脂漏性皮膚炎の症状:皮膚のかゆみ・赤み、頭皮のフケなど
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌が多い頭皮や顔、皮膚が擦れやすい脇の下や肘の内側などに多く起こる湿疹です。赤みや皮膚の毛羽立ち、かさぶた、かゆみなどの症状があります。脂漏性皮膚炎は赤ちゃんもなりやすく同じような症状があらわれます。ここでは脂漏性皮膚炎の症状について説明します。
目次
1. 症状が起こりやすい部位
脂漏性皮膚炎の症状はどこに出やすいのでしょうか。脂漏性皮膚炎は、原因となる皮脂が多く分泌されているところに症状が出やすくなります。さらに、摩擦刺激によっても
具体的には次のような部位に脂漏性皮膚炎が起こりやすいです。
【皮脂の分泌が多い部位】
- 頭:頭皮・髪の生え際
- 顔:眉・眉間・鼻周囲・おでこ・頬・耳など
- 胸:前胸部の中央
- 背中:背中の上の方
【皮膚の摩擦が多い部位】
- 脇の下
- 肘の内側
- 乳房の下
- 太ももの付け根
- お尻の中央
脂漏性皮膚炎の起こりやすい部位についてさらに詳しく説明します。
頭:頭皮・髪の毛の生え際
脂漏性湿疹の2/3は頭皮に症状が起こります。頭皮の髪の毛の生えている部分は脂漏部位と呼ばれ、脂腺が多く集まる部位です。頭皮に起こるとフケが多くなり、同時にかゆみも感じることがあります。特に髪の毛の生え際に症状が起こると皮膚が赤くなり、皮膚に毛羽立つようなものが付着します。
顔:眉・眉間・鼻周囲・おでこ・頬・耳など
顔も皮脂分泌が多いため脂漏性皮膚炎が起こりやすい部位です。
よくTゾーンのテカリが気になるという話を聞くかもしれません。テカリは皮脂の分泌によるものなので、いわゆるTゾーンは脂漏性皮膚炎が起こりやすい部位です。おでこ、眉間、眉のまわり、鼻周囲などがそれにあたります。小鼻のまわりや、いわゆるほうれい線のあたりにも皮脂がたまりやすいため、脂漏性皮膚炎が起こりやすいです。頬や耳にも起こります。
乳児では耳の表側にじゅくじゅくした黄色い痂皮を伴う脂漏性皮膚炎が起こります。一方、成人は耳の裏側の付け根の部分に皮脂がたまりやすく、脂漏性皮膚炎がよく起こります。
胸・背中
前胸部の中央や背中の上方は皮脂分泌が多いため、脂漏性皮膚炎が起こります。
脇の下・肘の内側などの摩擦が多い部位
皮膚同士の摩擦が多いと刺激になり炎症が起こりやすくなります。脇の下は脂漏性皮膚炎が起こりやすく、その他にも肘を曲げた時に触れる部分、ふとももの付け根、お尻の割れ目の間などにも起こります。女性では乳房の下にも起こります。
つぎに脂漏性皮膚炎の症状についてみていきます。
2. 皮膚の赤み:紅斑(こうはん)
脂漏性皮膚炎では炎症を起こした皮膚が赤くなります。皮膚が赤くなった部分を
3. 皮膚の表面の毛羽立ち:鱗屑(りんせつ)
脂漏性皮膚炎の多くは、紅斑の上に毛羽立ったフケのようなものが皮膚に付着しています。これが鱗屑です。鱗屑が剥がれ落ちた状態を落屑(らくせつ)と呼びます。通常の皮膚では老化した角質細胞は自然に剥がれ落ちますが、表皮の角化が何らかの原因で速くなったり、角質層が過剰に作られると、皮膚の表面に角質が分厚くたまって鱗屑になります。
鱗屑には2つのタイプがあります。
- 脂っぽいベタベタした黄色い鱗屑
- 乾いた粉のような白い鱗屑
脂っぽい鱗屑は分厚くべったりと皮膚に付着します。頭部に乾いた粉のような鱗屑が起こるといわゆるフケになります。
4. 皮膚や頭皮のかゆみ:掻痒(そうよう)
脂漏性皮膚炎では軽いかゆみを伴うことがあります。特に頭部に脂漏性皮膚炎が起こると多くはかゆみを伴います。しかし、強いかゆみはあまり起こりません。強いかゆみを伴う場合には脂漏性皮膚炎以外の病気も考えられます。脂漏性皮膚炎として治療中に強いかゆみがでてきた場合はお医者さんに伝えてください。
5. 頭からのフケ
フケとは頭皮の皮膚の剥がれたものを言います。通常も老化した角質細胞は剥がれ落ちますが目立つことはありません。しかし、皮膚表面の角化に異常が起こると、剥がれ落ちる落屑が大きくなり目に見えるような大きさのフケになります。かゆみなどの症状がない場合も、頭皮のフケが多い場合には初期の脂漏性皮膚炎の可能性もあります。気になるようであれば皮膚科を受診をしてみてください。
6. 頭皮のかさぶた:痂皮(かひ)
頭皮の脂漏性皮膚炎では皮膚が赤み(紅斑)の上に鱗屑が付着します。鱗屑が集まって分厚くなるとかさぶたのようになります。かさぶたのことを医療用語では痂皮と呼びます。痂皮になった鱗屑をきれいにするには根気よくスキンケアを行う必要があります。
7. 赤ちゃんではどんな症状が起こりやすい?
