へんずつう
片頭痛(偏頭痛)
若い人から中年の人に多い頭痛の一種で「偏頭痛」と同じ。頭の中の血管が広がることで痛みが起こる
26人の医師がチェック 204回の改訂 最終更新: 2025.05.26

片頭痛(偏頭痛)とはどんな病気なのか

片頭痛はズキズキする拍動性の頭痛が繰り返し起こる病気です。特定のきっかけで起こることが多く、頭痛は3日以内におさまりますが、強い吐き気や嘔吐によって日常生活が困難になります。片頭痛発作が初めて起きた時はあまりに症状が強くて驚くかもしれません。ここでは片頭痛についての概要、症状、原因、検査、治療などについて大まかに説明します。

1. 片頭痛とはどんな病気なのか

片頭痛は繰り返し発作的に起こる頭痛です。1回の頭痛の持続時間は4–72時間といわれ、3日以上は続きません。日常生活を送れなくなるような強い頭痛で、気持ち悪さや嘔吐、光や音に対していつもより過敏になるような症状を伴うことが特徴的です。

頭痛の発作前に目の前がキラキラしたりチカチカしたりする閃輝暗点(せんきあんてん)や、皮膚がチクチクするような前兆症状が起こる片頭痛と、前兆症状が起こらない頭痛があります。

問診では、次のような片頭痛の典型的な特徴があるかを聞かれます。

【片頭痛の特徴】

  • ズキズキする拍動性の頭痛か
  • 痛みの持続時間は4-72時間以内か
  • 片側性の頭痛か
  • 吐き気を伴うか
  • 何もする気が起こらなくなるか

上記の特徴の4項目以上が当てはまる場合には片頭痛の可能性が極めて高くなります。逆に2つ以下しか当てはまらない場合には片頭痛の可能性が下がります。

自分で頭痛を感じた時には上記の特徴を参考にしてチェックしてみてもいいかもしれません。ただし強い頭痛がある場合や、日常生活に支障があるほど頭痛で困っている場合には医療機関を受診しての治療をお勧めします。

片頭痛の日本人の有病率8.4%とされています。特に20代から40代の女性に多い頭痛です。30代女性の有病率が最も高く20%に達し、40代女性でも18%います。

日常生活に支障をきたすことが多く、発作時にいつも寝込む人は4%、時々寝込む人が30%、寝込まないが日常生活に支障がある人が40%と、全体の74%の人が日常生活に困っている状態です。

多くの人が悩んでいる片頭痛ですが、痛みが起こるメカニズムは未だ解明されていません。多くは特定の誘因によって脳の神経に興奮が伝わり、特徴的な前兆や頭痛、吐き気などを引き起こします。片頭痛が起こるメカニズムの一つの説として、現在は三叉神経血管説が考えられています。これは、脳の神経細胞の活動変化から、頭部の感覚神経である三叉神経が刺激されることで頭痛が起こるのではないかという説です。神経細胞の活動変化が視覚を担当する部分から起こりやすいため、目の前がチカチカするような症状が前兆として起こると考えられています。

特定の誘因によって脳の神経細胞の活動が変化するとされていますが、この特定の誘因がどのように神経細胞に影響を与えるのかについての詳細なしくみについてはわかっていません。

2. 頭痛の原因

頭痛にはさまざまな原因があります。頭痛には脳出血など他の病気が原因になるものと、他の原因がない頭痛があります。他の原因がない頭痛を一次性頭痛、他の病気に原因がある頭痛は二次性頭痛と呼びます。その他の頭痛として神経痛もあります。一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛群発頭痛などが含まれます。『慢性頭痛ガイドライン2013』によると、救急外来を頭痛で受診した人のうち一次性頭痛は38.3%、二次性頭痛は53.6%と二次性頭痛の方が多い割合でした。

原因によって分類すると頭痛は次のようになります。

【頭痛の原因分類】

上記のようにさまざまな病気が原因となって頭痛を引き起こします。頭痛の診断にはまず、その他の病気が原因となる二次性頭痛ではないかを検査で調べます。なぜなら二次性頭痛のなかには、くも膜下出血脳出血などの命に関わるような病気からの頭痛があるからです。頭痛が起きた経過や症状の経過、頭痛以外の症状などの有無で診断が行われます。二次性頭痛でないことが判断されたら、一次性頭痛のうちどれに該当するかが診断されます。

