片頭痛の薬、スマトリプタンとナプロキセンで50%が2時間後無痛に
片頭痛にはNSAIDs、トリプタン製剤など痛みを抑える薬が使われます。そのうち代表的なスマトリプタンとナプロキセンを併用する治療法には多くの研究があり、結果をまとめると軽度の痛みに対して特に効果が出ていたことが報告されました。
◆スマトリプタンとナプロキセンの研究は2013年から進んだか?
ここで紹介する研究は、成人の片頭痛の
2013年にも同じテーマの報告がありましたが、新たな研究によってデータが加わっているか調査されました。
◆軽度の痛みはスマトリプタンとナプロキセンで50%が2時間後無痛に
調査の結果、2013年の報告から新たに加わった研究データはありませんでした。
以前の研究データから、スマトリプタンとナプロキセンの効果について次の結果が得られました。
全体として、併用治療は2時間後の無痛と頭痛緩和の一次アウトカムについて偽薬に勝っていた。ベースラインの痛みが軽度である場合、2時間後無痛となるNNTは3.1(95%信頼区間2.9-3.5、スマトリプタンとナプロキセンで50%の応答に対して偽薬では18%)[...]だった。
片頭痛発作で軽度の痛みがあった場合、有効成分を含まない偽薬を飲むと2時間後に18%の人が無痛になっていました。対して、スマトリプタンとナプロキセンを飲むと2時間後に50%の人が無痛になり、効果があると見られました。
片頭痛発作で中等度から重度の痛みがあった場合にも効果が見られました。
薬を使うタイミングについて次の結果がありました。
痛みがまだ軽度である早期に治療することで、痛みが中等度から重度になってから治療するよりも、2時間時点および服用後24時間での無痛応答について
有意 に勝っていた。
発作が始まって早い時期の、痛みが軽度であるタイミングで薬を使うと効果が大きいと見られました。
副作用について次の結果がありました。
有害事象はほとんどが軽度または中等度の深刻度であり、治療中止に至ることはまれだった。偽薬に比べて併用治療のほうが有害事象が多かった(中等度の質のエビデンス)。直接比較できるデータにおいては、併用治療がどちらか単剤の治療よりも勝っていたが、有害事象はスマトリプタンよりもナプロキセンのほうが少なかった(中等度の質のエビデンス)。
スマトリプタンとナプロキセンにより若干の副作用があると見られましたが、副作用のため治療中止となることはまれでした。単独で使うとスマトリプタンよりもナプロキセンのほうが副作用が少ないと見られました。
片頭痛に苦しむ人は多く、スマトリプタンとナプロキセン以外にも漢方薬などさまざまな治療法が試されています。より適切な治療法が選べるよう、新しい研究結果を振り返るこのような報告も大切な手掛かりになります。
執筆者
Sumatriptan plus naproxen for the treatment of acute migraine attacks in adults.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Apr 20.
[PMID: 27096438]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。