下肢静脈瘤の基礎知識
POINT 下肢静脈瘤とは
足の血管が瘤(こぶ)のようにふくらんで浮き出た状態を指します。膝から下に症状が出ることがほとんどで、多くはふくらはぎに起こります。中年以降の女性で出来やすく、立ち仕事が多い方で要注意とされています。両親からの遺伝の影響や、妊娠出産、肥満、便秘なども下肢静脈瘤の発症に関わっているとされています。小さな静脈瘤であれば、日本人の10人に1人ほどが持っているというデータもあります。症状としては、静脈瘤が足に見られるだけの場合も多いですが、ふくらはぎのだるさや不快感、足のむくみ、足のこむら返り(つり)、足のかゆみ、足の色素沈着などが見られる場合もあります。診断は皮膚の見た目でつけますが、必要に応じて超音波(エコー)検査、静脈造影検査なども行われます。特に症状がなく、見た目も気にならないようであれば必ずしも治療は必要ありません。症状があって辛い場合や、静脈うっ滞性皮膚炎を起こしている場合、見た目が気になる場合などで治療が検討されます。治療としては、弾性ストッキング着用などの保存的治療、静脈瘤に薬を注射して固めてしまう硬化療法、血管を手術で取り除くストリッピング手術、レーザーやラジオ波で静脈を焼いてしまう血管内治療などがあります。下肢静脈瘤が心配な方や治療したい方は血管外科を受診してください。下肢静脈瘤の対応を行っていない血管外科もあるので、受診前に問い合わせることをお勧めします。
下肢静脈瘤について
- すねやふくらはぎの血管(静脈)が蛇行して、浮き出た状態
- 血液の逆流を防ぐ血管内の弁が正しく機能せずに、血液が逆流することで起こる
- 以下のことが原因で起こる
- 長時間の立ち仕事
- 妊娠、出産
- 遺伝的な体質
- 肥満 など
- 女性に多い
- 加齢に伴い多くなる傾向
- 立ち仕事の職業で多い
- 下肢静脈瘤は以下の4タイプに分けられる
- 伏在静脈瘤:足の表面の太い幹となる血管で起こる
- 治療が必要になるケースが多い
- 側枝静脈瘤:伏在静脈より枝分かれした血管で起こる
- 網目状静脈瘤:太さ2-3mmの小さな静脈で起こる、色は青っぽい
- クモの巣状静脈瘤:太さ0.1-1.0mmの細い血管で起こる、色は赤紫っぽい
- 伏在静脈瘤:足の表面の太い幹となる血管で起こる
症状 が進むと下腿潰瘍を起こすことがある
下肢静脈瘤の症状
- 血管が目立って見える以外に何も
症状 のないことが多い - 症状が見られる場合には、以下のようなものがある
- ふくらはぎがだるい、重苦しい、疲れやすい、鈍い痛みがある
- 足が
むくみ やすい - 寝ている時に足がつりやすい(こむらがえり)
- くるぶしの周囲に
潰瘍 ができる など
- 症状は長い間立っている時や、昼から夕方にかけて出てくることが多い
下肢静脈瘤の検査・診断
- 視診、触診:血管のこぶや腫れの有無、脚の上げ下げによる
症状 の変化を調べる - 必要に応じて画像検査が行われる
- 超音波(
エコー )検査:最もよく行われる。皮膚の表面から静脈の状態を調べる - 静脈
造影 検査:静脈に造影剤という薬を注射して、画像を撮影する。近年は行われる数が減ってきている
- 超音波(
下肢静脈瘤の治療法
症状 が軽度の場合に行う治療- 弾性ストッキングの使用
- 長時間の立ちっぱなしを避ける
- 足を高くして寝る
- ダイエットする など
- 症状が強い場合に行う治療
- 硬化療法:静脈瘤に薬剤を流し込んで固めてしまう
- ストリッピング手術:静脈瘤のある血管を手術で引き抜く
血管内治療 :レーザーやラジオ波で静脈瘤を焼いてしまう
下肢静脈瘤の経過と病院探しのポイント
下肢静脈瘤が心配な方
下肢静脈瘤は下腿(膝から下)の静脈が浮き出て蛇行している状態で、足のだるさや重さ、かゆみ、痛みといった症状が現れます。症状が進むと、うっ滞性皮膚炎や下腿潰瘍を起こします。
ご自身が下肢静脈瘤でないかと心配になった時、何科を受診すればいいか迷われると思います。受診の候補としては皮膚科や外科、循環器外科、心臓血管外科、形成外科が挙げられます。また中には下肢静脈瘤専門のクリニックなどもありますので、そのようなクリニックを探して受診するのも良いと思います。最も専門としていることが多い科は血管外科です。下肢静脈瘤が疑われた場合まず診察が行われ、必要に応じて超音波(エコー)検査などの検査が行われます。
下肢静脈瘤でお困りの方
下肢静脈瘤の治療としては保存的療法、硬化療法、血管内治療、手術があります。保存的療法では立つ時間を短くしたり、弾性ストッキングを巻いたりしますが、治療期間が長くなるため、なるべく近くで通いやすい皮膚科や外科などに通院するのが良いでしょう。硬化療法や手術に関しては、施行している医療機関が限られているため、血管外科や皮膚科、形成外科、外科などで行っているところを紹介してもらうのが良いでしょう。血管内治療もレーザーやラジオ波が置かれている医療機関に限られます。
重症化して下腿潰瘍になると治療も大変なため、特に保存的療法の場合は弾性ストッキングの着用、長時間の立ちっぱなしを避ける、足を高くして寝るなどを徹底して、定期的に医師の診察を受けることをおすすめします。
下肢静脈瘤のタグ
下肢静脈瘤に関わるからだの部位