3. どんな頭痛は早めに医療機関を受診すべきか

頭痛に次のような特徴があれば、くも膜下出血脳出血髄膜炎などの命に関わる病気が原因となっている可能性も考えられます。急いで救急科や脳神経外科、神経内科がある医療機関を受診してください。

【緊急受診が必要な症状・状態】

  • ある瞬間に突然はじまった頭痛
  • 今まで経験したことがない激しい頭痛
  • いつもと症状の様子が異なる頭痛
  • 頭痛の回数がだんだん増えている
  • 痛みがだんだん強くなっている
  • 50歳以降で初めて起きた頭痛
  • 手足が動きにくい
  • しゃべりにくい
  • 意識がもうろうとしている
  • 変なことを言う
  • がん免疫不全(薬や病気が原因で免疫力が低下していること)の状態である
  • 発熱とともに、首が硬くて頭を前に倒しても顎が胸につかない症状がある

ある瞬間に突然はじまって、今までに経験したことのないような頭痛という症状は典型的にはくも膜下出血が考えられます。いつも頭痛がある人でも、いつもの症状と異なると感じる場合には注意が必要です。頭痛の回数や、強さが増してきている場合には、1日の中で悪化しているようならくも膜下出血脳出血などの可能性が考えられ、日の単位で悪化している場合には脳腫瘍などが考えられます。手足が動きにくい、しゃべりにくい、意識がもうろうとしている、変なことを言うなどでは、脳の中で何らかの異常が起きている可能性があります。また、発熱とともに、仰向けに寝た状態で、お医者さんが頭を前に倒そうとしても首が硬くて曲がらず顎が胸につかない症状があるときは髄膜炎などが考えられます。

上記のような症状に当てはまる場合には早めに医療機関を受診してください。

4. 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の違いについて

一次性頭痛のうち、片頭痛の他にもよく起こる緊張型頭痛群発頭痛について説明します。群発頭痛は片頭痛とは起こり方が異なるため区別できることが多いですが、緊張型頭痛のうち慢性的な痛みがある場合には、片頭痛と区別することが難しいことがあります。そのような場合には緊張型頭痛と片頭痛の両方の可能性を考えながら治療が行われます。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は一次性頭痛で最も多い頭痛です。一次性頭痛とは、例えば脳出血などの他の病気を原因としない頭痛のことで、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などがこれにあたります。緊張型頭痛はストレスや肩こりなどを原因として起こる頭痛です。典型的には両側の後頭部から頭全体の痛みが起こります。片頭痛と異なり締め付けられるような頭痛ですが、頭痛の程度は片頭痛より軽く、持続時間が片頭痛より長いことが特徴です。緊張型頭痛の特徴は次の通りです。

緊張型頭痛の特徴】

  • 男女比:女性が男性の1.5倍程度
  • 頭痛の頻度:多様
  • 持続時間:30分-7日
  • 痛みの場所:典型的には両側性
  • 痛みの性状:圧迫感、締め付け感を伴う痛み
  • 頭痛の強度:日常生活に支障が出ない程度の軽度〜中等度の強さ
  • 頭痛発作の誘因:ストレス、肩こりなど
  • 他の症状:軽い吐き気、光過敏・音過敏のどちらかがあることがある

緊張型頭痛は主に首や肩の筋肉の緊張が原因となります。筋肉の緊張から、典型的には両側の後頭部や頭全体の痛みを引き起こして、場合によっては気持ち悪さやふわふわとしてめまいを感じる場合もあります。頭痛の感じ方(性状)としては締め付けられるような痛みが多く、ズキズキする頭痛は少ないです。気持ち悪さがあるものの吐くことは少ないです。歩行や階段の昇り降りなどの日常動作は問題なく行える程度の痛みです。

筋肉の緊張の原因として精神的や肉体的なストレスがあります。筋肉の緊張そのものを原因とする場合と、心理的なストレスなどを原因として痛みを感じやすくなる神経の変化を原因とする場合があります。緊張型頭痛に悩む人が多いものの、詳しい痛みのしくみなどはまだはっきりわかっていません。

