まんせいこつずいせいはっけつびょう
慢性骨髄性白血病(CML)
骨髄で異常な血液細胞がゆっくりと増殖する病気。「血液細胞のがん」にあたる
9人の医師がチェック 114回の改訂 最終更新: 2018.02.07

慢性骨髄性白血病(CML)の基礎知識

POINT 慢性骨髄性白血病(CML)とは

白血病は、骨髄にある造血幹細胞から血液細胞(白血球、赤血球、血小板)へと成熟する過程にある細胞が癌化する病気です。白血病はまず、癌化した細胞がもし成熟したら何になっていたか?によって分類されます。成熟したらリンパ球(白血球の一種)になるだろう細胞が癌化したものをリンパ性白血病と呼びます。また、成熟したらリンパ球以外の白血球、赤血球、血小板になるだろう細胞が癌化した場合を骨髄性白血病と呼びます。さらに、急激に発症した白血病を急性白血病、ゆっくり進むものを慢性白血病と呼びます。これらを組み合わせて、白血病は急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分けられます。慢性骨髄性白血病は無治療の場合、数年間の慢性期、その後に数ヶ月間の移行期、そして急性転化期と進んでいきます。慢性期には症状が出にくいので、健康診断などの採血で偶然見つかることが多いです。症状が出る場合には、微熱やだるさ、不自然な体重減少、肝臓や脾臓の腫れなどが見られます。急性転化期になると、急性骨髄性白血病と同様の強い症状が出てきます。診断は採血検査、骨髄検査、画像検査、染色体検査、遺伝子検査などを用いて行います。治療は分子標的薬と呼ばれる飲み薬が中心となります。早期に分子標的薬を開始して、慢性期を維持していくことが重要です。骨髄移植やインターフェロン治療、一般的な抗がん剤が使われることもあります。慢性骨髄性白血病が心配な方や治療したい方は血液内科を受診してください。

慢性骨髄性白血病(CML)について

  • 血液細胞には大きく分けて以下の3種類がある
    • 白血球:主に病原体や異物と戦う役割
      リンパ球は白血球の一種であり、主にウイルスなどを攻撃する機能を持つ
    • 赤血球:主に酸素を輸送する役割
    • 血小板:主に出血を止める役割
  • 血液細胞は骨髄にある造血幹細胞が成長して作られる
    • 造血幹細胞から血液細胞へと成熟する過程で、細胞が化することを白血病という
    • 白血病になると、癌化した細胞(白血病細胞)が骨髄を占拠し、正常な血液細胞は減少する
    • リンパ球になる過程で癌化した場合はリンパ性白血病、リンパ球以外の血液細胞になる過程で癌化した場合を骨髄性白血病という
  • 白血病は大きく分けて以下の4種類に分けられる
  • 慢性骨髄性白血病CML)は無治療の場合、以下のように進行していく
    • 慢性期:数年間から5-6年間ほど、ほとんど症状もなくゆっくりと進行する
    • 移行期:数カ月から半年ほど、発熱や貧血など軽度の症状が出てくる
    • 急性転化期:数日から数週間単位で急激に進行して危険な状態になる
  • 白血病は遺伝子や染色体が傷つくことで発症すると考えられている
    • CMLでは9番染色体、22番染色体の異常によりできるフィラデルフィア染色体と呼ばれる染色体が病気の原因
    • フィラデルフィア染色体により、BCR-ABL1という異常な遺伝子が作られる
    • 染色体や遺伝子の異常が病気の原因だが、子どもなど血縁者に病気が遺伝することはない
  • CMLは日本で人口10万人あたり年間1.5人ほどに発症する
    • 毎年国内で新規に1,000-2,000人ほどがCMLと診断される
      ・比較的珍しい病気である
      ・中年以降で発症することが多く、やや男性に多い病気である

