じんじょうせいゆうぜい
尋常性疣贅(イボ)
いわゆる「イボ」のこと。皮膚のあらゆる部位にできる小さな増殖物
9人の医師がチェック 120回の改訂 最終更新: 2024.03.04

尋常性疣贅(イボ)の基礎知識

POINT 尋常性疣贅(イボ)とは

いわゆる「イボ」のことで皮膚のあらゆる場所にできます。ヒトパピローマウイルスが皮膚の傷から侵入して皮膚細胞に感染することでできると考えられています。どの年齢の人に起こる病気ですが、子どもに多く、高齢者ではあまり見られません。ほとんどの場合、視診(外見を観察する診察)によって診断されますが、他の皮膚の病気と見分けがつかない場合には病理検査(皮膚の一部を切り取って調べる検査)が行われます。尋常性疣贅は自然に治ることがほとんどですが、治りにくい場合には治療を行います。主な治療法には、液体窒素療法や手術、内服薬があります。尋常性疣贅が心配な人は皮膚科を受診してください。

尋常性疣贅(イボ)について

  • 尋常性疣贅とはいわゆる「イボ」のことで、皮膚のあらゆる部位にできる小さな増殖物である
  • 尋常性疣贅の中には以下の種類がある
    • 足底疣贅(そくていゆうぜい)
      • 足の裏にでき、あまり皮膚の盛り上がりがない
      • 胼胝(たこ、べんち)や鶏眼うおのめ)に似ているが、表面の角質を削ることで見分けることができる
    • ミルメシア
      • 手のひらや足の裏に皮膚が盛り上がりが生じる
      • 皮膚の赤みがあり(発赤)、痛みを伴うことがある
      • 深めに浸潤していることが多い
      • 足底疣贅の一種と考えられている
    • 色素性疣贅
      • 黒色の色素沈着のあるイボで「くろいぼ」とも呼ばれる
    • 点状疣贅
      • 白色で点状の皮膚病変が、手のひらや足の裏に多発する
    • 糸状疣贅
      • 顔や首、頭部に出来る
      • 直径数mmの細長く伸びた皮膚の盛り上がりが特徴
  • 主な原因
    • ヒトパピローマウイルスHPV)が皮膚の小さな傷から侵入して皮膚細胞に感染することで生じる
  • どの年代の人にも生じるが、子どもに最も多く、高齢者ではあまり見られない
  • 子どもの手足の甲や指の間にできることが多い
    • けがをしやすい場所(膝、顔面、指、ひじ、爪の周り)にもできやすい
    • 1個だけでできることもあるが、細かいものが100個を超える単位で生じることもある
  • 皮膚に障害のある人に起こりやすい
    • 髭剃りのあとや指のささくれ(さかむけ)
    • 水虫や靴ずれ
    • アトピー性皮膚炎
    • 乾燥肌
    • かゆみに対する掻き傷    など
詳細な情報を見る

尋常性疣贅(イボ)の症状

  • イボ」が出現する以外の自覚症状はないことが多い
  • イボ」は硬い突起状で、表面がザラザラしている
  • 形は円形または不規則であり、色は灰色、黄色、茶色をしている
  • 大きさは直径が約1cm未満のものがほとんどである
  • イボ」が周囲の皮膚に広がることもある
  • まれに痛みを伴うこともある
症状の詳細

尋常性疣贅(イボ)の検査・診断

  • 多くの場合「イボ」の外見で診断できる
    • 視診に加えてダーモスコピー(強力に拡大できる虫めがねのようなもので観察する)も有効
  • 視診で確定できない場合は患部からサンプルを切り取って顕微鏡で検査する(生検
  • 尋常性疣贅は「イボ」の表面を削ると点状の出血が現れることも、他の病気と区別をする上で有用な特徴である
  • 類似した病気
検査・診断の詳細

尋常性疣贅(イボ)の治療法

  • 命にかかわる病気ではないが、放置していて増えることもあるため治療を行うことが多い
    • 自然に消失することもあるので、数が少なかったり大きくなる傾向がなければ様子見することもある
  • 治療法
    • 液体窒素療法
      • -190度の液体窒素で凍らして壊死させて、ウイルスに対する免疫を誘導する
      • 週1-2回のペースで通院が必要
    • 内服薬  
      • ヨクイニンエキスなど一部の漢方薬が有効なことがある
  • 難治例では以下のような治療を行う
    • 手術
    • CO2レーザー
    • ブレオマイシン局所注射   など
  • 長期的な経過
    • 大半は1-2年で自然に消える
    • 切除してもイボは再発することがある
    • 特に足裏のイボ(足底疣贅)は尋常性疣贅の中で最も治りにくいとされる
治療法の詳細

尋常性疣贅(イボ)の経過と病院探しのポイント

尋常性疣贅(イボ)が心配な方

尋常性疣贅とはいわゆる「イボ」のことで、皮膚のあらゆる部位にできる小さなぶつぶつです。HPVというウイルスによる感染の結果、尋常性疣贅が起こると言われています。尋常性疣贅そのものには、特に症状はなく、見た目が気にならなければ治療しない人も少なくありません。

尋常性疣贅を診療する科は皮膚科になります。医療機関の種類に関しては、クリニック、総合病院のどちらでも診療可能です。待ち時間などを考慮すると、まずはお近くのクリニック受診でも問題ない疾患です。

尋常性疣贅は、ほとんどの場合、外見上の見た目で診断されます。その他、検査としては、ダーモスコピーといって、イボの構造を細かく観察する器具を使う場合もあります。また、患部からサンプルを切り取って顕微鏡で検査する生検を行うこともあります。

尋常性疣贅の検査では、見た目が似ている他の疾患ではないことを確認することが重要です。ウオノメ(鶏眼)から有棘細胞がんという重篤な疾患まで、幅広く類似することがあるため、心配な方は、まず皮膚科を受診しましょう。また、尋常性疣贅の特徴として、表面を削ると点状の出血が現れることが知られています。

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尋常性疣贅(イボ)でお困りの方

尋常性疣贅は自然に消失することもありますが、治らない場合は治療を行います。皮膚科での一般的な治療は、液体窒素療法といって、-190度の液体窒素で凍らせる治療を行います。週に1-2回のペースでの通院が必要となるため、スケジュール等も合わせて、皮膚科医に相談しましょう。

また、病院によっては、漢方の内服も行われます。これらの方法で、なかなか治らないような尋常性疣贅の場合は、イボそのものを切り取ってしまう手術を行うこともあります。病院にもよりますが、皮膚科であればクリニックでも、手術を行えるところが多くあります。しかし、切除しても再発するような治りにくい尋常性疣贅もあります。特に足裏の尋常性疣贅などが治りにくいことが多いです。

尋常性疣贅の多くは1-2年で自然に治るため、数が増えなければ様子を見ておくことも可能です。増えてくる場合は医師に相談しましょう。

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