2016.01.04 | ニュース

手術後の合併症を早期に発見する方法

552人を分析
from Annals of surgery
手術後の合併症を早期に発見する方法 の写真
(C) Kurhan - Fotolia.com

手術にともなって起こる事故や病気(合併症)は、病気の回復を遅らせるだけではなく、場合によっては死に至ることもあります。今回の研究では、手術後の合併症をできるだけ早く予測する方法が有用であるか検証しました。

◆手術の合併症を予測する方法

手術後の合併症は手術する場所などによってさまざまなものがありえます。特に縫合不全(傷口が開いてしまう)、血栓症(血の塊ができて血管を塞いでしまう)、感染症(傷口から病原体が入り込む)は多くの手術で起こります。

今回の研究は、手術を行った552人を対象に、合併症を発症するかどうか予測する指標が役に立つものであるか検証しました。

指標は、脈拍や体温、血圧、覚醒レベルなどの7項目を0から3点で評価し、合計得点が高いほど合併症を起こす可能性が高いことを示します。

 

◆合併症の予測は役に立ちそう

以下の結果が得られました。

EWSは、4度または5度の合併症を発症する前の3日間で有意に増加し(p<0.001)、退院前の3日間で合併症を発症しなかった患者で有意に減少した(p<0.001)。

合併症を予測する指標の点数は、合併症発症前には高くなり、合併症なく退院する前には低くなりました。また、その精度は合併症が起こった場合にも起こらなかった場合にも、結果と80%以上一致していたという結果でした。

 

手術後の合併症を予測でき、事前に防げるのであれば有用です。今後は、この予測に合わせた手術後のケアにより、合併症が少なくなるか検証が進むのかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

A Role for the Early Warning Score in Early Identification of Critical Postoperative Complications.

Ann Surg. 2015 Dec 16

[PMID: 26692076]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。