あれるぎーせいびえん
アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜でアレルギー反応が生じて、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起きた状態
17人の医師がチェック 152回の改訂 最終更新: 2026.04.02

アレルギー性鼻炎を疑ったときに行う検査

鼻づまりが強い時や鼻水が出る時には、アレルギー性鼻炎かもしれないと思うことがありますね。アレルギー性鼻炎の診断の流れを、診察や検査などの順を追って説明します。検査をすすめられた時にも参考にしてみてください。

1. 問診

アレルギー性鼻炎は決まった季節だけに鼻の症状がおきる季節性アレルギー性鼻炎と、一年を通じておきる通年性アレルギー性鼻炎に分けられます。季節性アレルギー性鼻炎の代表が花粉症です。季節性の症状なのか、通年性の症状なのかは、治療をいつの時期に行えばいいかの判断に必要になります。

アレルギー性鼻炎は、症状が決まった季節に出る季節性アレルギー性鼻炎と、1年を通して続く通年性アレルギー性鼻炎に分けられます。季節性アレルギー性鼻炎の代表が花粉症です。症状が季節性か通年性かは、治療のタイミングや対策を考えるうえで重要になります。

季節性か通年性かは、鼻の症状が1年を通して続くのか、それとも特定の季節に限って出るのかで整理できます。受診の際は、次の点を伝えると診断の助けになります。

  • 鼻の症状が強くなる季節(いつ頃から、いつ頃までか)
  • 症状が出る時期(毎年同じ時期に症状が出るか)
  • 症状が出やすい場所(例:河川敷、草むら、掃除の直後など)

一般的に、ダニやハウスダストが原因の場合は1年を通して症状が出やすく、花粉症は原因となる花粉の飛散時期に症状が出やすい傾向があります。ただし、複数の花粉に反応している場合は、症状が長引いて季節性と通年性の区別がつきにくいこともあります。

日本で多いスギ花粉症の時期は、ウイルス上気道炎かぜ)が増える時期と重なるため、鼻水や鼻づまりがあるときに「かぜ花粉症か」で迷うことがあります。

区別の参考になる点として、花粉症では目のかゆみなどの目の症状を伴うことがあります。また、花粉症の鼻水は水のようにサラサラしたことが多い一方、かぜでは経過とともに鼻水が粘り気を帯びることがあります。

2. 身体診察

身体診察では、鼻の粘膜の状態を確認します。鼻に光を当て、鼻の粘膜の腫れや色、鼻水の性状などを観察します。観察には、鼻鏡(びきょう)という金属の器具を用い、鼻の入口を広げて見やすくします。

鼻の所見には個人差がありますが、通年性アレルギー性鼻炎では鼻粘膜が腫れて青白く見えることがあり、水のような鼻水(水様性鼻汁)が確認できることもあります。季節性アレルギー性鼻炎でも鼻粘膜は腫れますが、炎症が強い時期には赤みを帯びて見えることがあり、症状の程度によって変化します。

鼻のアレルギー症状が強い場合には、鼻粘膜の炎症に伴って鼻ポリープ鼻茸:はなたけ)ができることがあります。鼻づまりが強い場合など、鼻ポリープの有無をより詳しく確認するために、ファイバースコープで鼻の奥を観察します。ファイバースコープは細いカメラで、柔らかいチューブの先端に光がついており、観察したい部位に近づいて確認できます。

3. アレルギー性鼻炎か調べる検査:鼻汁好酸球検査

アレルギー性鼻炎かどうかを調べる検査の一つに、鼻汁好酸球検査があります。鼻汁(鼻水)の中に、アレルギーに関与する白血球である好酸球が増えているかを確認します。鼻水を綿棒でぬぐい、スライドグラスに塗って、顕微鏡で観察します。

症状が出ている時期に鼻汁中の好酸球が確認できれば、アレルギー性鼻炎を疑う重要な所見になります。通年性アレルギー性鼻炎では比較的いつでも検査しやすい一方、季節性アレルギー性鼻炎では症状が出ている時期に検査することがポイントです。鼻の症状が落ち着いている時期は好酸球が確認できないことがあるからです。

4. アレルギー性鼻炎の原因を調べる検査

アレルギー性鼻炎が疑われる、または診断された場合は、原因物質(アレルゲン)を調べる検査を行います。アレルゲンが分かると、生活上の対策や治療方針を立てやすくなります。通年性アレルギー性鼻炎では、日常生活で何を避けるべきかの判断材料になりますし、季節性アレルギー性鼻炎では、注意すべき時期の見通しを立てやすくなります。

【アレルゲンを調べる方法】

  • 血液の検査:血清特異的IgE抗体検査
  • 皮膚の検査:皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチテスト
  • 鼻の検査:鼻粘膜誘発テスト

いずれの検査もアレルギー性鼻炎の症状がある場合は、一般的に公的医療保険で検査を受けられます。

検査結果の読み方の注意点:陽性が発症を意味するわけではない

注意点として、血液や皮膚の検査では、検査結果が陽性であってもアレルギーを発症しているとは限りません。検査が陽性になる時は、そのアレルゲンに対して「感作(かんさ)」が起こっており、いわば体内でアレルギーが起こる前段階です。

