解説しています。

COPD(肺気腫)

COPDは主にタバコの煙によって肺がダメージを受けて、呼吸がうまく出来なくなる病気です。COPDは近年、日本人の死亡原因トップ10に毎年ランクインしており、国内で500万人以上の患者がいると推定されています。タバコを吸っている人が咳喘息になると、COPDと区別するために追加の検査が必要になる場合があります。検査としては肺機能検査スパイロメトリー)、レントゲンCTなどの画像検査、呼気一酸化窒素(FeNO)検査、喀痰好酸球検査などが必要に応じて行われます。COPDに関しては別のページで詳しく解説しています。

胃食道逆流症(逆流性食道炎 GERD)

胃食道逆流症は、胃酸が食道の方へ逆流してしまうことにより胸焼けや胸の痛みなどを引き起こす病気です。胃酸が食道にある神経を刺激したり、喉まで胃酸が上がってきて喉を刺激することにより、しつこい咳が症状としてあらわれることがあります。咳しか症状が出ない場合もあり、その場合には咳喘息との区別が問題になります。食後や横になったときに悪化するか、など胃食道逆流症らしい特徴の有無を確認します。胃酸を減らす胃薬を使ってみて症状が良くなるかどうか試してみる治療(診断的治療)も行われます。精密な検査としては胃カメラの検査などがあります。胃食道逆流症に関しては別のページで解説しています。

感染後咳嗽 (PIC: postinfectious cough)

かぜ急性上気道炎)などの感染を起こした後、通常は1週間もすれば咳は治ることが多いですが、体質や感染を起こしたウイルスの種類などによっては3週間以上続くような遷延性咳嗽になる場合もあります。どんどん咳が強くなっている場合や、痰が多く出る場合などでなければ、一般的な咳止めを使ってまずは2週間ほど様子を見てみることが多いです。

感染後咳嗽であれば、感染によって荒れてしまった気道(空気の通り道)が刺激に対して敏感になって咳が出るだけなので、咳がしつこく続いている期間に他の人にうつる心配は基本的にありません。ただし、エチケットとしてマスクはした方が良いでしょう。

また、感染後咳嗽は、「かぜ症状などの後に咳が続いている」という経過から疑って診断をつけていくことが原則なので、2週間ほど様子を見て改善が全くなければそこから画像検査(胸部レントゲン胸部CT)など本格的な検査が行われることも多いです。したがって、感染後咳嗽という診断を一時的につけていても、改善がなければ後に診断が変わることはあります。つまり実は人にうつる病気が隠れている可能性もあるのです。やはり咳が続く場合はマスクの着用が望ましいでしょう。

咳喘息と感染後咳嗽の区別はしばしば難しいですが、咳喘息は風邪などの感染をきっかけとせずに咳が始まることも多く、繰り返しやすく、咳も長引きます。咳喘息かどうかわからない場合には、咳喘息の治療薬を使ってみて咳が治るかどうか確認することもしばしば行われます(診断的治療)。

後鼻漏(こうびろう)

鼻漏とは鼻水が喉に垂れ込んでくることです。これによりしつこい咳がでる場合がよくあります。鼻水が垂れ込んでくる感じを自覚する患者さんもいれば、気づかずにしつこい咳が出るとだけ感じる患者さんもいます。

後鼻漏の原因としては慢性副鼻腔炎蓄膿症)やアレルギー性鼻炎が多いとされています。慢性副鼻腔炎について詳しくは別のページで説明しています。

鼻水や鼻づまりなどの鼻症状がある場合、喉や肺には検査をしても問題が無さそうだが咳症状が続く場合などは後鼻漏による咳の可能性が考慮されます。後鼻漏による咳を診断するためには、耳鼻科でのファイバースコープ検査や顔面のレントゲン、CT検査などが行われます。後鼻漏による咳が心配な場合には耳鼻科の受診をお勧めします。

百日咳

百日咳は名前の通り、非常にしつこく続く咳を特徴とする感染症です。基本的には幼少期に4種混合ワクチンや5種混合ワクチンなどの予防接種を受けているはずですが、それでも百日咳にかかってしまう方は毎年国内で少なくとも数千人はいます。ワクチンを打てば完全に防げるわけではないのです。百日咳は子供も大人もかかる病気です。

百日咳における症状の特徴として、週単位で長引く発作性の咳込みに加えて、息を吸うときにヒューヒュー鳴る、咳込んで吐いてしまう、などがあります。

百日咳は診断が難しい病気です。百日咳にかかっても痰の中から百日咳菌を直接検出できる確率は低いとされています。また、採血でも診断ができるのですが、発症してから4週間くらいは経たないと採血での正確な診断には至りません。

