2015.11.08 | ニュース

被爆二世の死亡リスクは増えていなかった

62年間の追跡調査結果を日米共同機関が報告
from The Lancet. Oncology
被爆二世の死亡リスクは増えていなかったの写真
(C) imtmphoto- Fotolia.com

広島・長崎の原爆被爆者は白血病や固形がんのリスクが上がる事が知られています。では、このような影響は生殖細胞を通じて子孫にまで伝わるのでしょうか?今回、被爆二世に対する62年間の追跡調査で、死亡リスク増が見られないという報告がありました。

◆親の被爆と子どもへの影響

広島・長崎の被爆者の子どもへの影響が現在進行形で追跡・報告されています。放射線影響研究所は、1946年から1984年に被爆者に生まれた子どもと、被爆しなかった人の子ども、合わせて75,327人について追跡調査し、原爆投下後の妊娠により生まれた被爆者の子どものがんおよびがん以外の疾患による死亡と親の放射線被曝との関連を調べました。

 

◆父母の被爆は子の死亡リスクに影響なし

追跡期間の中央値(順位で半数にあたる値)は54.3年で、被爆した人の子どもと被爆しなかった人の子どものうち合計5,183人が病死しました。

 

がん原因の死亡もがん以外の疾患による死亡も、被爆した母親の生殖腺被曝量との関連は認められず、父親の被爆についても同様でした。また、出産年齢や被爆から出産までの期間も死亡リスクに影響しないという結果でした。

 

◆被爆に関する遺伝子レベルの解析

同じ機関は、2003年に被爆二世にはがんの増加がない、という報告をしています。今回の結果はそれを確認するものですが、多くの被爆二世が「がん年齢」にはいってきたなかでのこの結果は、前回のものより重要な意味をもっています。これまでの報告は主に個人レベルの疫学でしたが、遺伝子レベルの解析がどんどん進歩しているので、特に被爆二世の遺伝子レベルでの疫学に関する詳細報告がまもなくでるだろうと世界が注目しています。現在の研究状況は同じ研究機関が去年レビューしており、遺伝子レベルの研究が重要であることが、論文の結論中に記載されています。

参考文献

Risk of death among children of atomic bomb survivors after 62 years of follow-up: a cohort study.

Lancet Oncol. 2015 Oct

[PMID: 26384241]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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