だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう(だいどうみゃくべんぎゃくりゅうしょう)
大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)
大動脈弁がきちんと閉じず、大動脈から左心室へ血流が逆流してしまう病気
7人の医師がチェック 96回の改訂 最終更新: 2017.12.06

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)の基礎知識

POINT 大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)とは

心臓にある血液逆流防止弁の中でも大動脈弁がうまく機能しない病気です。大動脈弁は心臓の血液を送り出す出口にあり、大動脈弁閉鎖不全症になると全身に送り出したはずの血液の一部が心臓に戻ってきてしまいます。生まれつき大動脈弁の働きが悪かったりリウマチ熱の影響を受けたりして大動脈弁閉鎖不全症は起こります。主な症状は息切れやむくみなどです。 症状と身体所見に加えて、画像検査や心臓エコー検査を用いて診断します。症状が軽ければ治療は薬物療法のみで良いですが、症状が進行すると手術を行って大動脈弁を交換します。大動脈弁閉鎖不全症が心配な人や治療したい人は、循環器内科や心臓血管外科を受診して下さい。

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)について

  • 大動脈弁がきちんと閉じず、大動脈から左心室へ血流が逆流してしまう病気
    • 血液を大動脈へ送り出すのが左心室(心臓の出口にある部分)の役割
    • 送り出したはずの血液の一部がすぐまた心臓に戻ってきて(逆流して)しまう
  • 左心室が送り出したはずの血液の一部を再び送り出さなければならなくなるため、心臓の負担が増えてしまう
    • 心臓の負担が増え続けると心肥大(心臓の筋肉が発達しすぎること)や左室の拡大をきたし、長期に渡ると心不全の原因となる
  • 主な原因は以下の通り
    • 大動脈弁の障害によるもの
      動脈硬化によって弁が壊れる
      リウマチ熱感染性心内膜炎の影響を受けて弁が壊れる
      ・生まれつき弁に異常がある
    • 大動脈の障害によるもの
      ・生まれつきの病気による大動脈の拡大がある
      大動脈解離や解離性動脈瘤(特にStanford A型)の影響を受ける
      ・大動脈に炎症を起こす病気(特に梅毒高安動脈炎)の影響を受けて

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)の症状

  • 心不全が起これば心不全症状がでる
    • 息切れ、疲れやすさ
    • 全身のだるさ
    • 食欲低下
    • 呼吸困難(特に動いたり横になったりすると苦しい)
    • 足やすねのむくみ
  • 狭心症のような症状
    • 大動脈のつけねから冠動脈が出ており、冠動脈に十分な血流が流れなくなる場合がある

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)の検査・診断

  • 心臓の動きや大きさ、または原因となっている病気がないかなどを調べる
    • 心臓超音波検査
      大動脈弁閉鎖不全症では最も信頼できる検査
      ・血液の逆流や弁の動きを高い精度で見ることができる
    • 胸部レントゲン検査
      心不全の程度を調べる
    • 胸部CT検査
      心不全の程度や血管の太さの異常の有無を調べる
    • 心電図
      ・心臓に付点がかかることで不整脈が出ることがある
      ・心電図では心臓の電気信号をキャッチすることで、不整脈を調べるのに適している
  • 必要に応じて心臓カテーテル検査でより詳しい検査を行う

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)の治療法

  • 主な治療
    • 外科的治療
      大動脈弁置換術:機械の弁や、ブタやウシなど他の生物の弁に取り替える
      ・大動脈弁形成術:自分の弁を切ったり縫ったりすることで、形を整える
  • 心不全の改善
    • 利尿薬
    • 血管拡張薬
    • その他の降圧薬   など
  • 手術適応
    • 胸痛や心不全などの症状が起こっている場合
    • 他の心臓手術が必要な場合
    • 感染性心内膜炎大動脈解離が原因の場合
    • 無症状であったり症状が軽くても、心臓の機能が落ちていたり、左室が広がっている場合
  • 長期的な経過
    • 長期にわたり心臓に負担がかかり、いったん心不全が生じると、手術を行わない限り回復することはなく長期的な経過は不良である

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)の経過と病院探しのポイント

大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)が心配な方

大動脈弁閉鎖不全症によって心不全が起こると、息切れや全身のむくみといったような症状がみられます。

上記のような症状に該当してご心配な方は、まずはかかりつけ医があればそちらを、そして特にかかりつけの医療機関がない場合には循環器内科または心臓血管外科のある病院での受診をお勧めします。心臓血管外科と同様の診療科のことを胸部外科、血管外科、心臓外科と呼んでいる病院もあります。大動脈弁閉鎖不全症大動脈弁逆流症)を主に診療する専門医は、循環器専門医、心臓血管外科専門医です。内科を受診するか外科を受診するかは病気の重症度や時期によって変わってきますので、詳しくは後述します。大動脈弁閉鎖不全症は心臓の弁膜症と呼ばれる病気の一種ですから、弁膜症外来のある病院やハートセンターを設けている病院も、専門性が高く高度な医療を提供していると言えます。

大動脈弁閉鎖不全症の診断は、心エコーで行います。大動脈弁閉鎖不全症があるかどうかの診断や、ある程度重症度の検討をつけるだけであれば、クリニックを含め、心エコーの機械がある医療機関ならばどこでも行うことができます。細かな重症度の判断や、大動脈弁閉鎖不全症以外に心臓の病気が重なっていないかどうかを判断するためには、循環器内科、または心臓血管外科のある病院で入院して検査を行います。ここまで本格的な検査を行うのはある程度以上の重症度の場合になりますが、重症の大動脈弁閉鎖不全症心不全につながって命に関わることがあるため、大切な検査です。心臓のカテーテル検査や、経食道エコーと呼ばれる胃カメラのようなエコー検査、また、医師の立ち会いの下で軽い運動をして、心臓に負荷をかけた時に心臓の働きがどうなるかといったことを調べます。

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大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流症)でお困りの方

大動脈弁閉鎖不全症の重症度によって治療が大きく変わります。軽症で、定期的に様子を診る方針で良いのであればクリニックへの通院で診療が可能ですし、重症で本格的な治療を考慮しなければならない場合には、心臓手術が行える病院を選ぶことになります。この場合、大動脈弁閉鎖不全症の心臓手術は難易度が高い治療であるため、手術件数が少なすぎないことは、病院を選ぶ上で参考になる基準の一つです。

重症の場合は、大動脈弁閉鎖不全症の根本治療のためには心臓手術が必要です。心臓血管外科に入院の上で手術を行い、手術後は ICU (intensive care unit) と呼ばれる集中治療室に入室することになります。

大動脈弁閉鎖不全症であっても手術が必要ないような場合には、定期的に通院して心エコーや心電図といった検査を受けながら、症状が悪化しないか様子を見ていくことになります。大動脈弁閉鎖不全症については、循環器内科や心臓血管外科のクリニックへ通院することが多いでしょう。長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性も大事な判断基準の一つです。

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