2016.01.12 | ニュース

婦人科の手術後の死因になる「静脈血栓塞栓症」、ベミパリンで予防できるか?

774人の治療で検証
from Journal of thrombosis and haemostasis : JTH
婦人科の手術後の死因になる「静脈血栓塞栓症」、ベミパリンで予防できるか?の写真
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婦人科の手術のあと、ベッドで寝ていることで血管の中に血の塊(血栓)ができてしまう静脈血栓塞栓症は頻繁に起こり、死因にもなります。血栓を予防する薬のベミパリンに効果があるかが検討されました。

◆774人の女性が対象

この研究は、がん以外の婦人科の手術を受けた人で、全身の状態などから血栓の危険性が中等度以上に高いと予想された女性774人を対象に行われました。

参加者は、ベミパリンを7日間注射するグループと、ベミパリンを使わないグループに分けられました。

ベミパリンは血液を固まりにくくするヘパリンという物質の一種です。ヘパリンは血栓を防ぐ治療として広く使われています。

                      

◆ベミパリンの方が静脈血栓塞栓症の発症が少ない

次の結果が得られました。

症状のある静脈血塞栓症(深部静脈血栓症および肺塞栓症)イベントの発生率は、薬学的介入を受けなかった参加者(380人中12件、3.2%、95%信頼区間0.002-0.6)よりも、ベミパリンを注射された参加者のほうが低かった(377人中0)。

血栓によって症状が現れる出来事は、ベミパリンを使わなかったグループでは380人のうちで12件見られましたが、ベミパリンを使ったグループでは発生しませんでした。ベミパリンによる重大な副作用は見られませんでした。

 

ベミパリンの予防効果を示唆する結果が得られました。手術後の血栓は広い分野で問題になり、水分摂取や運動を適切に行うなどの対策が取られています。薬もうまく使うことで、万一の事態を防ぐことにつながるかもしれません。

執筆者

後藤由佳利

参考文献

Bemiparin for thromboprophylaxis after benign gynecologic surgery: a randomized clinical trial.

J Thromb Haemost. 2015 Oct 8.

[PMID: 26448633]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。