アルコール性肝障害の症状について
アルコール性肝障害の
目次
1. アルコール性肝障害の初期の症状:ほとんどの人が無症状
初期のアルコール性肝障害である「アルコール性脂肪肝」は自覚症状がほとんどなく、健康診断などの検査で指摘されて気がつきます。アルコール性脂肪肝がみつかった後も、症状がないからと油断して飲酒を続けていると、肝臓の繊維化が広がり「アルコール性肝線維症」へと進行してしまいます。
2. アルコール性肝障害が進行した時の症状:だるさ、食欲不振、むくみなど
アルコール性肝線維症の人が飲酒を続けると、肝臓の線維化が広がって硬くなる「肝硬変」になります。肝硬変はさらに2つ段階に区別されます。初期の肝硬変を「代償期肝硬変」といい、この状態に至ってもまだ自覚症状のない人が多いです。しかし、進行した状態である「非代償期肝硬変」になると下記のような症状が現れます。
【進行したアルコール性肝硬変(非代償期肝硬変)の主な症状】
- だるい
- 食欲がない
- 身体がむくむ
- お腹に水が貯まってふくれる
- 全身が黄色くなる
- 意識が悪くなる(肝性脳症)
- 男性の乳房が女性のように膨れる(女性化乳房)
- 手が赤くなる(手掌
紅斑 ) - 皮膚にクモの巣状に広がる細い血管が見える(くも状血管腫)
肝硬変の症状について詳しく知りたい人は肝硬変の詳細情報のページも合わせてみてください。
3. アルコール性肝炎を起こした時の症状:発熱、みぞおちの痛み、黄疸など
アルコール性肝炎とは、アルコール性脂肪肝・肝線維症・肝硬変の人の肝臓に急に
【アルコール性肝炎の主な症状】
- 熱が出る
- みぞおちが痛む
- 全身が黄色くなる(
黄疸 ) - 全身がかゆくなる
- 意識が悪くなる
- だるい
- お腹に水が溜まってふくれる
- 身体がむくむ
ほとんどのアルコール性肝炎の人は禁酒で良くなりますが、まれに禁酒しても悪化し重症化する人もいます。重症型アルコール性肝炎は命に関わることがあります。
4. 肝臓がんになったときの症状:初期の肝臓がんは無症状
肝硬変の人は肝臓がんになりやすくなります。初期の肝臓がんは自覚症状がめったに現れませんが、進行した肝臓がんの人は下記の症状が起こることがあります。
【進行した肝臓がんの代表的な症状】
- 腹痛
- お腹が張った感じ
- 食欲不振
- だるさ
- むくみ
詳しく知りたい人は、肝臓がんの症状のページを参考にしてください。
5. アルコール依存症の症状:飲みたい気持ちが抑えられない状態
アルコール性肝障害はアルコール依存症と切っても切れない関係にあります。「お酒をやめたくてもやめられない」ならば、アルコール依存症である可能性が高いです。
アルコール依存症を一人で克服することは困難ですが、専門外来のお医者さんや断酒会などの手厚いサポートを受けることができます。できる限り早期に手を打ったほうが治りやすいので、依存症かもしれないと思ったら早目にお医者さん相談するとよいです。また、本人は自覚がないことも多く受診が遅れることもしばしばです。そのため、周りの人が先に専門家に相談をするなどして、対処法について知識を得ることが大切です。