とうごうしっちょうしょう
統合失調症
幻覚・妄想・まとまりのない言葉や行動などを特徴とする病気。若い人に多く、全人口の1%近くが経験する。薬で治療して社会復帰できる場合も多い
16人の医師がチェック 162回の改訂 最終更新: 2017.12.16

統合失調症の基礎知識

POINT 統合失調症とは

統合失調症は、自分の考えや気持ちがまとまらない状態が続く病気です。思春期から中年までに起こりやすく、約0.7%の人が生涯に発症するとされます。症状は陽性症状と陰性症状に分けることができます。陽性症状は、病気の早期の段階や再燃(落ち着ついていた病気が悪くなる)した時に現れることが多く、「悪口が聞こえる」などの幻聴や「誰かにずっと監視されている」などの妄想、考えが混乱してまとまりがなくなる思考障害などです。陰性症状は、病気になってからしばらくして現れ、喜怒哀楽の表現が乏しくなる感情平板化や意欲欠如、社会的引きこもりなどです。 統合失調症は、早期からの積極的な治療(薬物療法を主体して必要に応じてリハビリテーションを組み合わせる)を受けることで、落ち着いた生活を送ることができます。統合失調症が心配な人は精神科を受診して調べてもらってください。

統合失調症について

  • 心の働きの一部のバランスが崩れた状態
    • 人と交流しながら日々の生活をしたり、自分が感情や思考をうまくコントロール出来ないということを認識できなくなる
    • 病気のために感覚・思考・行動のバランスが乱れていることを自覚することが難しい
  • 全人口の1%程度の人が統合失調症にかかる
    • 発症時期は10代後半から30代に多い
    • 進学や就職や1人暮らし、結婚など、ストレスがかかるような人生の転機での発症が多いと言われている
      ・人生の転機は1つのきっかけにすぎないので、これらを避けるべきということではない
      ・人生の転機と無関係に発症する場合も多い
    • 遺伝の影響はあるが、親子間で必ず遺伝するという疾患ではない
      ・統合失調症の母親から生まれた子どもが統合失調症になる確率は10%程度という報告がある
    • 統合失調症の発症の背景にある詳細な原因は未だ解明されていない
      ・遺伝的な背景や環境が発症に関わっていると考えられている
  • 以前は「精神分裂病」と呼ばれていた
    • 英語で言うschizophreniaの直訳
    • 語源はギリシャ語のskhizein(分裂する)+phren(心)

統合失調症の症状

  • 統合失調症の症状は様々
  • 幻覚
    • 幻聴が最も多い
      ・暴言
      ・命令
      ・自分が監視されているような声が聞こえる
    • 幻視は子どもで比較的出やすい
  • 妄想
    • 誰かに狙われている
    • 自分の思ってることが周囲に伝わってしまっている
    • 自分は何でもできる
  • 会話や行動の障害
    • 会話や行動のまとまりが無くなり、周りの人が理解できない
    • 話がすぐに脱線する
    • 話が支離滅裂になる
  • 緊張病症候群(カタトニア)
    • 周囲と活動的なつながりがない(昏迷)
    • ほかの人に何かの姿勢をとらされると同じ姿勢のままになる(カタレプシー
    • 何かの姿勢をとらされるのに抵抗する(蝋屈症)
    • 言葉がほとんど出ない(無言症)
    • 指示や刺激に反応しないか反対する(拒絶症)
    • 同じ姿勢を続ける(姿勢保持)
    • 動作のわざとらしさ
    • 同じ動作を異常に繰り返す(常同症)
    • 刺激がないのに興奮する
    • しかめ面
    • 他人の言葉を繰り返す(反響言語)
    • 他人の動作を繰り返す(反響動作)
  • 感情の障害
    • 感情が乏しくなる
    • 相手の感情が分からなくなる
  • 意欲の障害
    • やる気がなくなる
    • 活動性が落ちる
  • 病識がない(幻覚や妄想が異常であることが理解できない、自分が病気であることが理解できない)
  • その他の症状が出ることもある
    • 刺激がないのに笑う
    • 抑うつ
    • 不安
    • 怒り
    • 日中の睡眠、夜間の活動
    • 食事に興味がなくなる
    • 自分の心や体が自分のものでないように感じる(離人症)
    • 現実感がなくなる
    • 無関係のものを意味があると解釈する
    • 敵意
    • 攻撃性
    • 自殺念慮、自殺企図

