2015.09.04 | ニュース

糖尿病の薬ががん幹細胞を根絶する?

3人の治療例から
from Nature
糖尿病の薬ががん幹細胞を根絶する?の写真
(C) gekaskr- Fotolia.com

がんができるときに、「がん幹細胞」という細胞が元になって、さまざまな種類のがん細胞が生まれるという説があります。フランスなどの研究班が、慢性骨髄性白血病のがん幹細胞を、糖尿病の治療薬であるグリタゾンが根絶できるという説を唱えました。

◆グリタゾンが細胞に与える影響

研究班は、グリタゾンが細胞の中で作られる物質に次の影響を与えることを実験から見出しました。

我々は、グリタゾンによるPPARγの活性化が、STAT5とその下流標的分子でありCML幹細胞の活動静止と幹細胞能力を維持する鍵となるHIF2αおよびCITED2の発現を減少させることを発見した。

グリタゾンの作用により、慢性骨髄性白血病CML)のがん幹細胞にとって重要と思われた物質を少なくする効果が観察されました。

 

◆イマチニブ治療後の3人に寛解

さらに、実際のCML患者3人に対して、グリタゾンの一種であるピオグリタゾンが使われたとき、次のことが見られました。

CML患者でイマチニブによる継続治療にもかかわらず慢性的に障害が続いている3人にピオグリタゾンが一時的に与えられたとき、全員がピオグリタゾン中止後最大4.7年間持続する分子生物学的完全寛解を達成した。

この3人は、もともとCMLの代表的な治療薬であるイマチニブで治療を受けていましたが、CMLに特徴的とされる物質BCR-ABLが見つからなくなる状態には達していませんでした。ピオグリタゾンを使ったあと、3人全員でBCR-ABLが見つからなくなり、その状態が最大4.7年間続きました

 

この3人の例が、必ずしもピオグリタゾンの効果を示しているとは断定できません。ピオグリタゾンが使われなかった場合と比較されていないことに加え、人数も少なく、イマチニブなどほかの治療の効果が現れていた可能性も考えられます。

しかし、もしピオグリタゾンとの因果関係が今後確かめられれば、CMLの治療の研究において重要な発見となるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Erosion of the chronic myeloid leukaemia stem cell pool by PPARγ agonists.

Nature. 2015 Sept 2

[PMID: 26331539 ] http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature15248.html

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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