2015.08.17 | ニュース

体重が減らなくても脂肪肝は改善する、4週間の自転車こぎ

ランダム化比較試験により検証

from Hepatology (Baltimore, Md.)

体重が減らなくても脂肪肝は改善する、4週間の自転車こぎ の写真

健康診断で脂肪肝が見つかり、運動を勧められたことがある方も多いのではないでしょうか?なぜ脂肪肝に運動が良いか、診療ガイドラインにも引用されている、脂肪肝に対する有酸素運動の効果を検証した2009年の論文を紹介します。

◆肥満を合併した非アルコール性脂肪性肝炎への4週間の自転車エクササイズの効果を検証

今回の研究は、以下の通りに行われました。

核磁気共鳴画像法と陽子磁気共鳴分光法((1)H-MRS)を用いて、19名の運動習慣のない肥満男性と肥満女性における肝臓、血液、腹部、筋肉の脂質に対する有酸素運動の効果を評価した。

肥満の人を対象として、4週間の自転車エクササイズを行い、内臓脂肪や中性脂肪への効果を画像診断を用いて検証しました。

 

◆自転車を漕ぐと、内臓脂肪や中性脂肪が改善

調査の結果、以下の報告を得られました。

現在の身体活動ガイドラインにあわせて、4週間の有酸素自転車エクササイズを行うと、内臓脂肪組織の量の12%(p<0.01)、肝臓トリグリセリド濃度の21%(p<0.05)が有意に減少した。

エクササイズ訓練の群では、体重、外側広筋の筋細胞内トリグリセリド濃度、腹部の皮下脂肪組織量[...]に変化はなかった。

4週間の自転車エクササイズを行うと、体重や皮下脂肪量に変化は見られませんでしたが、内臓脂肪や肝臓中性脂肪濃度といった脂肪肝に関する指標に改善がありました。

筆者らは、「このデータは、通常の有酸素運動が、体重減少がなくても肥満者において肝脂質を減らすということを示した最初の直接的検証である。」と述べています。

 

たとえ、体重が減らなくても、運動は体内組織に良い影響を与えているかもしれないという示唆を与える論文でした。これらの結果をふまえて、『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』では運動療法の実施が提案されています。このような効果が検証され、私たちは「脂肪肝には運動」というイメージを持てるようになっているのかもしれませんね。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Aerobic exercise training reduces hepatic and visceral lipids in obese individuals without weight loss.

Hepatology. 2009 Oct

[PMID: 19637289]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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