Beta 尋常性疣贅(イボ)のQ&A
原因菌は伝染性軟属腫ウイルス
小児に多い
潜伏期間が14〜50日
好発部位は子どもの体幹や下腹部、手足、陰部
手のひらや足の裏にはできない(毛がないため)
特徴は乳白色で、直径2〜10mmのドーム状の皮膚の盛り上がりがあり、頂点が少しヘコんでいる
顔面に多発した場合はAIDSを疑う
治療方法はピンセットで摘出、凍結療法、40%硝酸銀を塗るなど
数か月で自然に消滅する場合もあり、経過観察することもある
飲み薬(ヨクイニンエキス®など)を併用することもある
原因菌はヒトパピローマウイルス(HPV)
潜伏期間は1〜6か月
好発部位は手足の指や手の甲、足の裏
特徴は表面はガサガサしている硬い皮膚の盛り上がり
治療方法は凍結療法、手術による切除、炭酸ガスレーザー、薬物療法
厚くなった角質の中心が、芯のように皮膚の下まで深く侵入している状態で、これが魚の目のように見えることからウオノメと言われている。
足の裏にできやすく慢性的な靴などによる物理的圧迫によって生じる場合が多い。足の裏にできる尋常性疣贅は、圧迫部と関係なく多発する傾向にある。
芯があるため歩くと痛むことがある
表面より少し深い角層を削って観察すると、点状の出血が見られやすい。
子供にできることはまれである。
成人に多く、顔、手の甲にできやすい。
赤や紫がかったボツボツの発疹ができ、次第にそれらのかさつきが強くなるもの。
口の中の粘膜にも、白色のものができることがある。
丘疹の表面に白っぽい細い線が出たり(Wickham線条)、正常な皮膚に摩擦や日光などの刺激を与えることによって発症する(ケブネル現象)場合、これらが診断の決め手になる。また、皮疹の表面に特有の光沢があったり、白いカサカサしたものが付着する場合がある。
薬剤、科学薬品、C型肝炎、金属アレルギーなどが原因で生じることがある。
難治性で治療に反応しにくいが治るときは炎症がおこって短期間で治る。
皮膚の老化や、紫外線や遺伝による影響で発生すると言われている。
手のひらと足の裏以外の、全身の皮膚どこにでも発生する。
ダーモスコピー検査で診断できる。
急激に全身脂漏性角化症が多発し、かゆみを伴う場合は内臓の悪性腫瘍を合併している可能性がある(レザートレラ徴候)。
皮膚の老化や、摩擦などの慢性的な物理的刺激も原因と考えられている。
ほかのところとあまり変わらない色をした柔らかい、茎のある突起状の腫瘤。
良性腫瘍であり、気にならなければ放っておいても問題ない。
肥満者や女性に多く、首やわき、足の付け根(そけい部)、体幹などにできやすい。
高齢者の顔面や手の甲などに単発する扁平上皮癌。
小さい丘疹から次第に拡大して大きくなり、腫瘤や潰瘍となる。
組織の病理検査で確定診断を行う。
やけどや外傷の跡、慢性膿皮症、慢性放射性皮膚炎、尋常性狼瘡、慢性円板状エリテマトーデスなどが基となり発生する場合がある。
日光角化症、ボーエン病、白板病などの表皮内癌が進展して有棘細胞癌となる場合がある。
尋常性疣贅の治療法について教えて下さい。
液体窒素を、スプレーや綿球を用いてイボに当て、ウイルスのいる皮膚ごと冷却して殺してしまう冷凍凝固療法を行うことが多いです。
他にもステリハイドという消毒剤を塗ったり、ヨクイニンという漢方薬を飲んだり、ビタミンD3軟膏を重ね塗りしたりなどいくつかの治療を併用することがあります。すぐに治療効果が発揮されることもありますが、1回、2回と冷凍凝固療法をやってもなかなか効果が確認できない場合もあるため、根気強く外来に通院する必要があります。
尋常性疣贅は、どんな症状で発症するのですか?
手足や顔に、ほかの皮膚とは異なる固いイボが気づくとできていた、というケースが多いです。
比較的急に大きくなることがありますが、一方で何年も大きさが変わらないということもあります。
尋常性疣贅は、どのように診断するのですか?
