はっけつびょう
白血病(総論)
骨髄で異常な血液細胞が増殖する病気。「血液細胞のがん」にあたる
12人の医師がチェック 183回の改訂 最終更新: 2019.11.01

白血病とはどんな病気なのか:症状、原因、治療など

白血病は血液細胞のがんです。白血病にはいくつか種類があり、それぞれで性質や治療方針が異なります。このページでは白血病の概要として白血病の種類や症状、原因、検査、治療について説明していきます。

1. 白血病とはどんな病気か

白血病は血液細胞の一種である「白血球」ががん化する病気で、大きく4種類に分けられます。まずは、「罹患者数(患者さんの数)などの統計データ」と「白血病の種類」について説明します。

白血病にかかる人の割合、男女比について

がん登録・統計」によると、2014年に国内で白血病が見つかった人(罹患者)は男性7227人、女性4967人、10万人あたりで男性11.7人、女性7.6人でした。他のがんと比べるとかかる人数は少ないがんと言えます。

白血病の種類について

白血病には大きく分けて「急性白血病」と「慢性白血病」の2つがあります。さらに、がん化する白血球の種類によって、それぞれ「骨髄性白血病」と「リンパ性白血病」に分けられ、計4つに分類されます。

【白血病の種類】

血液細胞は造血幹細胞と呼ばれる細胞から成長(分化といいます)して作られます。

急性白血病とは、造血幹細胞が白血球に分化する途中の細胞が原因となる白血病のことで、慢性白血病は正常に分化した白血球が原因となる白血病です。また、白血球の中の骨髄球ががん化したものを骨髄性白血病、リンパ球ががん化したものをリンパ性白血病と言います。

2. 白血病の症状

急性白血病では、白血病細胞が増殖することで発症直後からさまざまな症状が見られます。一方、慢性白血病は進行がゆっくりで、発症直後は無症状であることも少なくありません。しかし、進行すると全身に症状が現れます。

【急性白血病でみられる症状】

  • 貧血による症状:息切れ、動悸 など
  • 感染症による症状:発熱、咳、下痢 など
  • 出血による症状:あざ、鼻血が止まりにくい など
  • その他の症状:肝臓や脾臓リンパ節の腫れ

急性白血病には骨髄性とリンパ性の2種類がありますが、どちらとも似たような症状が見られます。一方、慢性白血病では骨髄性かリンパ性かで症状の現れ方が異なります。慢性骨髄性白血病では「急性白血病化」することが知られており、その時は急性白血病と似た症状が見られます。慢性リンパ性白血病では急性白血病化はまれです。しかし、進行すると症状が現れることがあります。

症状に関してはこちらで詳しく説明しているので参考にしてください。

3. 白血病の原因について

多くの白血病で原因ははっきりとは明らかになっていません。遺伝子の異常が積み重なって白血病が発症するのではないかと考えられています。一方、特定のウイルスへの感染が原因となる白血病があることが知られています。

ウイルス感染が原因の白血病:成人T細胞白血病

成人T細胞白血病はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV1)への感染が原因となることが知られています。このウイルスに感染している人の分布は地域ごとに差があり、日本では九州や沖縄で見られることが多いです。ここでは、このウイルスについてもう少し詳しく説明します。

◎HTLV1の感染を防ぐには

HTLV1の主な感染経路は「母乳による子どもへの感染」と「性行為による感染」です。通常の生活で周囲にうつることはないので、一緒に食事をしたり、お風呂に入っても問題ありません。

母乳による感染は断乳して育児用ミルクを使うことで防げます。また、性行為による感染はコンドームを使用することで防げます。

◎HTLV1に感染しても白血病を発病する人は少ない

HTLV1に感染した人全員が白血病を発症するわけではありません。感染した人が生涯で白血病を発症する割合は5%程度です。そのため、HTLV1に感染していることで心配しすぎることはありませんが、子どもやパートナーにうつさないような対策を行うことは重要です。

