脂漏性皮膚炎の日常生活の注意点:洗顔、シャンプー、食事など
脂漏性皮膚炎になると何か自分でできる対処方法はないかと考えるかもしれません。脂漏性皮膚炎は皮脂分泌や内分泌の異常、
目次
1. 脂漏性皮膚炎のセルフケア:顔のスキンケア
脂漏性皮膚炎の治療は洗顔などで肌を清潔に保つことと、皮膚科などで処方された塗り薬を適切に使用することが重要です。肌を清潔に保つと言っても、過度な洗顔はかえって肌の負担になります。ここでは顔の脂漏性皮膚炎に対するスキンケアについてみていきます。
洗顔時にどんなことに気をつけたらよいか
脂漏性皮膚炎では皮膚を清潔に保つことは治療でもっとも重要なことです。朝夕の1日2回は洗顔を行います。洗顔時に気をつけることは次の通りです。
- ぬるま湯で洗うこと
- 皮膚をこすらずに泡のみで洗うこと
- 症状によっては刺激の弱い洗顔料を使うこと
脂漏性皮膚炎が起きている人はもともとベタつきのある肌質のことが多く、熱いお湯で洗ってさっぱりしたくなるかもしれません。しかし熱いお湯で洗うと皮脂がいったん全てとれてしまい乾燥につながります。乾燥はかえって過剰な皮脂の分泌を促すのでぬるま湯を使用してください。洗うときに強くこすることも皮膚の刺激になるのでやめてください。顔についたかさぶたやカサカサした部分を取ろうと強くこすると
どのような洗顔料を使って洗顔すればよいか
洗顔料は自分の肌に合うものを使用してください。脂漏性皮膚炎で皮膚の炎症が強い時には、長年使用してきたものでも刺激になることがあります。洗顔中にしみるものや、洗顔後に肌がさっぱりしすぎる、乾く、つっぱるものなどは刺激が強すぎる可能性があります。そのような場合には低刺激性のものを選んでみてください。
脂漏性皮膚炎では皮脂が多くベタつきが気になって、皮膚をきれいにしようと角質ケアやピーリング効果のある洗顔料を使用したくなるかもしれません。しかし皮膚の表面は弱くなっているため、炎症がさらに悪化する可能性がありますので控えてください。
脂漏性皮膚炎はマラセチアという真菌(カビ)が要因になります。そのカビに対する抗真菌薬が含まれている洗顔料もありますので、肌に合う場合は使用してみても良いです。 必ずしも抗真菌薬が含まれているものでなくとも自分の肌に合うものを使用することが重要です。
基礎化粧品はどのようなものを使えば良いか?:化粧水・乳液など
肌は乾燥すると水分を補うために皮脂の分泌を増やすため、洗顔後は乾燥しないように十分に保湿します。肌が炎症を起こしているときは基礎化粧品がしみることがあります。その場合には低刺激性のものを使用してみてください。
保湿剤はどれがいいということはなく、肌に合うものを使用してください。化粧水を使用後には乳液を使用します。ベタつきが気になる場合には、軽い仕上がりのものを選んでみてください。保湿剤を塗るときに何回もこすると刺激になるため、1つで保湿が完了するものを使用しても良いかもしれません。
乾燥を防ぐ保湿はどのように行えば良いのか
洗顔後は清潔なタオルで抑えるように水分を拭き取ります。その後、保湿するまで時間が開くと肌が乾燥するのでなるべく早く基礎化粧品を使用することが大切です。乾燥は皮脂の分泌を過剰にするため洗顔後はしっかりと保湿をしてください。手を使ってもコットンを使ってなじませてもどちらでも構いません。力を入れすぎたり、強くパッティングなどせず、優しくなじませてください。
脂漏性皮膚炎はもともと皮脂が多めの人に起こりやすいため、ベタつきやテカリが生じないようにと洗顔後の保湿を控えてしまうことがあります。しかし、保湿は肌に水分を与える大切な効果があります。水分不足の乾燥は皮脂の分泌を増やすので保湿はきちんと行います。ベタつきが気になる場合は、軽い仕上がりでも潤うものを選んで使用してみてください。
メイクはどのように行えば良いのか:ファンデーションなど
脂漏性皮膚炎で肌が荒れている時にはメイクがうまくできないかもしれません。もしメイクをしたい場合には低刺激性のものを使用してください。あまり油分の多いファンデーションなどを使用すると肌の負担になる可能性がありますので控えてください。
炎症が強い場合にはメイクを控えるように言われるかもしれません。メイクをしない場合でも、紫外線による肌への負担を避けるために外出時には日焼け止めを使用してください。
2. 脂漏性皮膚炎のセルフケア:頭皮・髪の毛のケア方法
頭部の脂漏性皮膚炎の治療も基本は清潔に保つことと、皮膚科で処方された薬を適切に使うことです。頭皮の場合は顔に比べて
どんなシャンプーを使えば良いのか?
