かんせいのうしょう
肝性脳症
肝臓の機能が低下したことにより体内にアンモニアがたまり、意識障害などの神経症状が出現する病態
6人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2018.04.12

肝性脳症の基礎知識

POINT 肝性脳症とは

肝性脳症は肝臓の機能が低下したことにより体内にアンモニアがたまり、意識障害などの神経症状が出現する病気です。肝臓が効率よくアンモニアを分解して体外に出せなくなってしまうことが原因です。主な症状はせん妄・見当識障害・昏睡などになります。 症状や身体診察に加えて、血液検査・脳波検査などで診断します。また、肝性脳症を起こしている原因を調べるためにCT検査や超音波検査を行います。治療には薬物療法や食事療法が行われます。肝性脳症が心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

肝性脳症について

  • 肝臓の機能が低下したことにより体内にアンモニアがたまり、意識障害などの神経症状が出現する病態
    • 肝臓が効率よくアンモニアを分解して体外に出せなくなってしまう
  • 主な原因
    • 肝硬変、肝不全などの肝障害
    • 血液が肝臓で処理されず全身に流れてしまう門脈体循環性脳症
    • 尿素を処理できなくなる尿素サイクル酵素欠損症   など
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肝性脳症の症状

  • 様々な意識障害が起こる可能性がある
  • 運動障害
    • 不随意運動
      ミオクローヌス(羽ばたき振戦)
  • 言語障害
症状の詳細

肝性脳症の検査・診断

  • 脳波検査
  • 血液検査:肝機能やアンモニアなどの数値異常の有無を調べる
  • 腹水や肝臓の状態を調べるため腹部超音波検査などの画像検査も合わせて行う
検査・診断の詳細

肝性脳症の治療法

  • 治療の目標は、血液中のアンモニアの上昇を抑えることで脳に悪影響が出ないようにすること
  • 食事療法:タンパク質制限など
    • アンモニアはタンパク質に含まれるアミノ酸から作られる
  • 便秘は血液中のアンモニア濃度を上昇させるので浣腸などを行い便秘があれば排便を促す
  • 薬物療法
    • アンモニアの吸収を抑制する薬(ラクツロースなど)
      ・ラクツロースは下剤の役割もある
    • アミノ酸配合剤(分枝鎖アミノ酸)を飲んでアミノ酸のバランスを調整する
    • 腸の中でアンモニアを出す細菌抗菌薬で殺す
治療法の詳細

肝性脳症に関連する治療薬

ポリミキシンB製剤

  • 細菌の細胞膜に作用し細胞膜透過性に変化をきたすことで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の細胞膜は生命維持に必要な物質の透過などを行っている
    • 細菌の細胞膜の透過性が変化すると細胞内の成分が放出され細菌は生きていけなくなる
    • 本剤は細菌細胞膜の透過性を変化させることで殺菌的に抗菌作用をあらわす

  • ポリミキシンB(散剤)は内服薬として以外に、散剤を蒸留水などに溶解し皮膚に散布するなど局所投与としても使用する薬剤
ポリミキシンB製剤についてもっと詳しく

肝不全用アミノ酸製剤

  • 体内にBCAAなどのアミノ酸を補充しアミノ酸バランスを整えることで、肝性脳症の症状や肝障害における低栄養状態などを改善する薬
    • 肝障害による肝機能低下に伴い体内のアンモニアの蓄積、栄養分であるアルブミンの不足などがおこり、血液中のアミノ酸バランスも崩れる
    • 肝機能が低下した状態では分岐鎖アミノ酸(BCAA)というものが不足しがちになる
    • BCAA(ロイシン、イソロイシン、バリン)にはアンモニアを解毒する作用などがある

  • 本剤の中にはアミノ酸の他に、ビタミンやエネルギーなどを補うことができる製剤もある
肝不全用アミノ酸製剤についてもっと詳しく

高アンモニア血症治療薬(ラクツロース製剤、ラクチトール製剤)

  • 腸内で酸性度を高め腸管でのアンモニア産生や吸収などを低下させ血液中のアンモニアを低下させる薬
    • 肝機能の低下により血液中のアンモニアが増加し脳などへ移行することで意識障害や運動障害などがおこる場合がある
    • 腸内の酸性度が高い(pHが低い)とアンモニアの腸管からの吸収が低下する
    • 本剤は薬剤成分(ラクツロースやラクチトール)が腸内細菌により分解され酸を生成し酸性度を高める作用をあらわす

  • 本剤の中でラクツロースは薬剤のもつ緩下作用(排便を緩やかに促す作用)などにより排便改善などで使用する場合もある
高アンモニア血症治療薬(ラクツロース製剤、ラクチトール製剤)についてもっと詳しく

肝性脳症の経過と病院探しのポイント

肝性脳症でお困りの方

肝性脳症は一つの病気というよりも、肝機能が低下したことで現れる症状の一つです。軽いものであれば手足のふるえや頭がぼーっとするといった症状が出ますし、重症であれば意識がなくなってしまうといった状態を引き起こします。肝機能が正常な状態で肝性脳症だけを突然発症するということはありません。

肝臓は体内に溜まった余分な物質を分解して、体の外に出しやすくする働きをもつ臓器です。しかし、肝臓の機能が低下してしまうと、体内に溜まった老廃物が分解できず、脳をはじめとするさまざまな臓器に悪影響を及ぼします。肝性脳症はその1つです。

肝性脳症の治療のためには、アミノ酸を含む点滴や内服薬を使用します。また、既に肝機能が低下している方については、タンパク質の割合を減らすといった工夫をした食事や、便秘にならないような薬剤を使用して肝性脳症の発症をできるだけ予防します。

治療は主に消化器内科で行われます。肝性脳症になるということは何らかの肝臓の病気を持っている方だと思われますので、おそらく主治医が既にいらっしゃることでしょう。治療は主治医とご相談なさるのが一番ですが、食事の工夫などは管理栄養士が専門です。健康な方の食事だけでなく、肝疾患や腎疾患、心臓疾患など特定の疾患ごとの食事の工夫についても詳しいので、もし相談がまだであれば、かかりつけの病院で栄養指導や相談が受けられないかをご相談されてみることをお勧めします。

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