治療方法は、痛みが起きた場合に痛み止めを使用する対処治療と、痛みが起きないように予防する治療があります。痛み止めはアセトアミノフェンやNSAIDsが使われます。予防治療では抗うつ薬や抗不安薬などが使われます。薬以外の治療方法として、頭痛の原因となるストレスや筋肉の緊張を取り除くためのリラクゼーションを行ったり、マッサージを行う治療方法があります。

群発頭痛

群発頭痛は青年から中年の男性に多く、片側の目の周囲に起こるえぐられるような痛みが特徴的な頭痛です。夜間に発症することが多く、頭痛の長さは緊張型頭痛に比べて15分から3時間程度と短時間です。群発頭痛の特徴は次の通りです。

群発頭痛の特徴】

  • 男女比:男性に多い
  • 頭痛の頻度:1-8回/日
  • 持続時間:15分-3時間
  • 痛みの場所:片側性の目の周囲
  • 痛みの性状:拍動性、突き刺されるような痛み
  • 頭痛の強度:非常に強い
  • 頭痛発作の誘因:アルコール
  • 他の症状:目の結膜の充血、涙が出る、鼻づまり、鼻水、まぶたむくみ、痛みのある部分の周りの汗・皮膚の赤み、耳のつまった感覚、瞳孔の縮小、まぶたが下がる

群発頭痛では片方の目の周りから側頭部にかけて強い頭痛が起こります。頭痛が強いため、夜寝ている時に頭痛発作が起きた場合には目が覚めることがあります。毎日1-2回同じ時間帯に起こり、1-2ヶ月のあいだ頭痛発作が続きます。頭痛発作が起こる時期を群発期と呼びます。群発期の多くは毎年同じ頃に起こります。

群発頭痛の特徴として、頭痛のある側に涙が出たり、鼻水が出たり、目の充血が起こったり、鼻が詰まったりします。その他に落ち着きがなくなる症状や、ウロウロと歩き回る症状、体をゆする症状なども起こります。歯や鼻、耳の痛みも起こるため、はじめて群発頭痛になった時は頭痛だと思わない人もいます。繰り返し同じ部分が痛くなるような症状が一定期間続く場合には、群発頭痛の可能性もありますので医療機関で相談してみてください。群発期では飲酒をすると発作が誘発されますが、治ると飲酒でも発作が起きなくなります。

激烈な痛みを抑えるために、すぐ効果のある治療が必要です。代表的にはスマトリプタンの皮下注射で自己注射キットを用いて自分で使用することが可能です。また、注射が使えない病状などでは純酸素をマスクで吸入すると頭痛が治ります。群発期では1-2ヶ月頭痛が続くため、予防的にカルシウム拮抗薬であるベラパミル(主な商品名:ワソラン®︎)などを使う場合や、ステロイド薬を併用する場合があります。

5. 片頭痛の症状の特徴:こめかみ・おでこの痛み、吐き気など

典型的な片頭痛では目の前がチカチカしたりキラキラしたりする前兆症状が起きた後に頭痛が起こります。頭痛はこめかみや後頭部、目の周りに起こります。頭痛に伴って気持ち悪さや嘔吐、光過敏や音過敏などの症状が起こります。

前兆症状は頭痛発作の直前もしくは同時に起こる症状で次のようなものがあります。

【片頭痛の前兆】

  • 典型的な前兆
    • 目の前がチカチカ、キラキラする
    • 視野がかける
    • 皮膚がチクチクする
    • 皮膚の感覚がにぶくなる
    • 言葉がうまくでない
  • その他の前兆
    • 手足に力が入らない
    • めまい
    • 耳鳴り
    • 難聴(聞こえにくい)
    • ものが二重に見える

典型的で最も多い前兆は目の前がチカチカしたり、キラキラする点が大きくなるような閃輝暗点(せんきあんてん)です。その他にも皮膚がチクチクするような症状や言葉が出にくくなるような症状が出ることがあります。いずれの前兆も1時間以内には症状がなくなります。詳しい前兆症状は「片頭痛の前兆の症状とは」に書いてありますので参考にしてください。

