けっせんせいじょうみゃくえん

血栓性静脈炎

血栓を伴う静脈壁の炎症。様々な原因によって起こる

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8人の医師がチェック 139回の改訂 最終更新: 2017.11.15

血栓性静脈炎の基礎知識

POINT血栓性静脈炎とは

静脈の中に血栓ができた上に炎症を伴った状態です。身体の表面にある静脈に血栓ができた場合に炎症が起こりやすいです。しかし、身体の深い部分にある静脈血栓ができた場合に炎症が起こることもありますし、深い部分の静脈にできた血栓は肺の血管に飛んでいって肺塞栓症を起こすことがあります。主な症状は皮膚の赤みやむくみ・血管の痛みですが、肺に血栓が飛んでいった場合は胸痛や息切れが起こります。また、感染が起こると適切な治療を行ってもなかなか治らないことがあります。 皮膚の状態や触った感触およびエコー検査、造影CT検査などで血栓を確認して診断します。治療は安静や冷却を行いますが、感染を伴う場合は抗菌薬を用います。また血栓が再発しないように弾性ストッキングを使用したり血をサラサラにする薬を使用したりします。血栓性静脈炎が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科や呼吸器内科を受診して下さい。

血栓性静脈炎について

  • 血栓性静脈炎
    • 血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多いができたことが原因で起こった静脈炎
    • 体の表面の静脈(表在静脈系)に起こりやすい
  • 深部静脈血栓
    • 手足の表面ではなく比較的内側にある静脈(深在静脈系)に血栓が生じた状態
    • 時に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを伴い、炎症を伴うと静脈炎になる
  • 同じ静脈炎でも血栓性静脈炎は軽くて済むことが多いのに対して、深部の静脈血栓症は重症化しやすい
    • 血栓が血流に乗って肺動脈肺と心臓は血液を互いに送り合って、酸素を血中に取り込む作業をしているが、この中で肺から心臓に向かう血管が肺動脈にまで飛んで行くことで肺塞栓血液中を流された血栓などの異物が、細い場所で血管に詰まった状態。その先へ血流が流れにくくなってしまう(いわゆるエコノミークラス症候群)になることもある
  • 静脈内の血栓が剥がれて血液の流れに乗ると肺の大事な血管に詰まってしまうことがあり、これを肺塞栓症と言う
    • 突然息が苦しくなったり胸が痛くなるなどの症状が出現する
    • 重篤な場合は命に関わる
  • 主な原因
    • 静脈炎
      ・静脈瘤、外傷、感染が原因となることがあるが、多くは原因不明
    • 静脈血栓症
      ・寝たきりなど、同じ姿勢でいる
      悪性腫瘍無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある
      ・妊娠中や産褥早期
      ・女性ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるエストロゲン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつ経口避妊薬排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える薬剤。エストロゲンとプロゲステロンといった、いわゆる女性ホルモンを含む薬剤であるピルの内服
      膠原病複数の臓器に炎症がみられる病気の総称。有名なものとしては関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがある
      ・手術後
      先天性生まれつき、または生まれた時から起きていること。「後天性(後天的)」の対義語もしくは後天性生まれてから起こること。「先天性(先天的)」の対義語の凝固異常(血のサラサラ度のようなもの)など
  • 血栓性静脈炎に感染が伴っている場合は、治療に難渋することがある
    • 血栓が感染起炎菌の栄養となってしまう

血栓性静脈炎の症状

  • 特徴的な症状
    • 発赤炎症などで、皮膚などが充血して赤くなること
    • むくみ体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じる
    • 血管の痛み
    • (脚の深部静脈に血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多いがあると)ふくらはぎを掴むと痛む
    • 上記の症状部位が硬くなる
  • まれに発熱や悪寒などの全身症状が現れることもある

血栓性静脈炎の検査・診断

  • 視診、触診:下肢のはれ、色調、皮膚温、表在静脈の拡張などをみる
  • 超音波ドプラー法
    • 下肢血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多いの簡単で有効な検査法で、頻用されている
  • 造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすることCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査:血栓の位置を深部静脈に至るまで詳しく調べる
  • 静脈造影:血栓の位置や圧の上昇を調べる
    • リンパ浮腫体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じるとの区別が難しい場合がある

血栓性静脈炎の治療法

  • 静脈炎に対して:局所の安静と湿布、弾性包帯などを用いる
  • 足を自分で動かしたり、マッサージをしたり、水分をしっかり摂ることが予防の上でも重要
  • 静脈血栓症に対しては、抗凝固薬血液を固まりにくくする薬。不整脈に対して、血栓ができるのを予防する目的で用いられることが多い(血液をサラサラにする薬)で治療する
    • 塞栓血液中を流された血栓などの異物が、細い場所で血管に詰まった状態。その先へ血流が流れにくくなってしまうの危険性が高いような場合は入院して点滴で抗凝固薬の治療を行ったり、下大静脈フィルターという「網」を血管において血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多いが肺に飛ぶのを防いだりする

血栓性静脈炎に関連する治療薬

FXa阻害薬(抗凝固薬)

  • 体内の血液が固まる作用の途中を阻害し、血栓の形成を抑え脳梗塞や心筋梗塞などを予防する薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 血液凝固(血液が固まること)には血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)が必要である
    • 本剤は血液凝固因子の因子Xa(FXa)を阻害し、抗凝固作用をあらわす
FXa阻害薬(抗凝固薬)についてもっと詳しく

クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム製剤)

  • ビタミンKが関与する血液凝固因子の産生を抑え、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 体内で血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)の中にビタミンKを必要とするものがある
    • 本剤は体内でビタミンKの作用を阻害し、ビタミンKを必要とする血液凝固因子の産生を抑えることで抗凝固作用をあらわす
  • ビタミンKを多く含む食品などを摂取すると薬の効果が減弱する場合がある
    • 納豆、クロレラ、青汁などはビタミンKを多く含む
    • 本剤を服用中は上記に挙げた食品などを原則として摂取しない
クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム製剤)についてもっと詳しく

ビタミンE製剤

  • 血管の血流改善により血行をよくしたり、コレステロールを低下させることなどにより、頭痛、肩こり、冷えや動脈硬化などを改善する薬
    • ビタミンEは脂溶性(脂に溶けやすい性質)ビタミンで、体内で活性酸素の働きを抑える
    • 活性酸素が過剰になると体の老化や動脈硬化などをおこす場合がある
    • ビタミンEはコレステロールの排泄や末梢血管の拡張にも関わる
  • ビタミンEの欠乏が関与する脊髄小脳変性症などに使用する場合もある
ビタミンE製剤についてもっと詳しく

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