抗リン脂質抗体症候群 (APS)の基礎知識
POINT 抗リン脂質抗体症候群 (APS)とは
免疫の異常により身体のあちこちで血栓(血のかたまり)が形成される病気です。リン脂質に対する抗体が産生され、身体の中のリン脂質と反応を起こすことで起こるとされています。若い方が脳梗塞やエコノミークラス症候群を起こした場合や流産を繰り返す場合にこの病気を疑う必要があります。血液検査でリン脂質に対する抗体があるか、CTや超音波検査で身体の中に血栓がないかを確認します。治療としては血液をサラサラにする薬を使います。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。
抗リン脂質抗体症候群 (APS)について
抗リン脂質抗体症候群 (APS)の症状
抗リン脂質抗体症候群 (APS)の検査・診断
- 血液検査:血液を固まらせるしくみの異常を調べる
血小板 、凝固機能を調べる- 特徴的な
抗体 などの成分が見つかると診断の可能性が高まる- 抗カルジオリピン抗体(aCL)
- ループス抗凝固因子(ループスアンチコアグラント、LAC)
- 抗β2-グリコプロテインI抗体(抗β2GPI抗体)
- 梅毒の検査が誤って陽性になることがある
超音波検査 (エコー 検査)、CT 検査などで血栓 がないかを確認する
抗リン脂質抗体症候群 (APS)の治療法
抗リン脂質抗体症候群 (APS)の経過と病院探しのポイント
抗リン脂質抗体症候群 (APS)が心配な方
抗リン脂質抗体症候群は、そのもの自体で症状が出るというよりも、抗リン脂質抗体症候群によって脳梗塞や心筋梗塞、繰り返す流産など他の病気や状態を引き起こすものです。皮膚の色調の変化(網状皮斑と呼ばれます)といった症状はありますが、これも必ず出るというものではないので、ご自身で「抗リン脂質抗体症候群ではないか」と症状から疑うことは難しい病気かもしれません。
一方で、若い方で脳梗塞や心筋梗塞を発症している方や、流産を繰り返した方などで心配な方もいらっしゃるかと思います。このような場合には、その病気を発症した時に病院ですでに検査が行われていることも多いです。入院するような病状であれば一般的に測定するような血液検査項目(APTT)で異常が見つかるはずですので、その時に既に検査が済んでいて、抗リン脂質抗体症候群ではなさそうだという判断になっているかもしれません。まずは、先立った病気の際にかかった病院や医師に確認してみることをお勧めします。
病院を受診する際には、他の病状によって、循環器内科、産婦人科、膠原病科などが担当科になります。心臓や血管の病気を発症していれば循環器内科、流産を繰り返していれば産婦人科、特に症状がないが抗リン脂質抗体症候群の可能性を調べたい場合には膠原病科、といった具合です。
抗リン脂質抗体症候群 (APS)でお困りの方
抗リン脂質抗体症候群の治療としては、血液をさらさらにする内服薬を使用します。すでに他の病気でかかりつけになっている診療科の医師に担当してもらうことが多いでしょう。心筋梗塞ならば循環器内科、流産の経験があって妊娠を希望している場合には産婦人科、などです。他の病気がなくて抗リン脂質抗体症候群だけの診断がついている、ということは少ないですが、そのような場合には膠原病科や、場合によってはやはり循環器内科、産婦人科が担当となるでしょう。
この病気は、完治を目指して治療をするというよりも、他の病気の発症を予防するために治療をするという側面が強いです。残念ながら、抗リン脂質抗体症候群そのものを根治することは今の医学では難しいのですが、それによって他の病気を発症しないように、血液をさらさらに保つことを目的として治療を行います。
長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性や病院の通いやすさは重要な点です。大学病院などの大きな病院でないと診療ができないという病気ではありませんので、お近くに信頼できる主治医を見つけることが大切です。
抗リン脂質抗体症候群 (APS)のタグ
抗リン脂質抗体症候群 (APS)に関わるからだの部位





