とりいんふるえんざういるすかんせんしょう
鳥インフルエンザウイルス感染症
鳥由来のインフルエンザウイルスに感染することで、発熱や咳、呼吸困難などが生じる感染症
5人の医師がチェック 84回の改訂 最終更新: 2024.02.14

鳥インフルエンザウイルス感染症の基礎知識

POINT 鳥インフルエンザウイルス感染症とは

鳥に感染するインフルエンザウイルスが人間に感染した病気です。鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥の排泄物や死骸に接触して鳥から人間にうつります。主な症状は発熱・頭痛・関節痛・呼吸困難・鼻出血・咳・咽頭痛・嘔吐・下痢などです。 インフルエンザに迅速検査を行って診断します。しかし、迅速検査ではインフルエンザウイルスの種類まではわからないため、鳥インフルエンザウイルスかどうかを調べるためには遺伝子検査を行います。この遺伝子検査はごく限られた医療機関でした行うことができません。治療には抗インフルエンザ薬を用います。鳥インフルエンザウイルス感染症が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。

鳥インフルエンザウイルス感染症について

  • 鳥由来のインフルエンザウイルスに感染することで、発熱や咳、呼吸困難などを生じる病気
  • ヒトの病気としての「鳥インフルエンザ」は、本来であれば鳥にしか感染しない種類のインフルエンザウイルスに変異が生じて、ヒトにも感染したものを指す
    • インフルエンザウイルスに感染した鳥やその排泄物、死体などに接触することで鳥からヒトに感染する
  • アジアを中心に感染の報告があり、タイプによっては重症になりやすいものもある
  • 潜伏期間は1-10日(2-5日が多い)
  • 感染症法において2類感染症に分類されており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある

鳥インフルエンザウイルス感染症の症状

  • 主な症状
    • 発熱
    • 頭痛
    • 関節痛
    • 呼吸器症状(のど痛み、咳など)
    • 嘔吐、下痢
    • 鼻出血
    • 呼吸困難
  • 重症化すると急性呼吸窮迫症候群ARDS)や多臓器不全を起こし、命に関わることもある

鳥インフルエンザウイルス感染症の検査・診断

  • インフルエンザ迅速検査
    • 綿棒で鼻の奥の粘液を採取して、インフルエンザ感染の有無を判定する
    • ただし、鳥インフルエンザであるかどうかを詳しく検査するには、遺伝子検査のような精密検査が必要
  • 血液検査
    • 全身の炎症の程度や腎機能・肝機能の程度などを調べる
    • 特殊な血液検査項目ではウイルスの種類(従って、通常のインフルエンザか鳥インフルエンザか)が判別できるが、ごく限られた医療機関でしか行うことができず、また検査結果が出るまでに時間を要する
  • 胸部レントゲンX線)検査、胸部CT検査
    • 肺炎ARDSといった重症の合併症の有無を確認する

鳥インフルエンザウイルス感染症の治療法

  • 主な治療法
  • 重症化してARDSや多臓器不全を合併していれば入院の上で全身管理が必要になる
    • 入院で個室隔離のうえ治療するのが原則
  • 予防法
    • 衰弱又は死亡した鳥、その排泄物に直接触れない
    • 特に流行が認められている国では、鳥類に不必要に近寄らない
    • 十分に加熱された鳥肉、卵を食べる

鳥インフルエンザウイルス感染症の経過と病院探しのポイント

鳥インフルエンザウイルス感染症が心配な方

鳥インフルエンザウイルスは、基本的には人に感染しづらいウイルスです。しかし、その中でウイルスが変異して人に感染するようになってしまったものが、症状を引き起こすことになります。

鳥インフルエンザウイルス感染症を担当する診療科は感染症科(感染症内科)です。しかし、感染症専門医であっても、鳥インフルエンザの診療経験のある医師は多くありません。海外の流行地域から帰ってきたばかりであるといったような病歴や、病状から鳥インフルエンザウイルス感染症が疑われた時点で、大学病院など地域の中核病院に移動して入院治療を受けることになるでしょう。

特殊な検査を行わない限り、ただのインフルエンザではなく鳥インフルエンザウイルス感染症だという診断はつけられません。ご自身が鳥インフルエンザにかかっているかもしれないという心当たりがあるようであれば、まずは受診前に病院に電話で相談することをお勧めします。病院によっては、鳥インフルエンザの疑いがあるという時点で、その施設では対応できないために他の大きな病院を紹介されるということがあります。

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鳥インフルエンザウイルス感染症でお困りの方

鳥インフルエンザウイルス感染症の治療は、基本的にインフルエンザの治療薬と同じです。タミフル®やリレンザ®、イナビル®、ラピアクタ®といったような抗インフルエンザ薬を使用します。しかし通常のインフルエンザよりも重症化しやすく命に関わることが少なくないため、入院の上で慎重な治療が求められます。

鳥インフルエンザウイルス感染症は診断がつき次第その場で(あるいはすぐに地域の中核病院へ転院となった上で)治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地はあまりありません。

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