片頭痛の頭痛には次のような特徴があります。

【片頭痛の症状】

  • こめかみや目の周りの痛み
  • おでこの痛み
  • 後頭部の痛み
  • ズキズキするような拍動性の痛み
  • 吐き気を伴う
  • 嘔吐を伴うことがある
  • 光がいつもより眩しく感じることがある
  • 音がいつもよりうるさく感じることがある

片頭痛はその名前から片側の頭が痛くなる頭痛という印象があるかもしれません。しかし半分の人では両側に頭痛があります。頭痛の部位もこめかみから目の周りのみではなく、後頭部にも痛みが起こることがあります。また痛みの感じ方はズキズキやガンガンと表現される拍動性です。

頭痛には吐き気や嘔吐を伴うことがあり腹痛や下痢を起こすこともあります。光をいつもより眩しく感じたり、音をいつもよりうるさく感じたりすることがあります。これらの症状は光過敏や音過敏とよばれ片頭痛に特徴的な症状です。

片頭痛の詳しい症状は「片頭痛(偏頭痛)の症状について」にありますので、参考にしてください。

6. 片頭痛の原因:ストレス、お酒、食べ物など

片頭痛の多くは特定の誘因によって、脳の神経に興奮が伝わり特徴的な前兆や頭痛、吐き気などを引き起こします。片頭痛が起こるメカニズムは未だ解明されていませんが、現在は脳の神経細胞の活動変化から、頭部の感覚神経である三叉神経が刺激されることで頭痛が起こると考えられています。特定の誘因が脳の神経細胞の活動を変化させると言われていますが、特定の誘因がどのように神経細胞に影響を与えるのかについての詳細なしくみはわかっていません。

しかし、片頭痛の誘因は多くのものが知られており、これらの誘因をさけることで、片頭痛の発作を予防できるため、自分の頭痛の誘因になるものを把握しておくことは重要です。代表的な片頭痛の誘因となるものは次の通りです。

誘因の大分類 詳細な誘因
精神的な誘因 ストレス
不規則な睡眠 寝不足、過剰な睡眠
身体的な誘因 疲労
天候の変化 台風、梅雨、気圧の変化、温度差
環境の影響 旅行、におい、強い光 
食事の影響 空腹、お酒、チーズ・チョコレートなど特定の食べ物
女性ホルモンの影響 月経前、排卵期、産後

多くの人はストレスがかかっている時や、ストレスから解放された時に片頭痛の発作が起こります。不規則な睡眠で寝不足になることや疲労、反対に過剰に睡眠をとることも片頭痛の原因になります。台風の時期には片頭痛が多いと感じている人もいるかもしれませんが、気圧の変化や屋内と屋外の温度差も誘発の原因になります。頻繁な旅行も環境の変化などでストレス、疲労を感じて誘発の原因になります。その他にも人混みや映画館、コンサート会場などのにおいがこもる場所や、化粧品売り場などの強い匂いがする場所、炎天下などで強い光をあびることも頭痛を引き起こすことがあります。

食事では赤ワインが原因になることがよく知られていますが、そのほかにもチョコレートやチーズなどが誘発因子となる人もいます。女性ではホルモンの影響をうけて、月経前や排卵時期、出産後などに片頭痛が悪化します。

片頭痛の誘因は個人差があり、同じ食べ物でも食べた時の状況などによっては発作を起こさない場合もあります。どのような状況で発作が起きたのかを把握するために、「頭痛ダイアリー」などに記録しておくと、頭痛発作を避けやすくなります。

片頭痛の原因については「片頭痛(偏頭痛)の原因について」に詳しく書いてありますので、参考にしてください。

7. 片頭痛の検査:問診・画像検査など

片頭痛を診断するための検査は次のようなものがあります。

【片頭痛の可能性がある人に行われる検査】

  • 問診
  • 身体診察
    • 神経学的診察
  • 画像検査
    • 頭部CT検査
    • 頭部MRI検査

片頭痛の診断するために最も重要な検査は問診です。頭痛の詳しい症状は自分でないと感じることができないため、問診によってしか感じている頭痛の経過や症状などについて詳しく調べられないからです。