治療としては咳の出始めくらいの時期であれば抗菌薬が有効ですが、咳が長引き始めてから抗菌薬を飲んでもあまり意味がありません。したがって百日咳の診断を正確につけてから抗菌薬を使用するケースは稀なので、症状や流行から百日咳を疑って見切りで抗菌薬を使ってしまうケースが多くなります。抗菌薬以外には、一般的な咳止めなどを使用します。

百日咳に関しては別のページで説明しています。

副鼻腔気管支症候群(SBS: sinobronchial syndrome)

空気の通り道である気道のうち、喉より上、つまり鼻や副鼻腔などを上気道と呼びます。喉より下、つまり気管支や肺を下気道と呼びます。副鼻腔気管支症候群は上気道と下気道の両方においてしつこい炎症が起こる病気です。

副鼻腔気管支症候群ではしつこい咳が出るので咳喘息との区別が問題になることがあります。副鼻腔気管支症候群では鼻炎症状が出たり、痰が多めに出たり、レントゲンやCTなどの画像検査で異常が出ることが多いので、その点で咳喘息とは区別がつくでしょう。

副鼻腔気管支症候群の治療は、マクロライド系抗菌薬と呼ばれる抗菌薬を長期的(少なくとも半年)に使用していくことが軸になります。

アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は息苦しさやゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)を伴わないしつこい咳が特徴の病気です。原因や症状の出方も咳喘息と似ています。咳喘息、アトピー咳嗽とも、しつこい咳の原因として非常に多いので、しばしば区別が問題になります。

医学的に正確には、咳喘息では気道が過敏になることで気道が収縮して咳が出やすくなり、アトピー咳嗽では咳を出せというシグナルが容易に出てしまう、という点で違う病気なのですが、症状や一般的な検査で咳喘息とアトピー咳嗽を区別することは困難です。咳喘息では気管支拡張薬と呼ばれるタイプの治療薬が、アトピー咳嗽では抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプの治療薬が有効なので、治療薬の効き具合によって区別するのが実情です。

非定型肺炎(異型肺炎)

長引く咳の原因として、よくある重要な病気として肺炎も挙げられます。ただし、一般的な肺炎では高熱が出ることが多いですし、痰も出やすく、ひどいと呼吸困難に陥ったり、意識が朦朧(もうろう)としてきます。つまり、肺炎ではだいぶ状態が悪そうに見えることが多く、咳が長引く前に病院を受診される方が多いので、その点で咳喘息と紛らわしいことはあまり多くありません。肺炎に関しては別のページで詳しく説明しています。

しかし、肺炎のうち原因となる菌がマイコプラズマなどの場合には非定型肺炎と言って痰が少なく、自然治癒してしつこい咳が残ることもあるので、咳喘息と紛らわしいことがあります。症状の経過、流行具合、患者さんの年齢などからマイコプラズマ肺炎などの非定型肺炎が疑われる場合には、胸部レントゲンや胸部CTなどの画像検査、喉を拭ったり痰を採取して菌を検出する検査、採血検査などが行われることがあります。マイコプラズマ肺炎に関しても別のページで詳しく説明しています。

心因性咳嗽

心因性咳嗽とは心理的なメカニズムの問題でしつこい咳がでてしまう病気です。自分の身体や症状に注意が向いた時や、精神的なストレスが強くかかった場合などに咳が出やすくなります。また、単純に習慣的な咳払いが多めという場合もあります。心因性咳嗽の場合には咳喘息とは異なり、基本的に寝ている間には咳をしないのが特徴の一つです。

このように書くと仮病のように感じる方もいるかもしれませんが、患者さん自身はわざと咳をしているわけではありません。我慢すれば必ずしも止められるわけでもありません。以前に風邪肺炎を繰り返したことで咳をするのが無意識のうちに習慣化していることも多いです。

心理的な問題で咳をしていると確定診断するのは非常に難しいのですが、心因性咳嗽の診断においては、まずは他の病気が隠れていないか慎重に調べることが最も重要です。一般的な内科治療は難しいのですが、心因性咳嗽で困る場合には、まずは内科で咳の原因となる他の病気が無いかしっかり調べてもらったうえで、心療内科や精神科を受診するのがベストでしょう。

薬剤性咳嗽

薬剤が原因で咳が出やすくなってしまうことを薬剤性咳嗽といいます。薬剤が原因の肺炎である薬剤性肺炎で咳が出やすい場合などとは区別します。薬剤性肺炎に関しては別のページで詳しく説明しています。

薬剤性咳嗽の原因としてはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)と呼ばれるタイプの薬剤によるものが非常に有名です。ACE阻害薬は血圧を下げる薬です。心不全高血圧症の治療にしばしば使用されます。ACE阻害薬による薬剤性咳嗽はタバコを吸わない女性に起きやすいことが分かっており、ACE阻害薬を使用している患者さんの5%から35%に現れたという報告があります。

