せいたいけっせつ
声帯結節
声の使いすぎなどが原因で声帯に結節という腫瘤ができる病気
4人の医師がチェック 62回の改訂 最終更新: 2018.03.14

声帯結節の基礎知識

POINT 声帯結節とは

声帯結節は声を出す構造である声帯に、両側性にしこりができる病気です。原因は声を使いすぎることなので、大きな声を出す子供や、声を使う職業の大人に多い病気です。症状は、かすれ声や、声色の変化(ハスキーボイスになることが多い)、のどの違和感などがあります。診断には小さい鏡(間接喉頭鏡)や細いカメラ(喉頭ファイバースコープ)での声帯の観察が必要になりますので、耳鼻咽喉科に受診しましょう。治療は声を使いすぎないようにしたり、正しい声の出し方を練習することで、数ヶ月で改善します。改善しない場合は、手術でしこりを切り取ります。術後は声帯をきれいに治すために数日間〜1週間の沈黙期間(声を使わずに筆談で過ごす期間)が必要になります。

声帯結節について

  • 声の使いすぎなどが原因で声帯にこぶ(結節)が出来た状態
  • 両側の声帯の中央付近に結節が出来て、声が枯れるようになる
    • 喉頭には左右の声帯があり、息を吸うときには声帯が開き、声を出すときには声帯が閉じて声が出るようになっている
    • 声帯の中央は発声する際に接触する場所で、酷使により両側の声帯中央に結節が出来る
  • 成人では女性に多く、小児では男児に多い
  • 主な原因
    • ほとんどが声の使いすぎによって起きる
    • 職業で声を使う人が多い
      • 歌手、教師、保育士、電話のオペレーターなど
    • 趣味で声を使う場合にもなる
      • カラオケ、詩吟、スポーツなど

声帯結節の症状

  • 声が枯れる、ハスキーボイスになる
  • 症状が軽い場合は下記の症状などのみで、他人には気づかれない場合もある
    • 高い音がでない
    • 声が長く続かない
    • 裏声が出ない
  • 喉の違和感

声帯結節の検査・診断

  • 間接喉頭鏡検査
    • 鏡のついた道具で声帯を観察する
  • 喉頭ファイバースコープ検査
    • 鼻から細い柔らかい内視鏡を入れて声帯を観察する
    • 声帯の動きに異常がないか、腫瘤がないか観察する
    • 声帯に近づいて観察できるため、腫瘤の表面をよく観察できる
  • 喉頭ストロボスコピー検査
    • 声帯の振動も観察できるため、小さな結節も見つけることができる
    • 周囲の声帯粘膜の振動から、結節が新しくできたものか、古いものか予想できる
  • 区別が必要な病気(同じように声が枯れたり、声帯に何かができる病気)

声帯結節の治療法

  • 声帯ポリープに比べると、声帯結節は保存療法(声を使いすぎない)で治りやすく、手術を必要とすることは少ない
  • 保存療法
    • 声の衛生指導:声を使いすぎない、声帯に負担をかけない
      • 長時間時話さない、力んだ発声をやめる、大声を避ける、騒音のあるところで話さない
      • 必要応じてマイクを使う
      • 乾燥を避けて、湿度を保つ
      • 喫煙、飲酒、ホコリを避ける
    • 経過に個人差があるが、約3-4ヶ月で治る
    • 職業などで声をよく使う場合などは、言語聴覚士の下で正しい発声方法の訓練を受ける
      • 正しい発声方法を学ぶことで再発を防ぐ
  • 薬物治療
    • ステロイド薬の吸入、内服
    • 炎症を抑える薬の内服   など
  • 手術
    • 全身麻酔で、顕微鏡下喉頭微細手術を行う
      • 顕微鏡を見ながら喉頭鏡を使って結節を切りとる

声帯結節の経過と病院探しのポイント

声帯結節が心配な方

声帯結節では、声のしゃがれやのどの違和感といった症状が出現します。症状はのどかぜによるものと一見紛らわしい、自己判断では区別がつきづらいものです。

大声を出し過ぎた自覚がある、のど以外の症状がまったくないなどで声帯結節ではないかと心配になった時には、耳鼻科のクリニックの受診をお勧めします。声帯結節の診断のためには喉頭ファイバー検査(胃カメラのように細いカメラをのどに入れる検査)や間接喉頭鏡といって歯科で使用する鏡のような器具での診察が必要ですが、いずれも基本的に耳鼻科で行われる検査です。医療機関によっては耳鼻科、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)などと呼び名が異なることもありますが、どちらであってもみる病気は同じですので心配ありません。

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声帯結節でお困りの方

声帯結節の治療の基本は声を安静にすることです。喫煙者であれば禁煙をし、大声を出さずに数週間から数か月すごすことで改善が見込めることが多いです。それでも治らない場合には手術も検討されますが、まずは声帯の安静が重要です。安静と平行して、炎症を鎮める薬を内服したり吸入したりします。

できる治療を行った上でも改善がない場合には、やはり手術を受けることが必要となるかもしれません。全身麻酔で寝ている間に行われる手術で、数日間から1週間ほどの入院が必要となります。手術の判断については、耳鼻科の専門の医師と相談することをお勧めします。

また、手術も治療の一部ですが、適切な声帯の安静と声の出し方の練習が、術後の回復を促すという意味で大切です。言語聴覚士(ST)という、発声を含めた口や耳周りのリハビリを専門とする資格があり、このような職種の方がいる医療機関では、医師だけでなく言語聴覚士も一緒に連携して治療に取り組んでいくことになります。

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