あれるぎーせいびえん
アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜でアレルギー反応が生じて、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起きた状態
17人の医師がチェック 135回の改訂 最終更新: 2025.07.09

こんな症状を感じたらアレルギー鼻炎を疑おう

アレルギー性鼻炎の三大症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみです。他にも、目のかゆみ、のどの痛みや、眠気、倦怠感など全身の症状が出ることがあります。症状の特徴や、医療機関に受診をした方がよい症状などについて説明します。

1. アレルギー性鼻炎で起こりやすい症状

アレルギー性鼻炎の主な3つの症状は、くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりです。鼻の粘膜の炎症が強いと、鼻血が出ることもよくあります。アレルギーの症状が出やすい他の場所には、目や喉(のど)があります。目のかゆみや、喉のかゆみ、痛みなどの症状がでることがあります。鼻づまりが強いと、頭痛を起こすこともあります。

それぞれの特徴をみていきましょう。

くしゃみ

アレルギー性鼻炎のくしゃみは発作的に突然出て、なかなか止まりません。

鼻水(鼻汁)

アレルギー性鼻炎の鼻水は、サラサラして水のような鼻水です。

ただしアレルギー性鼻炎の症状が出ている時に風邪を引くと、鼻水はサラサラした水のようなものから、粘り気のある黄色いものに変化することがあります。

鼻づまり

アレルギー性鼻炎では鼻づまりも起こし、鼻での呼吸がしにくくなります。鼻の中は粘膜がひだ状に存在します。アレルゲン(アレルギーの原因物質)が入って、鼻の粘膜でアレルギー反応を起こすと、鼻の粘膜がむくんだり、血流が多くなります。ひだ状の粘膜がむくむことで、空気が通るスペースが狭くなり、鼻づまりを引き起こします。

鼻血(鼻出血:びしゅっけつ)

アレルギー性鼻炎では鼻血が出ることがよくあります。アレルギー性鼻炎をおこしている鼻の粘膜は、炎症をおこしているため傷つきやすくなっています。鼻がかゆい時に、鼻を強くこすると、鼻の粘膜が傷ついて鼻血がでます。鼻水を何度も噛んだり、くしゃみがたくさんでると鼻の粘膜に圧がかかります。鼻の粘膜に圧がかかると、鼻の粘膜の血管が傷ついて鼻血が出ます。

鼻血が出た時はどうすればいい?

鼻血の9割が鼻の入り口付近にあるキーゼルバッハ部位からの出血です。キーゼルバッハ部位は血管が多いため、すぐに鼻血がでます。キーゼルバッハ部位からの出血は、指での圧迫で止血可能です。圧迫の方法は、座った状態で顎を引いて、小鼻を両側から10−20分ほど指で圧迫します。鼻の中にティッシュなどを詰めずに指のみで圧迫します。口に回ってきた血液は、飲み込まずに適宜出してください。血液を飲み込むと後々気持ち悪くなることがあります。この方法で止まらない場合は、出血の勢いが強いか、鼻の奥の動脈からの出血のことがありますので、耳鼻咽喉科のクリニックや病院に受診しましょう。

下記の間違った治療法を行っても、鼻血は止まりません。

  • 鼻の上部の骨の硬いところを圧迫する
  • 首筋をとんとんとたたく
  • 詰め込んだティッシュペーパーを何度も取り替える
  • 仰向けに寝る:出血がのどに回って危険です

目のかゆみ

目のかゆみは主に季節性アレルギー性鼻炎の症状です。季節性アレルギー性鼻炎とは花粉症のように一年の中で特定の季節にだけ症状が出る場合のことです。

季節に関係なく症状が出続けている場合を通年性アレルギー性鼻炎と言います。通年性アレルギー性鼻炎の場合でも稀にアレルゲンの多い場所にいくと目のかゆみの症状が出ます。例えば、掃除をした時などで、ホコリにたくさん触れた後などは、目のかゆみが出ることがあります。