統合失調症の検査・診断

  • 統合失調症を確実に診断できる検査はない
    • 患者および周囲の人の話を聞き、長期的な経過を確認しながら診断を確定させていく
  • 精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)で診断基準が提示されている
    • 妄想・幻覚・まとまりのない発語のうちいずれかが必須
    • 妄想・幻覚・まとまりのない発語・まとまりのない行動・陰性症状(情動表出の減少または意欲欠如)のうち2つ以上が1か月間ほとんど常に続いている
    • 症状によって生活のための機能が大幅に低下している
    • 症状のいずれかが、弱められた形を含めて6か月間続いている
    • ほかの精神疾患が否定される
    • 原因は薬物や体の病気ではないことが確かめられている
  • 他の病気と重なる特徴も多く、見分ける必要がある

統合失調症の治療法

  • 治療は薬による治療と心理社会的療法を組み合わせて行う
  • 統合失調症で内服する薬は抗精神病薬と言われ、大きく2種類に分けられる
    • 定型抗精神病薬(従来からあるタイプの薬)
      ・副作用としてパーキンソン症候群を起こしやすい
    • 非定型抗精神病薬(新しいタイプの薬)
      ・定型抗精神病薬に比べて副作用によるパーキンソン症候群が少ない
      ・副作用に体重増加(太る)・高血糖など
    • 現在は非定型抗精神病薬が治療の中心
    • 共通の副作用として、ごくまれに悪性症候群が起こる
      ・高熱、体のこわばりなどを起こすが適切に対処すれば一時的な症状にとどまる
  • 定型抗精神病薬の例
    • クロルプロマジン(商品名コントミン)
      ・錠剤、注射剤があり用途などに合わせて選択される
    • フルフェナジン(商品名フルメジン)
      ・散剤もあり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットが考えられる
    • プロクロルペラジン(商品名ノバミン)
      ・錠剤、注射剤があり用途などに合わせて選択される
    • ハロペリドール(商品名セレネース)
      ・錠剤、細粒剤、液剤(内服液)、注射剤があり用途などに合わせて選択が可能
    • スルピリド(商品名ドグマチール、アビリット、ミラドール)
      ・細粒剤があり用途などによって選択される(ドグマチールには加えて注射剤も)
  • 非定型抗精神病薬の例
    • リスペリドン(商品名リスパダール)
      ・剤形にOD錠、細粒剤、液剤(内用液)もあり用途などによって選択が可能
    • アリピプラゾール(商品名エビリファイ)
      ・OD錠、液剤(内用液)、注射剤(筋注)などがあり用途などによって選択が可能
    • オランザピン(商品名ジプレキサ)
      口腔内崩壊錠(ザイディス錠)、細粒剤、注射剤もあり、用途などによって選択が可能
    • クエチアピン(商品名セロクエル)
      ・細粒剤もあり、嚥下能力の低下した患者などへのメリットが考えられる
  • 抗精神病薬に加えて、抗うつ薬や抗不安薬を併用することもある
  • 心理社会的療法
    • 心理社会的療法には多くの種類やバリエーションがある
      ・心理教育(病気のことをよく知るための教育)
      ・生活技能訓練(社会復帰にむけたトレーニング)
      ・精神療法(医師と信頼関係を築いたり、他の患者と悩みを共有したりする)

統合失調症に関連する治療薬

非定型抗精神病薬(ドパミン・セロトニン拮抗薬)

  • 脳内のドパミンD2受容体やセロトニン5-HT2受容体などの拮抗作用により、幻覚、妄想、感情や意欲の障害などを改善する薬
    • 統合失調症は脳内のドパミンなどの働きに異常が生じ、幻覚、妄想などの陽性症状や感情の鈍麻、意欲の減退などの陰性症状などがあらわれる
    • 脳内のドパミンD2受容体の拮抗作用により、陽性症状の改善が期待できる
    • 脳内のセロトニン5-HT2受容体の拮抗作用により、陰性症状の改善が期待できる
  • 薬剤によっては認知症の周辺症状(BPSD)などへ使用する場合もある
非定型抗精神病薬(ドパミン・セロトニン拮抗薬)についてもっと詳しく

非定型抗精神病薬(多元受容体作用抗精神病薬:MARTA)

  • 神経伝達物質のドパミンやセロトニンなどの多種類の受容体に作用することで、幻覚、妄想、感情や意欲の障害などを改善する薬
    • 統合失調症は脳内のドパミンなどの働きに異常が生じ、幻覚、妄想などの陽性症状や感情の鈍麻、意欲の減退などの陰性症状などがあらわれる
    • 脳内のドパミンD2受容体の拮抗作用で陽性症状、セロトニン5‐HT2受容体の拮抗作用で陰性症状の改善が期待できる
    • 本剤はD2受容体拮抗作用、5‐HT2受容体拮抗作用をあらわす他、アドレナリンα1受容体やヒスタミンH1受容体など、神経伝達物質が働く多くの受容体への作用をあらわす
非定型抗精神病薬(多元受容体作用抗精神病薬:MARTA)についてもっと詳しく