染色体の異常が原因である白血病①:急性前骨髄球性白血病

急性前骨髄球性白血病は白血球のうち「前骨髄球」ががん化する白血病です。15番染色体と17番染色体の「転座」と呼ばれる異常が原因で起こります。転座とは、染色体の一部が切断され、他の染色体にくっついてしまう異常のことです。急性前骨髄球性白血病は他の種類の白血病とは違い、トレチノインや亜ヒ酸が治療薬として使われます。

染色体の異常が原因である白血病②:慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は9番染色体と22番染色体の「転座」が原因で起こります。慢性骨髄性白血病では、イマチニブ(グリベック®)、ニロチニブ(タシグナ®)、ダサチニブ(スプリセル®)、ボスチニブ(ボシュリフ®)、ポナチニブ(アイクルシグ®)が治療薬として使われます。

4. 白血病の検査

白血病が疑われた人には、次のような診察や検査が行われます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 血液検査
  • 骨髄検査
  • 画像検査

血液検査では白血球の数や形を確認したり、貧血の有無やその他の問題がないかを確認します。また、白血病細胞の有無を確認できる骨髄検査は診断に不可欠です。病気の広がりを確認したり、感染症(肺炎など)の有無を確認するために画像検査も行われます。

白血病の検査に関してはこちらで詳しく説明しているので参考にしてください。

5. 白血病の治療

白血病は血液細胞のがんです。そのため手術で治すことは難しく、治療は抗がん剤治療化学療法)がメインになります。一口に抗がん剤といってもさまざまな種類があるので、白血病の種類に応じて、適切な抗がん剤を組み合わせて治療を行います。また、患者さんによっては同種造血幹細胞移植骨髄移植の一種)を抗がん剤治療と組み合わせます。

薬物治療

白血病の治療で使われる薬は大きく4種類に分けられ、これらをうまく組み合わせて治療を行います。

  • 細胞障害性抗がん剤
  • 分子標的薬
  • キメラ抗原受容体T細胞療法
  • ステロイド薬

近年新しい薬が多く使われるようになり、その効果が期待されています。2019年5月にはキムリア®(キメラ抗原受容体T細胞療法)が保険適応となり、急性リンパ性白血病の治療に使われるようになりました。

骨髄移植(同種造血幹細胞移植)

造血幹細胞移植は骨髄移植とも呼ばれ、こちらの名前で聞いたことがある人も多いかもしれません。造血幹細胞とは血液細胞(白血球、赤血球血小板)のもとになる細胞のことです。

造血幹細胞移植を受ける前には「前処置」を行います。前処置とは、抗がん剤や放射線治療によって患者さんの造血幹細胞を病気の細胞もろとも排除することです。前処置したうえで提供してもらった造血幹細胞を輸注することで、患者さんの血液細胞はその後、輸注された正常な造血幹細胞から作られるようになります。治療では、造血幹細胞を提供してくれる人をドナー、患者さんをレシピエントと言い表すことがあります。

いくつかある骨髄移植の方法の中で、白血病の治療で行われるのは同種造血幹細胞移植と呼ばれる方法です。詳しくは「白血病の治療について」で説明しているので参考にしてください。

6. 白血病の人に知っておいてほしいこと

白血病は臓器にできるがんと異なり手術でがん細胞すべてを取り除くことができません。そのため、化学療法で白血病細胞の増殖を抑えたとしても、ある一定数の白血病細胞は身体に残ってしまいます。このような理由で白血病は完治は難しいことが多く、再発する人もいます。しかし、白血病の治療は目覚ましい進歩を遂げていて、多くの治療薬が使えるようになりました。

白血病の治療は長期に続くことが多いので、普段の生活で手洗いうがいを丁寧にしたり、生食を避けたりして、感染症を予防することが大事になります。また、肺炎球菌インフルエンザのワクチン接種もすることも望ましいです。

治療中および治療後に気を付けてほしいことについては、こちらでも説明しているので参考にしてください。

参考文献

・国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計
・日本血液学会, 「血液専門医テキスト」, 南江堂, 2015
・日本血液学会, 「造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版