げんぱつせいめんえきふぜんしょう

原発性免疫不全症

生まれつき、免疫力が低下していて、感染症を起こしやすくなる病気

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6人の医師がチェック 112回の改訂 最終更新: 2017.07.21

原発性免疫不全症の基礎知識

POINT原発性免疫不全症とは

生まれつき免疫力が低くなる病気です。免疫不全を大きく分けると、細胞性免疫不全・液性免疫不全・好中球能低下・バリアの破綻となりますが、病気のタイプによってそのいずれが低下しているか変わります。合併した病気によって症状は変わります。 病気の経過に加えて血液検査や遺伝子検査を用いて診断します。予防的に抗菌薬を用いたり免疫グロブリンを補充して治療します。また、予防接種を受けることもとても需要になります。原発性免疫不全症が心配な人や治療したい人は、小児科や感染症内科を受診して下さい。

原発性免疫不全症について

  • 生まれつき、免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患力が低下していて、感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称を起こしやすくなる病気
    • 白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担うリンパ球血液中にある白血球の一種で、免疫の役割を担っている。B細胞、T細胞、NK細胞に分かれ、それぞれ働き方が異なる好中球血液中にある白血球の一種で、細菌や真菌に対する免疫を担っている)や免疫グロブリン白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする補体体内に入ってきた異物を何でも網羅的に排除する免疫システムに関わるタンパク質などの働きが低下することで起こる
  • 原発性免疫不全症を起こす病気は以下のようなものがある
    • 複合免疫不全症
      B細胞免疫を担うリンパ球(白血球の一種)のうちの一つ。Bリンパ球の他には、Tリンパ球とNK細胞がある系(液性免疫)及びT細胞系(細胞性免疫)の免疫不全をきたす
      ・Tリンパ球の数が足りなかったり機能が低下している状態に、ガンマグロブリンの機能が低下しているものを重症複合免疫不全症という
      ・以下の病気になりやすくなる
       ・ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効である感染
       ・真菌病気の原因となる微生物のうち、かびの仲間のこと。細菌に対する薬である抗菌薬は効果がなく、真菌感染症には抗真菌薬が用いられる感染
       ・ニューモシスチス・イロベチ(Pneumocystis jirovecii)肺炎(PCP)
       ・結核菌結核の原因となる菌。通常の抗菌薬が効きづらく、結核に対する抗菌薬は抗結核薬と呼ばれることもある感染
       ・非定型抗酸菌感染
      ・根本的な治療は造血幹細胞骨髄にある細胞で、全ての血球の元となる最初の段階の細胞を移植して、免疫不全のない状態にすることである
       ・造血幹細胞移植他人の(時には自身の)造血幹細胞を血液中に注入する治療。自分で正常な血球を作れない、白血病などの血液疾患で行われるを行わなければ2歳までにほとんどの赤ちゃんがなくなってしまう
       ・低下している免疫をカバーする意味で、ST合剤・抗真菌薬・ガンマグロブリンを定期的に投薬する
    • 免疫不全を伴う特徴的な症候群
      ・免疫の低下する病気の中でも、特徴的な症状を持つ免疫不全症を指す
      ・以下の病気がこの群に含まれる
       ・ウィスコット・オルドリッチ(Wiskott-Aldrich)症候群
       ・毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Teleangiectasia)
       ・高IgE症候群
    • 液性免疫不全を主とする疾患
      ・B細胞系の免疫不全が存在する
       ・生まれる前まで母親にもらっていたB細胞が亡くなった時期から感染にかかりやすくなる
      ・以下の感染症にかかりやすくなる
       ・ウイルス感染
       ・肺炎
       ・中耳炎
       ・髄膜炎
      ・以下の病気がこの群に含まれる
       ・X連鎖ガンマグロブリン血症
       ・分類不能型低ガンマグロブリン血症
       ・高IgM血症候群(IgM増加を伴う免疫不全症)
       ・選択的IgA欠損症
       ・IgGサブクラス欠損症
    • 免疫調節障害
      ・キラーT細胞免疫を担うリンパ球(白血球の一種)のうちの一つ。Tリンパ球の他には、Bリンパ球とNK細胞があるNK細胞免疫を担うリンパ球(白血球の一種)のうちの一つ。NK細胞の他には、B細胞とT細胞があるといった感染細胞の機能障害によって免疫不全となる
      ・以下の病気がこの群に含まれる
       ・Chediak-Higashi症候群
       ・家族性遺伝の影響により、血の繋がった家族の中で発生する可能性が高くなる病気の性質。家族性の病気であっても、必ず遺伝するとは限らない血球貪食リンパ組織球増殖症
       ・X連鎖リンパ増殖症候群
       ・自己免疫本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう状態性リンパ増殖症候群
    • 原発性他の病気や外部の要因によってではなく、その病気自体が自然発生したものであるということ。「二次性、続発性、転移性」と対比的に用いられる食細胞機能不全症及び欠損症
      ・好中球やマクロファージなどの食細胞の機能や数に異常があるため、免疫不全となる。
      ・生後間もなくから以下のような症状が起こりやすくなる
       ・肛門周囲細菌などに感染すると、免疫を担当する細胞(白血球)が細菌と戦うが、その結果として死んだ細胞や細菌が集まったものが膿である
       ・中耳炎
       ・リンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れる
       ・肝膿瘍
       ・骨髄炎
       ・敗血症
      ・抗生剤を使っても効果に乏しいことが多く、細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつ感染を繰り返してしまう
      ・以下の病気がこの群に含まれる
       ・先天性生まれつき、または生まれた時から起きていること。「後天性(後天的)」の対義語好中球減少症
       ・周期性好中球減少症
       ・慢性肉芽腫症
       ・白血球粘着異常症
    • 自然免疫異常
      ・人間の免疫には自然免疫と獲得免疫があるが、自然免疫力が低下している病気
       ・自然免疫:体内に異物が入ってもすぐに排除できるように生まれつき持っている免疫力
       ・獲得免疫:一度体内に入ってきた病原体を記憶して、2度目以降の襲来時に備えるように高まる免疫力
      ・以下の病気になりやすい
       ・肺炎(特に肺炎球菌細菌の一種。肺炎、髄膜炎、中耳炎など、様々な感染症の原因となり、唾液などを通じて飛沫感染をする
       ・中耳炎(特に肺炎球菌)
       ・単純ヘルペスウイルス感染(脳炎にもなりやすいので注意が必要)
       ・皮膚カンジダ真菌(かび)の一種であり、しばしば様々な部位で感染を起こす原因となる
      ・以下の病気がこの群に含まれる
       ・IRAK4欠損症
       ・Myd88欠損症
    • 自己炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る性疾患
      ・炎症を制御する機能が乱れることで、感染に対しても免疫力の低下が起こる
      ・以下の病気がこの群に含まれる
       ・TNF receptor-associated periodic syndrome(TRAPS)
       ・家族性地中海熱
       ・Cryopyrin-associated periodic syndrome (CAPS)
       ・Familiar cold autoinflammatory syndrome(FCAS)
       ・高IgD 症候群
    • 先天性補体欠損症
      ・生まれつき補体が存在しないため免疫不全となる病気
       ・補体は細菌が免疫細胞に捕らえられやすくする効果(オプソニン効果)の補助や好中球のサポート、グラム陰性桿菌を溶かす作用を司っている
      ・以下の病気にかかりやすい
       ・肺炎
       ・中耳炎
       ・髄膜炎
      ・ワクチンを打つことが推奨される(特に以下のワクチン)
       ・肺炎球菌ワクチン
       ・Hib(インフルエンザ桿菌肺炎や中耳炎をよく起こす細菌。子どもでは髄膜炎を起こすことが問題となっていたが、ヒブワクチンの出現によってその数は激減したタイプB)ワクチン
       ・髄膜炎菌髄膜炎を起こすことのあるナイセリア属の細菌。人か人へ感染を起こすことが知られており、髄膜炎を起こすと死亡率が高いワクチン
  • 罹患率一定期間内に発生した疾患の発症しうる母集団に対する割合。有病率と区別されるは1万人に1人程度の頻度である
  • 生後6か月~2歳ごろに発覚することが多い
  • 遺伝するものが多いため、家族にこれらの病気の人がいる場合には、病院で生活の注意などを相談すると良い