乳児脂漏性皮膚炎は1/3近くの乳児が経験するよくある病気です。多くは生後3ヶ月をすぎると治まりますが、赤ちゃんの皮膚に赤い湿疹ができてくるとお母さんは心配になるかと思います。ここでは赤ちゃんの脂漏性皮膚炎の症状について説明します。
生後2週間から1ヶ月前後で顔、頭、耳などが赤くなり、白色や黄色の鱗屑や痂皮がくっつきます。鱗屑とは皮膚の表面の角化物が剥がれ落ちずにくっついた皮膚の毛羽立ちのようなもので、痂皮はそれらがあつまって分厚くなった、いわゆるかさぶたです。頭部だけでなく、皮膚同士が擦れやすいしわがある首、わきの下、太ももの付け根などにも広がることがあります。
頭皮や顔などでは、多く分泌された皮脂が頭皮や眉毛のまわりなどの毛で覆われた部分にたまります。たまった皮脂が原因で鱗屑ができ、さらに硬くなって黄白色の痂皮になります。毛で覆われていない顔や耳でも、過剰な皮脂分泌が皮膚に刺激を与えて炎症を起こし、赤くなって紅斑ができます。ときには
なぜ赤ちゃんの1/3にも乳児脂漏性皮膚炎が起こるのでしょうか。原因は性
8. 思春期〜大人ではどんな症状が起こりやすい?
脂質の分泌は生まれた直後は多く、子どもの頃は少なくなり、思春期で再度増えます。同じく皮脂の分泌亢進が原因となる、いわゆるニキビ(尋常性ざ瘡)が思春期から増えるのと同様、脂漏性皮膚炎も増加します。年代としては尋常性ざ瘡よりやや高く、20代から40代に起こります。高齢者にもみられ70代でも症状が起こります。
症状が起こる部位は頭皮がもっとも多く、フケがふえたように感じたり、白色や黄色の鱗屑や痂皮がくっつきます。鱗屑とは皮膚の表面の角化物が剥がれ落ちずにくっついた皮膚の毛羽立ちのようなもので、鱗屑が剥がれるとフケのように見えます。痂皮は鱗屑があつまって分厚くなったもので、いわゆるかさぶたです。頭皮は髪の毛があるため、分泌された皮脂がたまりやすく症状が起こりやすい部位です。髪の毛の生え際のおでこや、眉毛の周りも毛が多いため症状が起こりやすい部位です。
顔や胸や背中も皮脂の分泌が多く症状が起こりやすい部位です。皮脂がたまりやすくいわゆるTゾーンと呼ばれる眉間、小鼻の周り、ほうれい線や、耳の付け根などもよく症状が起こります。その他にも皮膚同士が擦れる脇の下や太ももの付け根などにも症状が起こることがあります。過剰な皮脂分泌により皮膚が刺激を受けて炎症を起こし、赤くなって紅斑となり、白色や黄色の鱗屑や痂皮がつきます。
大人の場合には乳児脂漏性皮膚炎と異なり治療に時間がかかることが多いです。いったん治っても皮脂が再度増えると症状が再燃することがあります。いったん症状がおさまった後でも、皮脂の分泌を抑えるような生活を心がけ、皮膚を清潔にして保湿を行うセルフケアの継続が重要です。