2015.09.18 | ニュース

肝性脳症の認知機能に、通常治療よりも漢方が効いた!?

ランダム化比較試験により検証

from Complementary therapies in medicine

肝性脳症の認知機能に、通常治療よりも漢方が効いた!? の写真

肝性脳症とは、肝臓の機能が低下したことにより体内にアンモニアがたまり、意識障害などの症状が出現する危険な状態です。今回の研究では、軽度の肝性脳症に対して漢方を用いると、一般的な薬であるラクツロースよりも認知機能に有効であったことを報告しました。

◆漢方で治療する群、ラクツロースで治療する群、漢方とラクツロースを組み合わせる群、対照群に振り分け

軽度の肝性脳症の患者80人を、中国産の漢方を用いて治療を行う群、ラクツロースというオリゴ糖の一種で便通を促しアンモニアの吸収を抑える治療を行う群、漢方とラクツロースを組み合わせて治療する群、治療をしない群の計4群にランダムに分けました。

今回は、解毒化瘀という解毒作用や解熱作用のある漢方薬を用いています。それらの効果を、認知機能を評価し、検証しました。

 

◆漢方で治療を行うとラクツロース治療よりも認知機能が改善する

以下の結果が得られました。

NCT-AとMMSEの平均スコア値は、15日間の追跡調査後、CG群の患者 (0日:NCT-A103.00±24.98、MMSE17.90±2.99、 15日:NCT-A95.65±24.34、MMSE18.85±3.12)と比較して、HMG群の患者 (0日:NCT-A102.00±24.49、MMSE18.55±2.89、15日:NCT-A78.30±22.55、MMSE24.20±2.78)で有意に改善した(p<0.05)[...]。

漢方で治療を行った群では、治療をしない群と比べて、認知機能が改善しました。また、ラクツロース治療よりも漢方治療の方が効果がありました。

 

肝性脳症の治療では、アンモニアやアミノ酸のバランスを調整するために薬物療法を行うことがあります。今回漢方と比較したラクツロースは、医療現場でも一般的な薬で薬効も示されています。その薬よりも漢方の方が有効であったという結果は注目する価値があるかもしれません。

もちろん、今回の研究のみからは判断できない部分も多いので、今後の検証に期待します。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Chinese herbal medicine formula Jieduhuayu granules improves cognitive and neurophysiological functions in patients with cirrhosis who have minimal hepatic encephalopathy: a randomized controlled trial.

Complement Ther Med. 2014 Dec

[PMID: 25453517]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る