頭が痛いと怖い病気でないかと心配になって「CTMRIを行いたい」と思うかもしれませんが、画像の検査で診断できる頭痛はごく一部です。画像検査よりも頭痛の起こり方や持続期間、痛みの場所、どのような痛みかの方が診断には重要です。

身体診察では手足の動かしにくさや痺れがないことを確認します。問診や身体診察などを元に画像検査を行った方がいいと判断された場合には、画像検査を行います。診断基準に基づいて分類が行われて治療を行います。

片頭痛の検査については「片頭痛(偏頭痛)を診断するための検査」に詳しく書いてありますので参考にしてください。

8. 片頭痛の治療:発作の対処と予防対策

片頭痛の治療には片頭痛発作時の痛みを抑える治療方法と、片頭痛発作が起こらないように予防する治療方法があります。片頭痛の治療は一般内科でも受けることができますが、より専門的には脳神経外科や神経内科で行われます。最近では頭痛外来という頭痛を専門に診る外来もありますので、通いやすい医療機関に頭痛外来がある場合には、受診する医療期間の選択肢の一つにしても良いと考えられます。

片頭痛発作に対処する治療

片頭痛の治療のうち頭痛が起きた場合に対処する方法は、痛み止めの鎮痛薬を使用する方法があり、次のような市販薬と処方薬が使われます。

【発作時の片頭痛の治療】

  • 一般用医薬品(市販薬)での薬物治療
    • ロキソニン
    • バファリン
    • ノーシン
    • イブ
    • セデス®︎
    • リングル®アイビー
    • ナロンエース
  • 医療用医薬品(病院での処方薬)での薬物治療
    • アセトアミノフェン(主な商品名:カロナール®)
    • NSAIDs
      • ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®)
      • アスピリン(アセチルサリチル酸)(主な商品名:バファリン配合錠A330)
      • イブプロフェン(主な商品名:ブルフェン®)
      • ジクロフェナク(主な商品名:ボルタレン®)
      • ナプロキセン(主な商品名:ナイキサン®)
    • トリプタン製剤
    • エルゴタミン製剤
    • その他:吐き気どめ、抗ウイルス薬など

痛み止めには大きく分けてアセトアミノフェンやNSAIDsがあり、それぞれによって作用が異なります。最近では一般用医薬品(市販薬)でどちらも買うことができます。頭痛の回数が少ない場合には市販薬で対応することも可能ですが、慢性的に痛みがある場合には医療機関を受診して病状に応じた薬を処方してもらってください。ただし痛み止めを決められた回数や量以上に使うと薬物乱用頭痛を引き起こすので注意が必要です。市販薬の説明は「市販薬の「痛み止め」には何がある?」に詳しく書いてありますので参考にしてください。

病院で処方されたアセトアミノフェンやNSAIDsなどの痛み止めでは痛みが抑えられない場合には、トリプタン製剤やエルゴタミン製剤が用いられます。そのほかに片頭痛の発作時に起こる症状を抑える目的で、吐き気どめや抗ウイルス薬なども用いられます。詳細は「病院で処方される治療薬には何がある?」に書いてありますので参考にしてください。

そのほかにも自分でできる対処方法として次のようなものもあります。

【片頭痛の発作時のセルフケア】

  • 安静にする
  • 光や音を避ける
  • 適度な睡眠をとる
  • 頭を冷やす

まずは片頭痛発作の初期に痛み止めの薬を内服して安静にすることが重要です。片頭痛発作は日常動作程度の動作でも頭痛が悪化するからです。光をまぶしく感じたり、音をうるさく感じたりすることがあるので、できる限り暗く静かなところで安静にし、可能であれば少し睡眠をとることで症状が改善します。頭を冷やすことでも症状が改善することがあるので、試してみてください。詳しくは「自分でできる治し方には何がある?:安静、睡眠など」を読んでみてください。