ACE阻害薬の使用を中止すれば1週間から4週間後には咳が止まることが多いので、咳で困る場合にはまずACE阻害薬を処方している担当医に相談しましょう。国内で使用されているACE阻害薬の例として以下のようなものがあります。

  • カプトプリル(カプトリル®など)
  • エナラプリル(レニベース®など)
  • イミダプリル(タナトリル®など)
  • ペリンドプリル(コバシル®など)
  • テモカプリル(エースコール®など)
  • デラプリル(アデカット®)

ACE阻害薬は他にも多くあるので、心不全高血圧症の治療薬を飲んでいて、咳で困っている場合には飲んでいる薬を担当医に見せるようにしてください。

肺結核

結核(けっかく)は戦前には日本人の死亡原因トップを占めており、現在でも世界で毎年150万人近くの命を奪っている大変有名で危険な感染症です。近年は栄養状態や衛生状態の改善、治療薬の進歩、健康診断の普及、BCG接種(ハンコ注射)の普及、感染対策の徹底などのおかげで先進国ではだいぶ制御されてきています。しかし、先進国の中では日本は結核が多い国です。国内で毎年約3万人の患者が発生しています。

このようにいまだ結核は身近な病気であり、医療関係者はしつこい咳を見たら、多少なりとも結核の可能性が頭をよぎるものです。

結核はしつこい咳を特徴とし、人から人への感染力も強く、命に関わることもある重大な病気なので、医療関係者としては是非とも正確に診断をつけたい病気です。結核を診断するための検査としては胸部レントゲンや胸部CTなどの画像検査、喀痰検査、採血検査などが一般的です。

しかし、長引く咳を訴えて病院を受診しても、これらの検査がいきなり行われるケースは多くありません。なぜならば、結核は深刻で身近な病気とはいえ、咳喘息などのよくあるしつこい咳を起こす病気と比べると桁違いに人数が少ないからです。しつこい咳が出ている患者さん全員で結核を疑った検査を行うことは非効率的であり、患者さん、医療関係者、医療費などいろいろな方面にとって負担が大き過ぎます。なので、結核を疑った検査が最初から行われるのは、以前に結核にかかって再発が疑われる、最近結核の患者さんと濃厚に接触した、結核にかかりやすいような体力の落ちた状態である、などの場合だけでしょう。そうでなければ、咳喘息などのよくある病気としての治療がうまくいかない場合に、初めて結核に関連した検査が行われることが多いです。

咳喘息と思って治療していたが、なかなかよくならないので詳しく検査をしたら実は結核だったというようなことは残念ながらよくあります。しかし、これは上記のようにある程度は仕方が無いことです。大事なことは、症状があるうちは推奨通りにしっかり医療機関を受診し続けることです。肺結核に関しては別のページで詳しく解説しています。

肺がん

日本人の死亡原因トップである悪性腫瘍がん)のうち、肺がんは死亡率でもトップクラスを占め続けている病気です。こうした重大な病気であることもあり、ある程度以上の年齢の方は、しつこい咳が出る場合に肺がんが頭をよぎるケースもあるかもしれません。医師としても、重大な病気であり、是非とも正確かつなるべく早めに診断をつけたい病気です。

肺がんを診断するための検査としては、まずは胸部レントゲンや胸部CTなどの画像検査、喀痰検査などが一般的です。

しかし、長引く咳を訴えて病院を受診しても、これらの検査がいきなり行われるケースは多くありません。なぜならば、肺がんは深刻で身近な病気とはいえ、咳喘息などのよくあるしつこい咳を起こす病気と比べると桁違いに人数は少ないからです。しつこい咳が出ている患者さん全員で肺がんを疑った検査を行うことは非効率的であり、患者さん、医療関係者、医療費などいろいろな方面にとって負担が大き過ぎます。なので、肺がんを疑った検査が最初から行われるのは、ある程度以上の年齢である、健診をほとんど受けていない、体重減少や血痰など咳以外の症状もある、ヘビースモーカーである、などの場合だけでしょう。そうでなければ、咳喘息などのよくある病気としての治療がうまくいかない場合に、初めて肺がんに関連した検査が行われることが多いです。

咳喘息と思って治療していたが、なかなかよくならないので詳しく検査をしたら実は肺がんだったというようなことは残念ながらありえることです。しかし、これは上記のようにある程度は仕方が無いことです。大事なことは、症状があるうちは推奨通りにしっかり医療機関を受診し続けることです。肺がんに関しては別のページで詳しく解説しています。