感作されている状態とは、体内に入ったアレルゲンが異物と認識されて、再度体内に入ってきた場合に、反応する準備ができている状態のことです。感作されたアレルゲンに対して抗体が準備されていて、反応しやすい状態です。一方、鼻の検査では、実際にアレルギーを発症しているかどうかを、鼻の中の状態から判断できます。

血清特異的IgE抗体検査や皮膚テストでスギ花粉への反応があると、反応がない場合に比べて発症する確率が高いと考えることができます。反対に検査の感度の問題から、アレルゲンへの反応がなくても、今後、そのアレルゲンに対してアレルギーを発症しないとは言い切れないことも注意点です。

血液検査や皮膚テストの位置付け

血液検査や皮膚のテストでは、発症しているアレルギーを調べられないので、意味がないと思う方もいるかもしれません。しかし、鼻の検査では限られた数のアレルゲンしか調べることができません。色々な種類のアレルゲンを評価したい人にとって、鼻の検査(鼻粘膜誘発テスト)は実際の診療で使うには不十分なことがあるため、血液や皮膚の検査が広く行われています。

5. 血液検査:血清特異的IgE検査(RAST)

血液検査で、アレルギー症状の原因となり得るアレルゲンを調べる方法です。血液中の特異的IgE抗体(特定のアレルゲンに反応するIgE抗体)を測定し、どのアレルゲンに対して感作しているかを確認します。
血清特異的IgE検査は、アレルゲンを1項目ずつ選んで測定する方法と、あらかじめ決まった項目をまとめて測定する方法があります。まとめて測定する方法として、たとえばMASTⅢ(33項目)やViewアレルギー39(39項目)などが知られています。
最近は、少量の採血で短時間に結果が分かる迅速検査も出てきています。機器によって、指先からの採血で実施でき、約30分で複数アレルゲンの特異的IgEを同時測定できるタイプもあります。
実施できる検査は医療機関によって異なるため、希望がある場合は受診先で確認するとよいです。

6. 皮膚の検査:皮内テスト、スクラッチテスト

皮膚にアレルゲンを接触させて反応をみる検査です。一般に前腕(肘より先)で行います。主な方法には、アレルゲンを皮内に注射する皮内テストと、アレルゲンを滴下した皮膚に針先でごく浅い傷をつけて反応をみるスクラッチテスト(プリックテスト)があります。

皮膚テストの利点は、費用が比較的安く、短時間で結果をその場で確認できる点です。一方で、検査時に痛みを伴うことがあり、検査の前には抗ヒスタミン薬など一部の薬を一定期間中止する必要が出てきます。薬を中止している間は、鼻水や鼻づまりなどの症状が強くなることがあります。

また、検査部位にかゆみや腫れが出ることがあり、しばらく残る場合があります。皮内テストと比べると、スクラッチテスト(プリックテスト)は侵襲が小さく、痛みや感染のリスクの点で選ばれることがあります。

7. 鼻の検査:鼻粘膜誘発テスト

鼻粘膜誘発テストは、特定のアレルゲンに対して鼻粘膜が実際に反応するかを確認する検査です。血液検査や皮膚テストが「感作(反応しやすい状態)」を調べるのに対し、鼻粘膜誘発テストは、そのアレルゲンで鼻症状が誘発されるかを直接評価できます。

日本で行われている方法の一つにディスク法があります。ディスク法では、鼻の中を観察しながら、両側の鼻粘膜にろ紙でできたディスクを置き、一定時間内にくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が誘発されるかを確認します。

鼻粘膜誘発テストの利点は、原因アレルゲンと症状の関連を評価できる点と、複数のアレルゲンが疑われる場合に、どれが症状に関与しているかを判断材料にできる点です。一方で、実施できる医療機関が限られることがあり、検査に用いるアレルゲンの種類も限られる点が欠点と言えます。また、検査の前に抗アレルギー薬を一定期間中止する必要が出る場合があり、その間は症状が強くなることも負担になります。

8. アレルギー性鼻炎の診断のしかた

アレルギー性鼻炎では、「鼻の過敏症状」と呼ばれる、発作性反復性のくしゃみ、水様性鼻漏(サラサラした鼻水)、鼻づまりがみられます。診断は、問診で症状の経過を確認し、鼻の診察で鼻粘膜や鼻水の状態を観察することで、概ね判断できます。

診断基準では検査所見が条件として挙げられていますが、実際の診療では、問診と診察でアレルギー性鼻炎を疑い、必要に応じて血液検査や皮膚テストなどでアレルゲンを確認する形が一般的です。いわゆる花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)では、花粉の飛散時期と症状の一致が典型的であれば、アレルゲン検査を行わずに診断されることもあります。

このように、問診と診察で診断がつく場合には検査は必須ではありません。一方で、検査を行うとアレルゲンを推定でき、回避策や治療方針を考える材料になります。

アレルギー性鼻炎のガイドラインについて

診療ガイドラインは、治療の選択肢を整理し、治療成績や安全性の向上を目的として作成されています。アレルギー性鼻炎については『鼻アレルギー診療ガイドライン』に診断や治療がまとめられています。ガイドラインは治療の参考であり、実際の診療は症状や生活背景に応じて行われます。
厳密には基準に沿って診断しますが、すべての検査を揃えることは多くありません。実際には、問診と鼻の診察でアレルギー性鼻炎を疑い、必要に応じて検査を追加して診断の確度を高めます。診断後にアレルゲンを調べると、原因物質の回避などの対策に役立ちます。