2016.04.04 | ニュース

静岡県民の肝臓を調べたら、ビタミンが結果に関係していた

静岡県民787人の血液データより

from The British journal of nutrition

静岡県民の肝臓を調べたら、ビタミンが結果に関係していたの写真

緑黄色野菜などに多く含まれている抗酸化ビタミンは体に良い影響を与えます。浜松医大などの研究チームが静岡県民を対象に、肝障害の指標となるALT値と血中カロテノイドの量の関係性が見られたことを報告しました。

◆静岡県民787人のALT値を検査

研究チームは、静岡県三ヶ日市に住む30歳〜79歳の男女1,073人を調査対象としました。その中から、過剰にアルコールを摂取している人・B型肝炎やC型肝炎の人・肝障害の薬を服用したことのある人は除いてデータの解析を行いました。

血液検査で肝障害の指標となるALT値が基準値(30IU/l以下)より高い男女787人に対して、平均7.4年間の追跡調査を行い、繰り返しALT値を測定しました。あわせて血中のカロテノイドの量として、カロテノイドの一種であるβカロテン、βクリプトキサンチン、プロビタミンAの量を測定しました。カロテノイドの量に対するALT値の統計的な関係性を調べました。

 

◆カロテノイドが多いとALT値は上昇しにくかった

調査の結果、以下のことが分かりました。

交絡因子の補正後、ベースラインの血漿βカロテン、βクリプトキサンチン、総プロビタミンAの最高三分位において、最低三分位に対して血漿ALT値上昇のハザード比はそれぞれ0.43(95%信頼区間:0.22-0.81)、0.51(95%信頼区間:0.27-0.94)、0.52(95%信頼区間:0.28-0.97)だった。

この研究から、βカロテン、βクリプトキサンチン、プロビタミンAといったカロテノイドが多い人では、血漿中のALT値が上昇した人が少なかったことが示されました。

 

今回の研究では、カロテノイドが多い人では全体的に健康的な食生活であり、カロテノイド以外の面でALT値を下げるような要素があった可能性が否定出来ません。ただ、カロテノイドをひとつの目安にしてもいいのかもしれません。

カロテノイドのサプリメントなども販売されていますが、過剰に摂り過ぎると悪い影響が出ることもあります。適切な量を摂取することを心掛けましょう。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

High serum carotenoids are associated with lower risk for developing elevated serum alanine aminotransferase among Japanese subjects: the Mikkabi cohort study.

Br J Nutr. 2016 Feb 26. [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26916997]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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