目の症状はかゆみの他にも、ゴロゴロした感じ、なみだ目、目やに、充血などです。

目のかゆみは、目の症状で最も特徴的な症状です。目そのもののかゆみのほか、まぶたや、まぶたの縁の部分がかゆくなることもあります。

ゴロゴロする異物感も高頻度で見られます。軽いかゆみを異物感と認識する場合と、まぶたの裏の隆起によって感じる場合があります。アレルギーの炎症が強くなると、まぶたの裏に好酸球などの炎症細胞が集まって、隆起(盛り上がった部分)ができます。これが、眼球の表面にあたって異物感を感じます。

喉の痛み

喉の痛みは花粉症のような季節性アレルギー性鼻炎に多い症状です。ただし、通年性アレルギー性鼻炎の場合でも、ホコリなどのアレルゲンを多く吸い込んだ場合には喉の痛みがでることがあります。

喉の痛みや違和感は、喉頭アレルギーと考えられています。喉頭アレルギーは、鼻や目でアレルゲンに対して起こるアレルギーと同様のしくみで、喉頭でアレルギーが起こるものです。喉頭アレルギーの二大症状は、のどの違和感と、しつこい咳です。のどの違和感が強くなると痛みとして感じることもあります。

アレルギー性鼻炎の症状が強くなると、鼻づまりによって鼻呼吸ができず、口呼吸になるため、喉頭に到達するアレルゲンが多くなり、喉頭アレルギーが起こりやすくなります。

喉の痛みは特にスギ花粉症の時期に多く見られる症状です。スギ花粉症患者では、30-70%に咳、のどのかゆみ、痛み、違和感などの症状を伴うことが報告されています。

参考文献
・内藤 健晴ほか, 喉頭アレルギー―文献的考察―, 耳鼻臨床 90:7;835-841,1997

頭痛

アレルギー性鼻炎で鼻づまりが強いと頭痛を感じることがあります。鼻づまりによって鼻での呼吸ができなくなり、頭痛を引き起こすと考えられています。

その他の頭痛の原因としては、ヒスタミンがあります。アレルギー性鼻炎の時には、体内の細胞からヒスタミンが放出されます。ヒスタミン自体に頭痛を誘発する作用があります。

アレルギー性鼻炎に慢性副鼻腔炎合併した場合などは、頭痛が起こることもあります。慢性副鼻腔炎は、顔にある骨に囲まれた副鼻腔という空間の粘膜が腫れて、粘っこい分泌液が副鼻腔に貯まったり、粘っこい鼻水が出る病気です。副鼻腔に分泌液が大量に溜まると、頭痛や頭重感(頭の重い感じ)が出ることがあります。

アレルギー性鼻炎で鼻の粘膜が腫れると、副鼻腔からの粘液の排泄や、副鼻腔と鼻の空気の交換をしにくくなり、慢性副鼻腔炎を合併しやすくなります。

2. アレルギー性鼻炎によって起こる日常生活への影響

花粉症の症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみが主です。他に、のどや皮膚のかゆみなどもあります。その他にも、眠い、頭痛がする、咳、熱っぽいなどの症状が出ることがあります。これらの症状で日常生活が送りにくくなることもあるかもしれません。詳しく見ていきましょう。

眠気

アレルギー性鼻炎では眠気がでることがあります。

特に季節性アレルギー性鼻炎の花粉症では、眠気が強くでます。花粉症では鼻症状が急速に出現、悪化するため、鼻づまりの影響が強く出ることが原因と考えられます。通年性アレルギー性鼻炎では、症状がいつもあるため、睡眠障害の症状にあまり気がつかない状態と考えられます。

夜間に鼻づまりが強くて十分な睡眠が摂れていないと、日中に居眠りをしたり、集中力が低下することがあり、仕事や家事、学業への影響がでることがあります。適切なアレルギー性鼻炎の治療をおこなうことで、眠気の症状も改善することができます。

アレルギー性鼻炎で眠くなる仕組みについて、次の節に書いてあります。少し難しいので、興味がある方は読んでみて下さい。

アレルギー性鼻炎では、なぜ眠いのか?