脂漏性皮膚炎の洗髪に使用するシャンプーは頭皮に合うものを使用してください。長年使用していたものでも、頭皮の状態によって合わなくなることがあります。頭皮が痒くなる、過度に乾燥するなどの場合には低刺激性のシャンプーを使用してみてください。
抗真菌薬入りのシャンプーは効果が期待できますが、人によってはかぶれを起こしたり、刺激が強すぎたりすることがあります。その場合、数日に1回の頻度で抗真菌薬のシャンプーを使うという方法も考えられます。ただし、肌に合わないのに効果があるからと言って無理に使用することはありません。その他にも薬用シャンプーなどがありますが、特別なものを使用する必要はなく、頭皮に合うものを選ぶことが重要です。
洗髪方法の注意点
洗髪時は頭皮を傷つけないように洗うことが重要です。髪の毛をぬるま湯で洗い流した後に、適量のシャンプーを適量の水分で泡立ててから、頭皮や髪の毛につけて、指の腹でなでるように頭皮を洗います。この時に強くブラッシングしたり、爪を立てて洗ったりすると、頭皮を傷つけて炎症を悪化させるので避けてください。頭皮にこびりついたかさぶたやフケなどを綺麗にしようと強くこすりたくなるかもしれませんが、かえって炎症を引き起こして悪化させてしまいます。
洗髪後は十分にすすぐようにしてください。
洗髪後の注意点:髪の毛はきちんと乾燥させる
洗髪後に髪の毛を濡れたままにしておくと、脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチアという真菌(カビ)が増えやすくなります。洗髪後はドライヤーでよく乾かしてください。髪の毛が濡れたまま寝ないように気をつけてください。
頭皮への効果的な薬の塗り方とは?
適切に洗髪をした後にローション剤を使用します。つける際は髪の毛につけるのではなく、髪の毛をわけて頭皮(患部)に薬を塗るようにします。頭に塗る場合には患部は自分では見えないので、他の人につけてもらうと塗りやすいです。自分で塗る場合には、薬を持っていない方の手で髪の毛をわけて、ローションを少しずつ手に取って髪の根元からなじませるようにそっと指で伸ばします。塗る量は、1円玉の大きさくらいの量のローションを、手のひら2枚分の広さに塗り広げるのが目安です。
3. 脂漏性皮膚炎のセルフケア:赤ちゃんのケア方法
赤ちゃんは皮脂の分泌が盛んなため脂漏性湿疹が起きやすくなります。赤ちゃんに起こる乳児脂漏性皮膚炎は生後2−3週から生後4−8ヶ月までによくみられます。赤ちゃんの乳児脂漏性皮膚炎のセルフケアも大人と同じで、皮脂を除去するためのスキンケアを行います。皮膚を清潔に保つことが基本的なケアで、乾燥しないように適切に保湿を行います。
頭部と顔・全身に分けて説明します。
頭部の乳児脂漏性皮膚炎のセルフケア
基本的な治療は清潔に保つことです。乳児はもともと皮脂の分泌が多く、前頭部から頭頂部にかけてが脂漏性皮膚炎を起こしやすい部位です。基本的なセルフケアはシャンプーで1日1回髪の毛とともに頭皮を洗うことです。ぬるま湯で頭部を濡らした後に、指の腹で地肌をこすらないよう優しく洗ってください。顔や首筋にかかった泡も良く洗い流してください。
脂漏性皮膚炎がひどくなり、かさぶたが頭皮にべったりと付着した場合には、通常の洗髪では取れません。初期の薄いかさぶたの場合にはオリーブオイルをつけて柔らかくして取り除きます。この時、オイルが残らないように十分にシャンプーで洗ってください。
分厚いかさぶたの場合には白色ワセリンや
使用するシャンプーはその他の皮膚トラブルがない場合には、ベビー用でも成人用でも構いません。家族にアトピー性皮膚炎などの人がいる場合で、赤ちゃんも皮膚が弱い可能性があれば、低刺激性シャンプーを使用してください。
顔・全身の乳児脂漏性皮膚炎のセルフケア
顔や全身の脂漏性皮膚炎のケアも基本的には清潔に保つことです。石鹸もしくは洗顔料を使って1日1回洗浄を行います。よく泡立てて優しく洗うか、柔らかい綿の布などで洗います。洗った後はよくすすぎます。眉毛にこびりついたかさぶたは石鹸などで洗うだけでは取れないことがあるため、オリーブオイルなどを浸して柔らかくしてから洗います。一気に取ろうとすると、皮膚が剥がれて炎症が悪化することがありますので、毎日少しずつ剥がしていくようにします。
石鹸は皮膚トラブルがなければ通常のもので構いません。家族にアトピー性皮膚炎などの人がいる場合で、赤ちゃんの皮膚が弱い可能性があれば、低刺激性の石鹸や洗顔料を使用してください。
洗浄後は赤ちゃんであっても乾燥します。よく洗浄してかさぶたを取り除いた後に保湿を行います。子どもには大人のように何種類も重ね塗りするのが難しい場合があるため、1種類の保湿クリームを使って手で身体に塗ってください。夏場は保湿クリームでは油分が多い可能性あり、保湿用ローションなどに適宜変更します。小児科や皮膚科で処方してもらうこともできますし、市販の低刺激性ものを使用しても構いません。
4. 脂漏性皮膚炎は完治するの?
