2016.02.21 | コラム

てんかんや高血圧の治療薬が片頭痛(偏頭痛)予防にも効果あり!?

デパケン、トピナ、インデラル、ブロプレス…片頭痛予防に使う薬剤に関して
てんかんや高血圧の治療薬が片頭痛(偏頭痛)予防にも効果あり!?の写真
(C) Sergey Yarochkin - Fotolia.com

日本人の4人に1人はなんらかの慢性的な頭痛を抱えていると言われ、中でも片頭痛は発症すると痛みで動けなくなったり、吐き気などを伴うことで日常生活に支障をきたすこともある病気です。薬による予防ではちょっと意外(?)な薬が有効とされます。

◆ 片頭痛の特徴とは?

片頭痛偏頭痛と表記されることもありますが、片頭痛が正式表記です)は頭の片側もしくは両側のこめかみから眼にかけて脈打つようにズキズキ痛むことなどが特徴です。吐き気や嘔吐を伴ったり、動くと痛みが増すことから寝込んでしまったりすることもあります。片頭痛のおこる仕組みはハッキリとは解明されていませんが神経伝達物質セロトニン、脳の血管の収縮・拡張、三叉神経への刺激などが要因とされています。

片頭痛の治療薬を大きく分けると頭痛発作時の薬と予防的な薬に分けられます。予防的な薬には脳の興奮を抑える薬、血管の収縮・拡張に関わる薬などが使われています。

 

◆ てんかんの治療薬が片頭痛予防にも効果あり!?

脳の興奮を抑える薬としては主に抗てんかん薬が使われ、中でもバルプロ酸ナトリウム(主な商品名:デパケン® など)は国内外で頭痛予防に優先して使われることが多い薬剤です。一瞬「てんかんの治療薬を片頭痛に?」と思うかもしれませんが、脳の興奮などによりセロトニンが大量に放出されるのが片頭痛のおこる要因の一つとされているため、脳の興奮を抑える抗てんかん薬に効果が期待できるのは理にかなっています。実際にバルプロ酸ナトリウムはてんかんや躁状態の治療以外に片頭痛発作の発症予防に保険適応をもつ薬剤になっています。片頭痛の予防薬として使われる抗てんかん薬は他にもあり、トピラマート(商品名:トピナ®)やクロナゼパム(商品名:ランドセン®、リボトリール®)などは片頭痛の予防薬としてよく使われている薬剤の一つです。

 

◆ 高血圧治療薬も片頭痛予防薬になる!?

片頭痛のおこる要因としてもう一つ大事なのが脳の血管の収縮・拡張です。これを考慮すると血管などに作用する薬も片頭痛の予防薬として効果が期待できると考えられます。実際にカルシウム拮抗薬、β遮断薬、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬及びアンジオテンシンII受容体拮抗薬といった主に高血圧の治療などに使用する薬剤も片頭痛の予防薬として効果が期待できます。

カルシウム拮抗薬は主に血管を拡張させて血圧などを改善する薬剤ですが、片頭痛の予防薬としては血圧への影響が少ない薬剤が主に使われます。ロメリジン塩酸塩(商品名:テラナス®、ミグシス®)は片頭痛発作予防薬として保険適応をもつ薬剤です。他のカルシウム拮抗薬では、通常は不整脈狭心症などの治療薬として使われているベラパミル塩酸塩(主な商品名:ワソラン®)などを片頭痛の予防薬として使う場合もあります。

またβ遮断薬のプロプラノロール塩酸塩(主な商品名:インデラル®)やメトプロロール酒石酸塩(主な商品名:セロケン®、ロプレソール®)、ACE阻害薬のエナラプリルマレイン酸塩(主な商品名:レニベース®)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬のカンデサルタンシレキセチル(主な商品名:ブロプレス®)などの高血圧や心疾患などの治療薬も片頭痛の予防に効果が期待できる薬剤とされています(実際に、プロプラノロール塩酸塩は片頭痛発作の発症抑制にも保険適応をもつ薬剤です)。

 

その他、片頭痛の予防薬としては抗うつ薬が使われることもあります。特に三環系抗うつ薬のアミトリプチリン塩酸塩(主な商品名:トリプタノール®)は広く使われている薬剤の一つです。またSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬も片頭痛の予防に効果が期待できるとされています。

またビタミンB2(リボフラビン)、フィーバーフュー(fever few:ハーブの一種)、マグネシウムといった自然食品やサプリメントもある程度の片頭痛予防効果が期待できるとガイドライン(「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」)にも記載されていて選択肢の一つとされています。

片頭痛を誘発させる要因としてはストレスや睡眠(過不足)などの精神的因子、月経周期、アルコールなどの飲食物、天候の変化や温度差など様々です。薬剤による片頭痛の予防は有効的な治療方法の一つですが、普段の生活習慣などにも注意を払う必要があります。現在では医学的な視点から頭痛の症状について専門的に診察を行う頭痛外来が多く存在します。頭痛に関しての悩みがある方は受診を考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。