アレルギー性鼻炎では眠くなることがありますが、眠気の原因のひとつは睡眠障害です。夜間の睡眠障害で十分な睡眠がとれないと、日中の眠気の原因になります。アレルギー性鼻炎が睡眠障害を起こすしくみとしては、下記が考えられます。

  1. 鼻づまりにより、睡眠時の呼吸障害(いびき、無呼吸など)を起こす
  2. 鼻づまり自体が睡眠障害を引き起こす
  3. アレルギー性鼻炎自体が睡眠障害を引き起こす

このうち、1が原因の多くを占めます。アレルギー性鼻炎で鼻づまりがある場合は、鼻づまりがない場合に比較して、中等症〜重症の閉塞性睡眠時無呼吸になる確率が1.8倍になると報告されています。

2に関しては、鼻づまりで寝付けないことがあります。寝つきの悪さに関しては、姿勢によって鼻づまりを感じる程度が異なることが、原因と考えます。鼻づまりは、体を起こしている状態より、寝た姿勢で強く感じます。正常成人と睡眠呼吸障害患者ともに、座った姿勢から仰向けに寝ると、60%以上の人で鼻通りが悪化すると報告されています。そのため、就寝時には、鼻づまりが悪化して眠れなくなります。

3に関しては、アレルギー性鼻炎に関連する、ヒスタミンなどの化学伝達物質が睡眠に影響を及ぼすことも報告されています。例えば、ヒスタミンは睡眠や覚醒の調整をする働きもあります。

花粉症の治療に用いる抗ヒスタミン薬の副作用には、眠気がありますが、一部のスギ花粉症患者では、眠気の副作用がある抗ヒスタミン薬を使用した方が、夜間によく眠ることができて、眠気が改善したという報告もあります。

参考文献
J Allergy Clin Immunol. 1997 Feb;99(2):S757-62. Allergy Asthma Proc. 2006 May-Jun;27(3):240-2.
・巾田誠一,他:睡眠時無呼吸症候群における鼻腔抵抗値の体位変化.日鼻科会誌,43:391-395. 2004.
・菅原一真,原 浩貴,御厨剛史,他:ベシル酸ベポタスチンのスギ花粉症に対する臨床効果~睡眠に関する検討. アレルギー免疫.17:136-142,2010.

イライラ

アレルギー性鼻炎の症状が強い場合には、集中力低下、全身倦怠感、抑うつ気分、不安感、イライラなど、精神的に不安定になったりすることがあります。精神的に不安定になると、さらにアレルギー症状が悪化します。

倦怠感

アレルギー性鼻炎では鼻づまりによる夜間の低酸素血症で、頭痛や昼間の全身倦怠感を生じると考えられています。

ただし、全身倦怠感はかぜ急性上気道炎)でも起こります。かぜとアレルギー性鼻炎では、鼻づまりや鼻水、くしゃみなどの症状が似ています。通常のかぜは自然に治ります。かぜを早く治す薬はありません。つらいところわざわざ混んでいる病院に行ったり、薬局に行ったりして体力を消耗するよりは、自宅でゆっくり休んでおくのが最も良い治療方法かもしれません。

しかし、強い倦怠感があったり、咳やのどの痛みの症状が強すぎる、食事や水分を全く摂れない、38度以上の発熱が丸3日たっても治らないなどの場合には、重い感染症の可能性があるため、医療機関に受診してみてもいいかもしれません。

うつ傾向

アレルギー性鼻炎の症状が強い場合には、集中力低下、全身倦怠感、抑うつ気分、不安感、イライラなど、精神的に不安定になったりすることがあります。精神的な不安定さが進行するとうつの症状に似ることがあります。いつも同じ時期にうつ傾向になる、などがあれば花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎の症状が関連している可能性があります。一度、耳鼻咽喉科で花粉症の有無などを診察してもらってもいいかもしれません。

しかしながら、うつ傾向はアレルギー性鼻炎の典型的な症状ではありません。精神的にひどく不安定な場合は、心療内科や精神神経科などを受診してもいいかもしれません。

3. たぶん鼻炎だろうと思って片付けないほうが良い場面

アレルギー性鼻炎の症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがあります。これらの症状に加えて、他の症状がある場合は、他の病気の可能性があります。中には早めに医療機関に受診した方がいい場合もあります。それぞれの症状についてみて行きましょう。