乳児の脂漏性皮膚炎はほとんどは2ヶ月程度で治ります。大人の脂漏性皮膚炎はなかなか完治が難しく、まずは症状を落ち着かせることが目標です。完治する場合もありますが、皮脂を過度に分泌するという体質的な原因がある場合もあり、再燃してしまう人も多いです。抗真菌薬入りのシャンプーや洗顔料は再発にある程度効果があるとされているため、肌に合う場合には使用するとよいかもしれません。
5. 脂漏性皮膚炎が治らない場合には何が考えられる?
大人の脂漏性皮膚炎はなかなか治りにくく長期間の治療が必要になることがあります。しかし長期間の治療を行なっても治らない場合には、次のような他の皮膚疾患の可能性も考えられます。
大人の場合には上記のような多くの病気が考えられます。特に頭部にできた尋常性乾癬では脂漏性皮膚炎と区別をつけるのが難しいです。それぞれ皮膚炎や湿疹ができた経過や色々な検査でどの病気であるかが診断されます。診断が難しい場合には、治療で治るかどうかなどを参考に診断が行われる場合もあります。
赤ちゃんの場合には、乳児脂漏性皮膚炎と同時期に起こりやすい病気として新生児ざ瘡やアトピー性皮膚炎などがあります。新生児ざ瘡は自然に治ることが多いため、症状が治りにくい場合にはアトピー性皮膚炎である可能性が考えられます。
それぞれの病気については「脂漏性皮膚炎と区別が難しい病気」に詳しく書いてありますので参考にしてください。
6. 脂漏性皮膚炎がうつることはある?
脂漏性皮膚炎がうつることはありません。脂漏性皮膚炎の原因の一つはマラセチアという真菌(カビ)です。真菌というと、うつるのではないかと心配になる人もいるかもしれませんがマラセチアは脂漏性皮膚炎ではない人の肌にもいる常在菌です。マラセチアはもともとみなさんが持っている真菌なので心配はいりません。
7. 脂漏性皮膚炎に効果があるサプリはあるの?
脂漏性皮膚炎の原因には、皮脂腺の機能異常、内分泌異常、真菌(カビ)などの様々な要素が考えられていますが、
8. 脂漏性皮膚炎の人が注意すべき食生活
脂漏性皮膚炎は生活習慣やストレスなどの原因が積み重なって起こるのではないかと考えられており、食生活も原因の一つと考えられます。
どのような食生活が脂漏性皮膚炎に効果があるとははっきりとはわかっていませんが、次のようなことに気をつけると良いではないかと言われています。
- 動物性脂肪や糖質の過剰な摂取を控える
- 高GI食品を控える
- ビタミンB群を積極的にとる
動物性脂肪や糖質の過剰な摂取や、高GI食品の摂取は皮脂の分泌を増加させる可能性があると言われています。
高GI食品のGIとはグリセミック指数のことで、摂取した食品の中の炭水化物が消化されて糖に変化する速さを相対的に表す値です。高GI値の食品を摂取すると急激に
ビタミンB群は皮膚の機能維持に関わっているため、ビタミンB群が多く含まれる食事は症状を改善させる可能性があります。ビタミンB群を多く含む食品は次のような食品です。
- レバー
- カツオ
- マグロ
- 大豆
- バナナ
- 乳製品
このような食品を普段の食事にバランスよく取り入れるように心がけてみると、脂漏性皮膚炎に効果があるかもしれません。ただし脂漏性皮膚炎と食事の関連ははっきりとはわかっていないため、まずは偏った食事を避けて、バランスよく食事をすることが重要です。