たかやすどうみゃくえん(だいどうみゃくしょうこうぐん)

高安動脈炎(大動脈炎症候群)

全身の大きな動脈に炎症が起きる病気。大動脈や頭、肺、心臓などの臓器につながる動脈の壁に炎症が起き、様々な症状がおこる。

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7人の医師がチェック 119回の改訂 最終更新: 2017.10.09

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の基礎知識

POINT高安動脈炎(大動脈炎症候群)とは

大動脈やその枝の太い血管に炎症が起こる病気です。40歳以下の方に起こることが多いです。太い血管に炎症が起こり閉塞すると、脈が触れなかったり、めまいを自覚します。血圧の左右差や発熱、体重減少も代表的な症状です。大動脈の炎症は持続すると動脈瘤や心臓の合併症を誘発するため、診断されると治療が必要です。診断のためには血液検査、CT、MRI、シンチグラフィー、PET-CT、心臓超音波検査、側頭動脈生検などを行います。治療薬としてはステロイド、免疫抑制薬などの薬剤を使用します。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

高安動脈炎(大動脈炎症候群)について

  • 全身の大きな動脈に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起きる病気
    • 大動脈心臓の左心室から出る人体最大の血管。血液を全身に送り出す大元の血管や頭・腕・足・内臓に血液を運ぶ血管に炎症が起きて、血管の形や性質が変化してしまう(血管が狭くなったり拡がったりなど)
    • 自己免疫本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう状態が関わっていると考えられている
  • 推定患者数は日本国内で約5000人でまれな病気である
    • 毎年約200人程度が新たに発症症状や病気が発生する、または発生し始めること
    • 男女比は1:9で女性に多く、20代で発症することが多い
  • 40歳以下で発症することが多い
  • 高安動脈炎は1908年に日本の眼科医の高安右人によって報告されたことからこの名前がついている
  • 小児慢性特定疾患に指定されており、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の症状

  • 初期は、炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起こっていることによる全身の症状が出る
    • 発熱
    • 全身のだるさ
    • 食欲不振
    • 体重減少   など
  • 血管が炎症によって狭くなることで起こる症状
    • 腕へ行く血管が炎症を起こした場合
      ・左右の腕で血圧に差がある
      ・脈が触れなくなる
      ・腕を動かしたときに疲れやすく力が入りにくくなる
    • 頭に行く血管が炎症を起こした場合
      ・めまい
      失神脳への血流が一時的に足りなくなることによって、意識を失うこと
      ・頭痛
      ・視力障害
      脳梗塞
    • 腎臓の血管が障害された場合
      腎機能腎臓の機能。腎臓がどれだけ血液をろ過してきれいにできるかを示す。血液検査でクレアチニンの値を元に判断されるの低下(むくみ体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じるが出るなど)
    • 心臓や肺の血管が炎症を起こした場合
      高血圧症
      心不全(息切れなど)
      狭心症(胸痛、肩の痛みなど)
      ・肺梗塞血液が流れなくなることで、その部分の細胞が死んでしまうこと。心臓や脳に生じると、心筋梗塞、脳梗塞と呼ばれる(胸痛、息切れなど)
      ・息切れ
  • その他に、炎症でダメージを受けた血管が伸びて拡がる場合もある(ゴムのチューブが伸びてしまうように)
    • 血管が伸びてしまうことで起こる症状
      大動脈瘤
      大動脈心臓の左心室から出る人体最大の血管。血液を全身に送り出す大元の血管解離
      大動脈弁閉鎖不全症

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の検査・診断

  • 聴診音を聞いて診察すること。主に聴診器を用いて、肺や血管、血管などの音を聞くこと:血管雑音を調べる
  • 血液検査:炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る反応を調べる
  • 画像検査:大血管に炎症が起きて、変性もともとの状態から、臓器の性状が変わること。多くの場合、何らかの病気の影響で、正常な機能が失われる状態に変化していくことが多いが起きていないか調べる
    • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査
    • MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査
    • さらに血管造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすること検査で詳しく血管の状態を調べることもある
  • 心臓、腎臓、眼に異常がないか調べることがある
  • 同じように血管に炎症が起きる病気は他にもあるため、これらの疾患を除外する必要がある
    • IgG4関連大動脈心臓の左心室から出る人体最大の血管。血液を全身に送り出す大元の血管
    • 梅毒性大動脈炎
    • ベーチェット病

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の治療法

  • ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている
    • 点滴薬や飲み薬を用いる
    • 最初は多い量のステロイド薬で炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑えて、状態が改善してきたら徐々に薬の量を減らしていく
    • ステロイド薬は長期に内服すると糖尿病、高血圧、感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称骨粗鬆症など様々な副作用が問題となる
    • ステロイド薬の副作用を予防するために予防薬を一緒に併用して内服することも多い
      ・使われることがある薬剤(ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている以外)
       ・抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない(バクタなど):免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患が抑えられることによる感染の予防
       ・ビスホスホネート(商品名:アクトネルなど)、ビタミンD脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムやリンの量を体内で適切に調整する働きを持つ。外部から摂取する他に、紫外線を浴びることで体内でも合成される(商品名:エディロールなど):ステロイド薬による骨粗しょう症の予防

  • トシリズマブ(商品名:アクテムラなど)
    • 点滴タイプと皮下注射タイプがあるが、皮下注射タイプが巨細胞性動脈炎に適応
    • 海外で高い有効性が実証されている
    • ただし、長期的な有効性はまだ分かっておらず、薬価も高額

  • ステロイド薬に以下のような免疫抑制薬を併用することもある
    • メトトレキサート
    • アザチオプリン
    • シクロスポリン
    • シクロホスファミド

  • 慢性化した場合に行う治療
    • 抗血小板薬血小板が血栓を作る作用を抑えるための薬。脳梗塞などの予防に使用される抗凝固薬血液を固まりにくくする薬。不整脈に対して、血栓ができるのを予防する目的で用いられることが多いの使用
    • 手術:以下の特定の血管病変病気が原因となって体に生じた、あるいは変化が起きた、その特定の部位のことに起因する明らかな症状があり、内科的治療が困難な場合に適用
      ・頚動脈狭窄による脳虚血体の一部に十分な血液が流れなくなってしまうこと。血管が詰まったり、あるいは血管を流れる血液が少なくなると起こる。虚血が進むと梗塞が起こる症状
      ・腎動脈や大動脈心臓の左心室から出る人体最大の血管。血液を全身に送り出す大元の血管の狭窄による高血圧
      ・大動脈弁閉鎖不全
      大動脈瘤

高安動脈炎(大動脈炎症候群)に関連する治療薬

トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)

  • 炎症をおこす要因となるIL-6の働きを抑え関節リウマチの症状を改善し、骨などの損傷を防ぐ薬
    • 関節リウマチでは免疫の異常により炎症反応がおき関節の腫れなどがあらわれ、腫れが続くと骨が壊され変形する
    • 炎症をおこす要因となるインターロイキン6(IL-6)という物質があり、IL-6受容体に結合してその作用をあらわす
    • 本剤はIL-6受容体を阻害しIL-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える作用をあらわす
  • 本剤(トシリズマブ)は関節リウマチや若年性特発性関節炎の他、キャッスルマン病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎などの治療に使われる場合もある(剤形によって使われる疾患が異なる場合もある)
トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)についてもっと詳しく

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