尋常性疣贅(イボ)の検査について:身体診察、ダーモスコピー検査など
尋常性疣贅(イボ)かどうかは見た目で判断できることが多いです。皮膚の状態を良く観察するために、拡大鏡の一種であるダーモスコピーの検査が追加されることもあります。診断が難しい場合にはイボ一部を切り取って詳しく調べる検査が行われます。
1. 問診
【問診で聞かれる質問の例】
- 症状についての質問
- どのような症状があるか
- 以前にも同じ病気の治療をしたことがあるか
- 日常生活についての質問
- 職業は何か
- プールやジムに行く習慣があるか
- 身体状況に関する質問
- 以前に治療した、もしくは現在治療中の病気、けが、持病はあるか
- 常用薬やサプリメントの服用はあるか
- 薬や食べ物などの
アレルギー はあるか - 妊娠や授乳をしているか
尋常性疣贅は見た目での診断が主になりますが、かゆみや痛みなどの自覚症状は本人でないとわからないため、あればお医者さんに伝えてください。
また、かかりやすさの参考にするため、職業や生活について聞かれることがあります。例えば鮮魚や肉を取り扱う仕事をしている人は長時間手が湿っている状態になるため、
その他に、持病の有無や、治療に際して必要となる常用薬やアレルギーの有無、妊娠などの状況を聞かれます。
2. 身体診察
診察では、問診で得られた情報をもとに症状のある部分を観察します。尋常性疣贅(イボ)では内部に発達した血管が走っているのが特徴で、他の病気と見分けるポイントになります。硬くなったイボ表面の角質部分を少し削って、血管の様子を確認することもあります。
典型的な尋常性疣贅は見た目で区別ができることが多いですが、難しい場合には後述するダーモスコピー検査が行われます。それでも診断がつかない場合には組織検査、
3. ダーモスコピー検査
ダーモスコープという、ライトがついた虫眼鏡のような道具を使って皮膚を拡大して観察する検査です。
尋常性疣贅の中にはウオノメ(鶏眼)やタコ(胼胝)と区別が難しいものもありますが、ダーモスコープで拡大すると尋常性疣贅に特徴的な血管の観察が容易になり、判別しやすくなります。表面の角質が分厚くてダーモスコープを用いてもはっきりと血管が見えない場合には、皮膚の表面を少し削ってから観察します。
この検査は、尋常性疣贅が治ったかどうかを判定するために行われることもあります。
4. 組織検査:病理検査、免疫学的検査
組織検査とは病気がある部分を一部を切り取って詳しく調べる検査です。イボの一部をメスやハサミで切り取って検査をします。組織検査には顕微鏡でみる「病理検査」と、組織に含まれている物質を調べる「
病理検査
病理組織検査では切り取った組織を顕微鏡でよく観察して、尋常性疣贅に特徴的な形態を確認します。
免疫学的検査
免疫学的検査では切り取った組織内にヒトパピローマウイルス(HPV)がいるかどうかを調べます。尋常性疣贅の原因となっているHPVがいるかどうかを直接診断できる利点がありますが、組織内にいるウイルス量が少ないとうまく検査ができないという欠点があります。
5. 遺伝子型同定検査:ヒトパピローマウイルスを調べる検査
遺伝子型同定検査では組織の中にいるウイルスの一部を検出できます。ダーモスコピー検査や病理組織検査で診断がつかない場合には、ヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子型同定検査が行われます。ウイルスの量が少なくても診断ができることが利点です。
参考文献
日本皮膚科学会尋常性疣贅