定型抗精神病薬

  • 主に脳内のドパミンに対して抑制作用をあらわし、幻覚、妄想、不安、緊張、興奮などの症状を改善する薬
    • 統合失調症は脳内のドパミンなどの働きに異常が生じ、幻覚、妄想などの陽性症状や感情の鈍麻、意欲の減退などの陰性症状などがあらわれる
    • 脳内のドパミンの作用を抑えることにより陽性症状の改善が期待できる
    • 本剤は脳内で過剰になっているドパミンの働きを抑える作用などをあらわす
  • 本剤は統合失調症の他、躁病やうつ病などへ使用する薬剤もある
  • 本剤は薬剤の成分の化学構造や作用などにより、フェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンズアミド系などに分かれる
定型抗精神病薬についてもっと詳しく

統合失調症の経過と病院探しのポイント

統合失調症が心配な方

統合失調症は幻覚や妄想などの特徴的な症状があり、多くの場合は最初から精神科にかかることの多い病気です。

統合失調症に関連する専門科は精神科および神経科、メンタルヘルス科、一部の心療内科です。統合失調症を主に診療する専門医は精神科専門医です。精神科には精神保健指定医という国家資格と精神科専門医という学会認定資格があります。

統合失調症の治療の方向性を決定するのは症状の重さと本人が病気であるという認識の有無です。幻覚や妄想がひどく、日常生活に支障をきたしている場合や、服薬などの必要な治療をきちんと受けることができない場合、精神科の入院施設がある精神科病院や総合病院の精神科の受診を勧めます。そういうケースでは、診察を受けたのち入院治療を勧められます。

病気であるという認識がない場合、自発的に治療を受けようという考えに至らないため、治療がなかなか開始されない場合が多いです。日常生活に大きな支障がない場合は、長く治療を受けていない方もおられますが、症状が重く、治療が必要な場合に病気であるという認識を持っていない場合、家族などの同意を得て強制的に入院治療を行う場合があります。

病気であるという認識があり、治療が継続できる、日常生活が送れている場合は外来治療を行うことになります。入院施設のある病院の精神科外来でも、精神科クリニックでも診療を受けることができます。精神科クリニックを受診して、入院が必要と判断された場合も、入院施設を紹介してもらうことは可能です。

統合失調症は主に状態の観察と問診により診断される病気ですが、アルコール依存症や薬物中毒、身体の病気など他の要因によって統合失調症に類似した幻覚や妄想が出現する場合がありますので、診断にあたってはそういった症状を引き起こす病気の有無を血液検査や頭部MRIで行うことも多いです。

精神科クリニックにはMRI検査ができることが少なく、提携している脳神経外科や総合病院に検査をうけにいってもらうこともあります。総合病院の精神科や精神科病院ではMRI検査を受けることができる場合が多いです。

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統合失調症でお困りの方

治療は主に薬物療法が中心となり、認知行動療法などの心理療法や生活技能訓練(SST)を病状に応じて行っていきます。

入院治療、特に強制入院などになるケースでは、初期の急性期治療は症状の軽減のために穏やかな環境での休息と薬物療法が中心となることが多いです。中期的には作業療法や認知行動療法などの心理療法や日常生活を送るための生活技能訓練(SST)を行い、病気からの回復とともに生活能力を再獲得することを目指します。

統合失調症は退院後も長期的に通院治療が必要となることが多いです。退院後の生活は、治療を継続し病状の再燃を防ぐこと、日常生活の能力を保つことが目標となります。規則正しい生活を送り、日常生活の能力を保つことを目標に暮らす場合、日中の活動の場としてデイケア、ナイトケアというものが病院に併設されている場合があります。仕事や家事をすることが難しい状態の患者さんでは日中過ごす場所やすることがなく生活が乱れ病状が悪化することも多いため、日中過ごす場所を提供するのが目的です。就職や復職を目指す方は、就労支援事業に参加したり、リワークに通って就労能力の獲得を目指すことが多いです。

統合失調症の治療は長くかかることが多く、患者さんによって治療に加えて必要なサポートが様々です。主治医との相性も大切ですが、しっかりと通院を継続できる枠組みを整えて治療を進めていくことが大切です。

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