慢性骨髄性白血病(CML)の症状

  • 慢性期には症状が出にくいので、健康診断などの採血で偶然見つかることが多い(慢性期では白血球血小板が増加する)
  • 移行期から急性転化期にかけて見られる、正常な血液細胞が減少することによる症状(骨髄白血病細胞が占拠して、正常な血液細胞は減少する)
    • 白血球の減少
      ・病原体への抵抗力が低くなり、感染を起こしやすくなる
    • 赤血球の減少
      貧血により、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすい、など
    • 血小板の減少
      ・血が止まりにくくなる
      ・歯茎からの出血が止まらなかったり、すねなどに赤い点々(紫斑)が多発する
  • 全身的な症状
    • 食欲が出ない
    • 発熱
    • 体重が不自然に減っていく
    • 肝臓や脾臓が腫れることによりお腹が張る
    • 皮膚に痒みが出る
    • 胃潰瘍により胃が痛くなる
  • 最初は「かぜをひいたような症状」(だるさ、発熱、頭痛など)のこともあるが、かぜと違って数週間経っても治らず、採血すると白血病が見つかることがある

慢性骨髄性白血病(CML)の検査・診断

  • 血液検査
    • 血液細胞の数や、異常な血液細胞の有無を確認する
    • 全身の臓器の機能を調べる
    • 遺伝子検査を行う
    • BCR-ABL1 mRNAを測定することで、腫瘍の勢いを推定することができる
  • 骨髄検査
    • 腰骨や胸の骨から骨髄を採取する
    • 骨髄を顕微鏡で確認したり、染色体検査や遺伝子検査を行う
      ・フィラデルフィア染色体やBCR-ABL1融合遺伝子を検出する
  • 画像検査
    • レントゲンX線)検査やCT検査で、合併症の有無を調べる

慢性骨髄性白血病(CML)の治療法

  • 放置すれば必ず慢性期から急性転化へと進む
    • 慢性期のうちから治療を開始して、慢性期を維持することが重要
  • 分子標的薬と呼ばれる治療薬(飲み薬)が2000年代から使えるようになった
    • 慢性期のうちからしっかりと飲み続けることで、亡くなることは珍しい病気となった
    • 使われる分子標的薬には以下のようなものがある
      ・イマチニブ(グリベック®など)
      ・ダサチニブ(スプリセル®)
      ・ニロチニブ(タシグナ®)
      ・ボスチニブ(ボシュリフ®)
    • 分子標的薬は非常に高価な薬で、半永久的に飲むことも多いので、高額療養費制度などの医療費補助を受けることも重要
    • 効いている限りは分子標的薬を無期限に内服するのが原則だが、採血でBCR-ABL1 mRNAが検出されない状態が一定期間維持できれば、休薬できることもある
  • 分子標的薬が使えない、あるいは副作用で使い続けられないケースでは骨髄移植を行う場合がある
    • 骨髄移植も出来ない場合には、インターフェロンアルファ(スミフェロン®など)やヒドロキシカルバミド(ハイドレア®)を使う場合もあるが、その場合は予後を改善することが難しくなってくる

慢性骨髄性白血病(CML)に関連する治療薬

アルキル化剤

  • 細胞増殖に必要なDNAに作用しDNA複製阻害作用やDNAの破壊作用により抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し転移することで細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤は薬剤中のアルキル基というものがDNAに結合することで抗腫瘍効果をあらわす

アルキル化剤についてもっと詳しく

分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔Bcr-Abl〕)

  • 白血病細胞の増殖に必要な異常なタンパク質による働きを選択的に阻害し抗腫瘍作用をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 慢性骨髄性白血病では変異した染色体から異常なタンパク質が作られ無秩序な細胞増殖を引き起こす因子となるBcr-Ablチロシンキナーゼという酵素が産生される
    • 本剤はBcr-Ablチロシンキナーゼに結合しその活性を阻害することで、がん細胞の増殖抑制作用をあらわす

  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
  • 本剤の中には消化管間質腫瘍(GIST)に対して抗腫瘍効果をあらわす薬剤もある
分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔Bcr-Abl〕)についてもっと詳しく


慢性骨髄性白血病(CML)が含まれる病気


慢性骨髄性白血病(CML)のタグ

診療科
からだ
MEDLEYニュース新着記事