原発性免疫不全症の症状

  • 乳児のころから感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称を短期間にくり返す
  • 体重が増えない
  • 抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないを用いて感染症治療を行っても、効果に乏しいことがある

原発性免疫不全症の検査・診断

  • 血液検査:免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患反応に異常がないか調べる
  • 遺伝子検査:遺伝子に異常がないか調べる
  • 悪性腫瘍無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるAIDSなど、後天的に免疫不全を起こす病気についても調べる

原発性免疫不全症の治療法

  • 主な治療
    • 感染予防を日頃の生活から心がける
      ・手洗とうがいを徹底する
    • 家庭環境の整備
      免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患力がとても低い場合には、野菜の土を避けたり、掃除に気を使ったりして清潔を保つ必要がある
    • 薬物療法
      免疫グロブリン白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする補充療法
      ・予防的抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないの使用
    • 予防接種の接種
    • 手術
      造血幹細胞移植他人の(時には自身の)造血幹細胞を血液中に注入する治療。自分で正常な血球を作れない、白血病などの血液疾患で行われる白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担うを作る正常な細胞を移植する
  • 先天性生まれつき、または生まれた時から起きていること。「後天性(後天的)」の対義語免疫不全の子供に生ワクチンの接種を行うと命に関わるような全身感染を起こしうるので、絶対に生ワクチンは打ってはいけない
    • それ以外のワクチンについては、効果がある場合とない場合があるため、主治医と相談する必要がある