膿のような鼻水が続く

アレルギー性鼻炎の鼻水はサラサラした鼻水です。鼻水がのような粘っこい鼻水の場合には、かぜ急性上気道炎)や急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎の可能性があります。かぜも初期では、サラサラした水のような鼻水のことも多く、区別がつかないこともあります。

かぜの場合は、鼻の症状の他に、熱やのどの痛み、頭痛などが出ます。

急性副鼻腔炎かぜに引き続いて、粘っこい鼻水や、頬の痛み、頭痛などを起こす病気です。アレルギー性鼻炎とは治療が異なり、耳鼻咽喉科などで治療ができます。

慢性副鼻腔炎は、顔にある骨に囲まれた副鼻腔という空間の粘膜が腫れて、粘っこい鼻水が出る病気です。アレルギー性鼻炎の症状が強いと、鼻の粘膜が腫れて、副鼻腔と鼻をつなぐ経路が閉塞して、慢性副鼻腔炎を合併することがあります。

以上のような病気を考えると、膿のような黄色い、粘っこい鼻水が続く場合には耳鼻咽喉科に受診してみるのがいいでしょう。

ひどい頭痛が続く

アレルギー性鼻炎では頭痛が起こることがありますが、頭痛の程度は軽いものがほとんどです。頭痛が強い場合は他の病気の可能性があります。

鼻水や鼻づまりのアレルギー性鼻炎の症状に加えて、頭痛がある場合には、急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎の合併が考えられます。急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎では鼻水は粘っこくて黄色の膿のような鼻水になります。また頭痛の他にも、頬やおでこの痛みがでることもあります。鼻水、鼻づまりに加えて頭痛が続く場合には耳鼻咽喉科に受診してみましょう。

また、頭痛の原因は様々です。中には緊急で治療した方がいいものもありますので、今までで経験したことのない頭痛の場合や、吐き気など他の症状もある場合には医療機関に受診してみましょう。

高熱が出る

アレルギー性鼻炎では、微熱を起こすことがありますが、高熱が出ることは稀です。高熱が出る場合は、かぜ急性上気道炎)の可能性があります。

アレルギー性鼻炎とかぜは、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがある点で、とてもよく似ています。アレルギー性鼻炎では、ほこりや花粉などアレルゲンのある場所で特に強い症状がでます。一方、かぜは、鼻の症状や熱の他に、のどの痛み、頭痛などが出ます。通常のかぜであれば、自宅で安静にし、栄養や水分をとることで、症状は徐々に改善します。

かぜを早く治す薬はありません。体が辛い時にわざわざ混んでいる病院に行ったり、薬局に行ったりして体力を消耗するよりは、自宅でゆっくり休んでおく方が良いかもしれません。しかし、症状が強い場合や、症状が悪化している場合には医療機関への受診を検討しましょう。発熱に関しては、38度以上の発熱が丸3日たっても治らない場合には、重い感染症が隠れている可能性がありますので、医療機関への受診を考えても良いでしょう。

声がかすれる

鼻水や鼻づまりなどの症状に加えて、声のかすれがある場合には、かぜ急性上気道炎)かもしれません。かぜの炎症がのどに及ぶと、急性喉頭炎(きゅうせいこうとうえん)になって、声がかすれることがあります。炎症の範囲が声帯のみであれば、声を出しすぎないことや、加湿などで徐々に改善します。

周囲に炎症が及ぶと、急性声門下喉頭炎クループ症候群)や、急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)になることがあります。この場合には呼吸がしづらい、食べ物や飲み物が飲み込めない(嚥下障害:えんげしょうがい)などの症状もあわせて出現します。強いのどの痛み、声のかすれ、嚥下障害などがあれば、すぐに医療機関に受診しましょう。

長く続いている声のかすれの原因はかぜ以外にもあります。声帯ポリープ声帯結節ポリープ様声帯などの他、喉頭がんなどの可能性もありますので、1ヶ月以上、声のかすれが続く場合には、耳鼻咽喉科でよくみてもらいましょう。