へんずつう
片頭痛(偏頭痛)
若い人から中年の人に多い頭痛の一種で「偏頭痛」と同じ。頭の中の血管が広がることで痛みが起こる
26人の医師がチェック 184回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 片頭痛(偏頭痛)のQ&A

    片頭痛の原因やメカニズムについて教えて下さい。

    片頭痛の原因、メカニズムについては様々な説があり、確定的なものは未だありません。

    有力な説としては、脳幹と呼ばれる脳の中枢の問題、三叉神経と呼ばれる頭部の神経の問題、脳の血管の問題、とする3つの説があります。以前は脳の血管が広がって血流が豊富になることが原因とされていましたが、現在ではそれだけでなく、何らかの神経と血管の関連に鍵があるのではないかと考えられています。

    片頭痛は、どんな症状で発症するのですか?

    片頭痛では、以下のような症状が典型的です。必ずこの通りになるというものではありませんが、当てはまるものが多いほど、片頭痛である可能性が高くなります。

    • 1回あたり4-72時間続く頭痛発作を繰り返す
    • 頭の片側が痛くなる
    • ズキズキと、血管が脈打つのに合わせて痛みが生じる
    • 歩きまわったりするだけで頭痛が悪化する
    • 吐き気が生じたり、光や音によって不快感を覚える
    • 様々な前兆症状(詳細は別項目で紹介します

    片頭痛はどのように診断するのですか?

    片頭痛は、画像検査や血液検査で診断ができる病気ではありません。もちろんこれらの検査も行うことがありますが、他の病気でないことを確かめるために行う検査だと理解していただければ良いでしょう。片頭痛の特徴としては、

    • 頭痛発作を繰り返す
    • 発作は4-72時間持続する
    • 片側性(頭の両側ではなく片側の痛み)
    • 拍動性(ドクンドクンと脈打つような痛み)

    といったものがあり、室内を歩きまわるといったような軽い刺激で痛みが悪化して、そのせいで日常生活に支障が出る(仕事や家事が行えない)というのが典型的な経過です。

    片頭痛の治療薬にはどのような種類がありますか?

    片頭痛の薬には、いくつかの種類があります。

    • アセトアミノフェン
    • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
    • エルゴタミン
    • トリプタン
    • 制吐薬(吐き気止め)

    重症度に応じて使い分けますが、軽度であれば、NSAIDsやアセトアミノフェン、制吐薬を使用します。

    これらの治療でも症状を抑えきれない時に、トリプタン製剤を考慮します。

    また、薬剤による治療ではありませんが、静かな暗い部屋で休む、痛む部位を冷やすなどが効果的と感じる方もいます。

    片頭痛は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    全国調査によると、国内の有病率は8.4%と報告されています。若年者に限ると中学生4.8%、高校生9.8%であり、20-40歳代の女性には特に多いとされています。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    片頭痛は日本でも多いことがわかってきました。ですが、日常生活に支障が出るレベルの強い頭痛であっても、医療機関を受診しない方も多いようです。

    頭痛に悩まされて日常生活が適切に送れない方は、医療機関(神経内科、脳外科、頭痛専門医)での相談をおすすめします。

    片頭痛の「前兆」とはどのような症状ですか?

    片頭痛では、頭痛の直前や頭痛と同時に、視覚や感覚の異常が生じることがあります。これを、片頭痛の「前兆」と呼びます。

    前兆は5-20分間かけて徐々に出現し、60分以内に自然に改善します(その後頭痛が続きます)。具体的な前兆の内容としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 視覚の異常
      • きらきらした光、点、線が見える(閃輝暗点)
      • ものが見えづらくなる
    • 体の麻痺
      • 手足や顔にチクチクしたしびれを感じたり、感覚がにぶくなったりする
      • 手足が動かしづらくなる
    • その他の症状
      • 言葉がうまく話せなくなる
      • めまい
      • 耳鳴り、聞こえが悪くなる
      • 意識がもうろうとする

    片頭痛の使い分けで、トリプタン製剤はどのように使うのですか?

    トリプタン服用のタイミングは、頭痛が軽度か、もしくは頭痛発作早期(発症より1時間くらいまで)が効果的です。片頭痛の前兆期にトリプタンを使用しても支障はありませんが、無効の可能性があります。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    トリプタン製剤(スマトリプタン、商品名:イミグランなど)は頭痛がひどくなってから使っても意味がありません。少し痛くなってきた、ぐらいの時がベストです。

    また、トリプタンには内服薬の他に点鼻薬(鼻から使用するスプレー)、注射薬もあります。効果が出るまでの速さは、注射薬、点鼻薬、内服薬の順です。

    片頭痛を引き起こす原因にはどのようなものがありますか?

    片頭痛を誘発する要素として、以下のものがあります。

    • 精神的因子:ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠の過不足
    • 内因性因子:月経周期
    • 環境因子:天候の変化、温度差、頻回の旅行、におい
    • 食事性因子:空腹、アルコール

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    片頭痛の患者さんの多くには誘発・増悪因子があることが知られています。様々な食品が片頭痛を誘発し得る(アルコールに加えてチーズやチョコレート、ナッツなど)のですが、あまりに制限し過ぎるとかえってストレスがかかってしまい、それもまた片頭痛の誘引となります。最近では、あまり制限し過ぎないほうが良いという意見が多いです。

    片頭痛の使い分けで、エルゴタミン製剤はどのように使うのですか?

