◆グリタゾンとほかの糖尿病薬を比較
研究班は、イギリスの大規模研究のデータから、もともとパーキンソン病がなく糖尿病があった人の情報を取り出しました。グリタゾン(チアゾリジンジオン)を使った人と、ほかの種類の糖尿病治療薬を使った人で、その後パーキンソン病を発症する率を比較しました。
◆グリタゾンを使った人のほうがパーキンソン病が少ない
次の結果が得られました。
グリタゾン曝露のあった44,597人の個人が、ほかの糖尿病薬を使っていた120,373人とマッチされた。ほかの糖尿病薬に曝露した群で517人が新たにパーキンソン病と診断されたのに対して、グリタゾン曝露群では175人が新たにパーキンソン病と診断された。パーキンソン病の発症率はグリタゾン曝露群で1万人年あたり6.4、ほかの糖尿病薬治療を処方された患者では1万人年あたり8.8だった(発症率比0.72、95%信頼区間0.60-0.87)。
グリタゾンを使った人では、ほかの糖尿病治療薬を使った人に比べて、パーキンソン病の発症率が低くなっていました。
この研究の方法では、グリタゾンがパーキンソン病を予防したとは必ずしも断定できず、健康状態などについてパーキンソン病になりにくい背景を持っていた人がグリタゾンを処方されやすかったという可能性が否定できません。
糖尿病治療薬には多くの種類があり、治療を受ける人の状態に合わせて使い分けられていますが、もしほかの病気との関係が明らかになれば、使い方に影響があるかもしれません。
執筆者
Glitazone Treatment and Incidence of Parkinson's Disease among People with Diabetes: A Retrospective Cohort Study.
PLoS Med. 2015 Jul 21
[PMID: 26196151]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。