基本的には特別な検査は行われず、診察のみで診断されます。胼胝(たこ)などと紛らわしい場合には、治療もかねて削って判断することがあります。
尋常性疣贅の原因について教えて下さい。
尋常性疣贅は、ヒト乳頭腫ウイルスが皮膚に感染することが原因の病気です。
伝染性軟属腫(水いぼ)と尋常性疣贅(いぼ)の症状と治療はどう違いますか?
伝染性軟属腫(水いぼ)と尋常性疣贅(いぼ)は名前がよく似ており、どちらもウイルスによる感染症です。両者の特徴的な症状と治療法の違いを説明します。
◎伝染性軟属腫(水いぼ)の症状の特徴と治療法
◎尋常性疣贅(いぼ)の症状の特徴と治療法
水いぼといぼは見た目やできる場所、そして治療方法も異なります。 どちらもウイルス感染しますので、それぞれの特徴を知り、早期に適切な対処を行えるようにしましょう。
尋常性疣贅の治療法の使い分けについて教えて下さい。
もっとも簡便でよく使われるのが冷凍凝固療法ですが、1-2週に1回程度通院して治療が必要なこと、冷たく痛いことが欠点です。そのため必要に応じてほかの治療法を組み合わせます。
ヨクイニン内服は副作用もありませんが、通常内服してすぐに効果が出るわけではなく、根気強く飲み続ける必要があります。厚く固いイボとなっている場合にはビタミンD3軟膏を塗って、厚みをとる治療を併用することもあります。
また大人で重症例にはエトレチナートという内服薬を飲むこともあります。
尋常性疣贅の、その他の検査について教えて下さい。
ダーモスコピーという、できものを拡大してみる検査をすることがあります。またほかの腫瘍と紛らわしい場合には、切除して顕微鏡で細かな性状を確認することもあります(病理検査)。
また、あまりにも多発する場合には免疫不全をきたす病気が隠れている場合も稀にあり、そのような場合は血液検査などを行います。
尋常性疣贅が重症化すると、どのような症状が起こりますか?
特に命にかかわる病気ではありませんが、多発している場合や難治性の場合では、治療が長期にわたることや見た目などが患者さんの負担になることがあります。
尋常性疣贅は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?
正確な頻度は不明ですが、非常によくみられる頻度の高い病気です。特に子供に多いことが知られています。
尋常性疣贅の薬は、生涯飲み続けることになるのですか?
ヨクイニンエキスは生涯飲み続ける必要はありませんが、副作用もほとんどないため気長に飲み続ける必要があります。
尋常性疣贅と胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)の違いについて教えて下さい。
いずれも足の裏にできることが多いできものです。
胼胝と鶏眼は、物理的な力が慢性的にかかることが原因で、力のかかりやすい場所にできます。また通常、子供に胼胝や鶏眼ができることは稀です。
これらに対して、尋常性疣贅はウイルス感染が原因となるできものです。
尋常性疣贅と診断が紛らわしい病気はありますか?
同じように皮膚に生じるできものとして、胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)、脂漏性角化症、日光角化症、軟性繊維腫、有棘細胞癌などが鑑別になります。
尋常性疣贅は「いぼ」の表面を削ると点状の出血が現れることも、他の病気と区別する上で有用な特徴です。尋常性疣贅と類似した疾患の特徴を解説します。
◎鶏眼(うおのめ)
◎扁平苔癬
◎脂漏性角化症
◎軟性繊維腫(有茎性軟腫)
◎有棘細胞がん
尋常性疣贅では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?
通常入院が必要になることはありません。
通院は治療の内容に応じて1-2週に1回から月1回程度と幅がありますが、根気強く通院が必要で、治し切るまでの期間は個人で大きくことなります。
尋常性疣贅は、他人にうつる病気ですか?
ウイルスが原因なので、接触感染でうつる可能性があります。少し触っただけでうつるほどの感染力はないと考えられますが、べたべたと何度もイボを触ったり、傷のある手で触ったりすることは避けましょう。
尋常性疣贅は、遺伝する病気ですか?
ウイルス感染が原因であり、基本的に遺伝性の病気ではありません。
尋常性疣贅に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。
イボを気になっていじっていると触っている手にもできてしまうことがあるため、いじらないことが必要です。
尋常性疣贅は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?
根気強く通院して治療をすることでほとんどの方で完治します。痕が残ることはほとんどありません。