    エルゴタミンは、トリプタンを使用しても頻回に頭痛を繰り返す場合に使用価値があります。しかし、早期服用での効果はNSAIDs以下であり、また副作用として嘔吐が出やすいため、使用の範囲は限られています。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    従来から使用されてきたエルゴタミン製剤ですが、近年ではトリプタンを優先して使用することが多いです。妊娠中や授乳中にも原則的に使用できない薬剤であるため、若年女性は特に注意が必要です。

    片頭痛の使い分けで、アセトアミノフェン、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)はどのように使うのですか?

    アセトアミノフェンやNSAIDsは安全性が高く第一選択として推奨されます。しかしトリプタンに比べて効果は限定的であり、これらで効果がない方は早期にトリプタンの使用を検討します。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    頭痛にはまず一手目の痛み止めとして、アセトアミノフェン(商品名:カロナール、コカールなど)やNSAIDs(ロキソプロフェン、商品名:ロキソニンなど)を使います。これらで頭痛が改善すれば良いのですが、片頭痛はこういった薬では効果が不十分なことが多いです。その場合にはトリプタン製剤(スマトリプタン、商品名:イミグランなど)の使用を開始した方が良いでしょう。

    妊娠中、授乳中の片頭痛治療はどうすれば良いのでしょうか?

    多くの方では妊娠中には片頭痛発作の頻度が減少することが知られています。しかしそれでも重度の発作を起こし、治療が必要な場合にはアセトアミノフェンが勧められます。

    エルゴタミン製剤は妊娠中、授乳中の使用が禁忌(赤ちゃんに影響が及ぶ可能性がある)とされており、またトリプタン製剤については、妊娠中の胎児に明らかに悪影響があるとする根拠はありませんが、十分な情報が集まっていません。授乳中の方がトリプタン製剤を使用した場合には、スマトリプタンならば使用後12時間、その他のトリプタンならば24時間経過した後に授乳させることが望ましいとされています。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    妊娠、授乳中は使える薬が制限されてしまいます。どの薬を使うか、かかりつけ医とよく相談して下さい。決してご自身だけで判断されないようにお願いします。

    「月経時片頭痛」とは何ですか?

    片頭痛を経験される女性のうち約半数は、片頭痛発作が月経周期に関連して起こることを自覚していると報告されています。この時期に起こる発作は他の時期にみられる発作に比べて重度で持続時間が長く、治療が効きにくいことが問題です。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    月経と関連した片頭痛を訴える方は非常に多いです。アセトアミノフェンやNSAIDsではなかなか治らないものですから、トリプタン製剤を積極的に使うべきだと考えられています。

    片頭痛は予防できるのですか?

    特定の薬剤を使用することで、片頭痛の発作を減少させることができます。片頭痛発作が月に2回以上あるいは6日以上ある方では、予防療法の実施について検討してみることが勧められます。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    片頭痛に対する痛み止めを過度に使用しすぎると、薬物乱用頭痛といってさらなる頭痛を招くことがあるので注意が必要です。頭痛を和らげるつもりでも薬を使用し過ぎていると、かえって治療が難しくなり長期的に(年単位で)苦しむことになり得るため、痛み止めの使用量にはかなり慎重になって良いと思われます。

    このように痛み止めを使用し過ぎなければならない状態を避けるためにも、あらかじめ発作を予防するための方策が必要となります。

    片頭痛の予防療法はいつまで続けるべきですか?

    予防療法の効果判定には少なくとも2か月を要します。特に副作用などがなければ3-6か月は予防療法を継続します。その上で片頭痛のコントロールが良好になれば予防薬を徐々に減らし、可能であれば中止することが勧められています。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    どの薬もそうですが、予防療法で使う薬にも、効果と同時に様々な副作用があり得ます(眠気、低血圧、肝障害など)。まずは副作用がないか見極めることが必要です。

    効果的な予防療法が見つかった場合、いつまで続けるかは難しいところです。症状とのバランスなので、かかりつけの先生と相談しながら決めていきましょう。

    片頭痛の予防に効果があるビタミンやサプリメントなどはありますか?

    マグネシウム、ビタミンB2、feverfewはある程度の片頭痛予防効果を期待することができます。これらの薬剤の副作用には重篤なものはみられず、また安価であることから片頭痛予防薬として考慮してもよいとされています。

    参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会

    上に挙げたようなものは、片頭痛の予防効果があるのではないかと言われています(feverfew「ナツシロギク」とはハーブの一種です)。ご自分で判断するのではなく、かかりつけの先生と相談しながらこういったものを試してみるのも良いかもしれません。

    通常の食事から摂取する量であれば問題ありませんが、マグネシウムなどのサプリメントを、定められた量以上に多く摂ると危険性もありますのでご注意なさってください。

    片頭痛は、いつまで続く病気ですか? 治ることはあるのですか?

    片頭痛は、大まかに言えば、年をとるにつれて改善してくる病気です。

    海外の報告によると、片頭痛の有病率は次のように、加齢に伴って減少してきます。

    • 男性:30代 9%、50代 5.9%、60歳 2.1%
    • 女性:30代 39.1%、60歳以降6.4%

    若くして片頭痛である方の大半については、徐々に治ってくる病気でもあるとは言え、それまでに何年もかかると言うと日常生活に大きな支障が出てしまいます。このようなことからも、薬剤の適切な使用や、生活リズムのコントロールで症状とうまく付き合っていくことが大切な病気の一つです。


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