片頭痛発作が起こらないようにする予防治療

頭痛の回数が多く日常生活で困る場合にはあらかじめ定期的に内服を行って、片頭痛発作を予防します。予防薬としては抗てんかん薬や抗うつ薬などが使われます。

【片頭痛発作の予防治療】

  • 抗てんかん薬
    • バルプロ酸ナトリウム(主な商品名:デパケン®、セレニカ®)
    • トピラマート(主な商品名:トピナ®)
    • ガバペンチン(商品名:ガバペン®)
    • レベチラセタム(商品名:イーケプラ®)
    • クロナゼパム(商品名:ランドセン®、リボトリール®)
  • 抗うつ薬
    • アミトリプチリン(主な商品名:トリプタノール®︎)
    • フルボキサミン(主な商品名:デプロメール®、ルボックス®)
    • パロキセチン(主な商品名:パキシル®)
  • β遮断薬
    • プロプラノロール(主な商品名:インデラル®)
    • メトプロロール
  • カルシウム拮抗薬
    • ロメリジン(商品名:ミグシス®)
    • ペラパミル(主な商品名:ワソラン®)
  • アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
    • リシノプリル(主な商品名:ゼストリル®、ロンゲス®)
    • エナラプリル(主な商品名:レニベース®)
  • アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)
    • カンデサルタン(主な商品名:ブロプレス®)
  • 抗CGRP抗体
    • ガルカネズマブ(エムガルティ®)、エレヌマブ(アイモビーグ®)、フレマネズマブ(アジョビ®)
    • 片頭痛の原因と考えられている物質に対して作用する薬
    • 特定の条件を満たした人に使うことができる
  • その他の薬
    • シプロヘプタジン(主な商品名:ペリアクチン®)

抗てんかん薬は脳の興奮を抑えて片頭痛発作を抑えます。抗うつ薬はうつ病の治療のほかにも痛みの治療にも使われています。高血圧の薬も片頭痛の予防薬として使われることがあります。既存の治療薬では予防が難しい人に対しては、抗CGRP抗体という薬が使えます。高額ですが、高い効果が期待できます。

片頭痛の予防療法を行う場合、通常、ある程度の期間は薬を継続し効果の度合いなどをみていきます(副作用などの問題がない場合、一般的に少なくとも2か月程度は継続し効果判定を行います)。使う薬(またはサプリメントなど)によっても副作用や注意事項などが異なってくるため、事前に医師や薬剤師からしっかりと説明を聞いておくことが大切です。

詳細な薬の説明は「発作を予防する治療方法とは」に書いてありますので参考にしてください。

その他の治療として漢方薬が用いられることがあります。また、片頭痛は子どもから大人までみられる病気であるため、子どもの片頭痛の治療や妊娠中の治療はどのようにするのか不安になることもあると思います。それらの治療などについても同じ章で説明しています。

発作を避ける予防治療として毎日の生活でできる対策を行うことも重要です。例えば原因となるストレスを溜めないようにすることや、規則正しい生活を送ることや、頭痛の誘因になる食べ物を避けることなどです。

また頭痛治療で注意しなければならない薬物乱用頭痛や、診療ガイドラインなどについても触れていますので、治療全般については「片頭痛(偏頭痛)の治療とは」を参考にしてみてください。

9. 片頭痛の人が知っておきたいこと

片頭痛と診断された時にはさまざまな疑問が湧くかもしれません。治療方法について薬物ではなくてツボなどで治るのではないかと思ったり、片頭痛は遺伝するんだろうか、片頭痛は一生治らないのではないかと不安にもなるかもしれません。また日常生活や食生活の注意点なども気になります。

ツボで完治することはありませんが、頭痛に一定の効果があるかもしれないというツボはあります。また片頭痛では遺伝的な要因も報告されています。前兆のある片頭痛では遺伝が関係するものが半分を占めますが、自分が片頭痛だからといって必ず遺伝するわけではありません。片頭痛が治るかについては年齢とともに軽減する人が多い傾向にありますので過度に悲観する必要はありません。その他に日常生活や食生活などの注意点についても詳しく記載してありますので「知っておくべき片頭痛(偏頭痛)の注意点」をぜひ参考にしてください。

【参考文献】

『慢性頭痛ガイドライン2013』

Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997. Feb ; 17(1) : 15-22.