2018.05.30 | ニュース

膿疱性乾癬の治療ほか、効能など追加の医療用医薬品5製品はどんな薬?

報告書等の記載を中心に
膿疱性乾癬の治療ほか、効能など追加の医療用医薬品5製品はどんな薬?の写真
(c) Monet - Fotolia.com

3月23日に、厚生労働省が医療用医薬品5製品に対して効能・効果の追加などを承認しました。対象となったヒュミラ、ベルケイド、ワンパル、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)について説明します。

ヒュミラとは?

アダリムマブ(商品名ヒュミラ®)は、以前から関節リウマチなどに使われている治療薬ですが、既存治療で効果不十分な疱性乾癬が効能・効果に追加されました。

膿疱性乾癬はいくつかのタイプに分かれますが、ここでは膿疱性乾癬(汎発型)について説明します。膿疱性乾癬(汎発型)はまれな病気で、急激な発熱、全身の皮膚に多発する3-5mmほどの膿疱(膿を持った塊)などの症状を現します。治療としてエトレチナートやシクロスポリン、インフリキシマブなどの薬剤が使われますが、治療で症状が軽くなったあと再発することもあります。

臨床試験では、膿疱性乾癬(汎発型)の患者10人がアダリムマブによる52週間の治療を受けました。治療開始時と比べて16週後に、皮膚症状のスコアが改善したかで評価したところ、10人中7人(70%)が目標水準の改善を達成しました。52週後では5人(50%)が改善を達成していました。

副作用やその他の原因により現れた症状など(有害事象)は、52週後までに9人(90%)にありました。主な有害事象は鼻咽頭炎、掻痒症などでした。

なお、ヒュミラ®には薬剤の量などが違うさまざまな規格の製品があり、そのうち効果不十分な膿疱性乾癬の効能・効果が追加されたのは一部の規格だけなので、区別して使う必要があります。

 

ベルケイドとは?

ボルテゾミブ(商品名ベルケイド®)はがん治療薬です。多発性骨髄腫などに使われていますが、新たに「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」の効能・効果が追加されました。

原発性マクログロブリン血症はリンパ形質細胞リンパ腫のうち一部の場合にあたります。リンパ形質細胞リンパ腫は、まれな病気で、血液の細胞由来のがんの一種です。治療には抗がん剤などが使われます。ボルテゾミブは海外で標準的に使われていることから公知申請されました。

一般的に知られている副作用のうち、比較的多くの人に現れるものとして、末梢神経障害骨髄抑制、肝障害、発熱、感染症、食欲不振、消化器症状、発疹、腎障害、だるさなどがあります。

 

ワンパルとは?

ワンパル®1号輸液/ワンパル®2号輸液は、高カロリー輸液製剤です。口から食べられないなどの状態により、太い血管に入れた管から点滴で栄養を取ることが必要になった時に使います。「経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質アミノ酸、カロリー、ビタミン亜鉛、鉄、銅、マンガン及びヨウ素の補給」を効能・効果として承認されました。同様の成分を含む輸液製剤はほかにもありますが、海外のガイドラインなどに基づき配合割合を変え、また既存の輸液製剤よりも少ない液量で1日に必要な栄養分を補給できる濃度として作られました。

 

新型インフルエンザ対策のワクチンとは?

販売名「乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1筋注用「化血研」」と「乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用」という2種類のインフルエンザワクチンに対して、子供の用量が追加されました。

これらのワクチンは通常のインフルエンザワクチンとは違い、将来新型インフルエンザが発生して世界的な流行(パンデミック)を起こした場合の対策として作られるもので、毎年の予防接種には使われません。

 

インフルエンザウイルスには多くの種類があり、ワクチンもウイルスの種類に対応して違いがあります。毎年の予防接種ではその年に流行するウイルスの種類を予測して作ったワクチンを使っています。

パンデミックの際に問題となる新型ウイルスに対応したワクチン(パンデミックワクチン)を作るには、そのウイルスを元にする必要があるため、新型ウイルスが発生してからでないとパンデミックワクチンは作れません。

「乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用」は、パンデミックワクチンの模擬(プロトタイプ)として製造方法と品質管理方法の内容が承認されたもので、実際にパンデミックが発生した際には元にしたウイルスを新型ウイルスに変更することが想定されています。このワクチンが最初に承認された時点では、子供を対象にした臨床試験が実施中だったため、子供の用量は成人の用量を元に設定されていました。臨床試験の結果に基づいて、改めて子供の用量が決められました。

また、パンデミックが発生してからパンデミックワクチンを製造するには時間がかかるため、最初の対応として迅速に使えるよう、「プレパンデミックワクチン」と呼ばれるものが現在備蓄されています。プレパンデミックワクチンは、鳥インフルエンザとして知られる「H5N1」という種類のウイルスに対応したもので、将来発生した新型ウイルスに対して有効かどうかは予想できませんが、ある程度の効果を示す可能性も考えられます。

「乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1筋注用「化血研」」は、プレパンデミックワクチンとして承認されたものです。最初に承認された時点では20歳未満の子供に対する臨床試験が行われていませんでしたが、改めて子供の用量が決められました。

 

まとめ

3月23日に効能・効果の追加などを承認された5製品を紹介しました。なお、同日に承認された新薬16製品については別の記事で紹介しています。

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新しい効能・効果などを持った薬によって、治療に使える選択肢がさらに広がります。臨床試験から報告されているデータなどを参照しながら、ひとりひとりに合わせた治療を考えることができます。

執筆者

MEDLEY編集部

参考文献

ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.4mL/ ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.2mL/ ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL/ ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL/ ヒュミラ皮下注80mgシリンジ0.8mL/ ヒュミラ皮下注40mgペン0.4mL/ ヒュミラ皮下注80mgペン0.8mL インタビューフォーム、ベルケイド注射用3mg 添付文書、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書 ボルテゾミブ 原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫、ワンパル1号輸液・同2号輸液 エイワイファーマ株式会社 審査報告書、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用「化血研」 審査報告書、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチンH5N1筋注用「化血研」 審査報告書

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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