2016.04.05 | コラム

パーキンソン病とパーキンソニズムは、何が違う?両者の違いと、症候性パーキンソニズムの特徴を解説。

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1. パーキンソン病とは
2. パーキンソン病とパーキンソニズム(パーキンソン症候群)の違い
3. パーキンソニズムの発症の理由と特徴を説明

パーキンソン病と似たような症状がみられるパーキンソニズムという言葉を知っていますか?どのような点が異なり、どのような点が類似しているのでしょうか。今回は、パーキンソン病とパーキンソニズムの違いについて解説します。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、ドーパミンと呼ばれる脳内の情報を伝達する物質が不足することで、身体を自由に動かすことが難しくなってしまう病気です。

主な症状は、以下の4つがあります。

  • 振戦(手足の震え)
  • 無動(身体の動かしにくさ)
  • 固縮(歯車のようなカクカクした抵抗感)
  • 姿勢反射障害(バランスのとりにくさ)

症状は、時間をかけて進行することが知られています。こうした症状が重症化することによって、生活に影響が出るため、病気の進行を遅らせるための薬物治療やリハビリテーションが行われます。

パーキンソン病の症状や治療についての詳細は、「手が震える、転びやすい・・パーキンソン病の初期症状と治療について解説」、リハビリテーションの詳細は、「パーキンソン病はリハビリするとどんな良いことがあるの?運動や体操の方法を解説」をご参照ください。

 

パーキンソン病とパーキンソニズム(パーキンソン症候群)の違い

パーキンソニズムパーキンソン症候群)とは、パーキンソン病と同じような症状を示す病態病気の状態や、その病気の原因・発生機序などを指して用いられる言葉をいいます。みられる症状は、パーキンソン病と同じですが、その病態は異なるため、治療方法も異なります。

厚生省特定疾患・神経変性もともとの状態から、臓器の性状が変わること。多くの場合、何らかの病気の影響で、正常な機能が失われる状態に変化していくことが多い疾患調査研究班が示したパーキンソン病の診断基準は、以下の通りです。

次の1~5のすべてを満たすものをパーキンソン病と診断する.

1. 経過は進行性である.

2. 自覚症状で以下のうちいずれか一つ以上がみられる.

A:安静時のふるえ(四肢または顎に目立つ)

B:動作がのろく拙劣

C:歩行がのろく拙劣

3. 神経所見検査や診察から分かる情報のことで以下のうち,いずれか一つ以上がみられる.

A:毎秒4~6回の安静時振戦

B:無動・寡動(仮面様顔貌,低く単調な話し方,動作の緩徐・拙劣,姿勢変換 の拙劣)

C:歯車現象を伴う筋固縮

D:姿勢・歩行障害:前傾姿勢(歩行時に手の振りが欠如,突進現象,小刻み歩 行,立ち直り反射障害)

4. 抗パーキンソン病薬による治療で,自覚症状・神経所見に明らかな改善がみられる.

5. 鑑別診断似た別の病気と区別すること。また、その病気以外に可能性のある病気そのもののことで以下のものが除外できる.

A:脳血管障害のもの

B:薬物性のもの

C:その他の脳変性疾患

これは、1)進行性であること、2)自覚症状があること、3)パーキンソン病の四大症状がみられること、4)パーキンソン病の薬で症状の改善がみられること、5)症候性(主に症状が出なくても良いような状況で)症状が出ていることパーキンソニズムの可能性が除外できることを満たした場合にパーキンソン病と診断されることを示しています。これに当てはまらないものは、パーキンソニズムと呼ばれます。みられた症状が、パーキンソン病なのか、何らかの原因によって発症症状や病気が発生する、または発生し始めることしたパーキンソニズムなのかは、慎重な診断が求められます。

 

パーキンソニズムの発症の理由と特徴を説明

パーキンソニズムが生じる原因は、いくつかに分類されていますが、今回は、その中で広く知られている薬剤性薬が原因となって病気が引き起こされたり症状が現れたりすることパーキンソニズムと脳血管性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズムについてご紹介します。

 

薬剤性パーキンソニズム

薬の副作用で、体内のドーパミンが不足し、パーキンソン病でみられるような症状をきたすことが知られています。一般的なパーキンソン病と比較した薬剤性パーキンソニズムの特徴を以下に示します。

  • 進行がはやい
  • 突進現象が少ない
  • 左右差は少なく、対称性のことが多い
  • 姿勢時・動作時振戦が出現しやすい
  • ジスキネジアやアカシジアを伴うことが多い
  • パーキンソン病の薬の効果が少ない

このような症状を呈する元となる薬は、

  • 抗精神病薬向精神薬の一種で、主に統合失調症に対して使われる精神科の薬
  • 抗うつ薬
  • 消化性潰瘍臓器や粘膜が部分的にえぐれてしまっている状態。何らかの理由で壁の防御機構が壊れてしまっていることが原因となりやすい用薬

などが知られています。

また、高齢であること、飲んでいる薬の量が多い、または女性だと、この症状が出やすいと言われています。パーキンソン病に似た症状が表れた場合には、”もしかしたら薬剤性パーキンソニズムかもしれない”と疑うことのできる知識を持っておくことが重要になります。

 

脳血管性パーキンソニズム

脳血管性パーキンソニズムは、神経伝達物質神経細胞同士の間(ニューロン)で、信号をやりとりするために用いられる物質であるドーパミンを受けとる脳が障害されることで、伝達がうまくできなくなり、パーキンソン病の症状がみられます。脳の大脳基底核(被殻、淡蒼球外節、尾状核)や視床と呼ばれる部分の障害が多いと言われていますが、脳の白質に点在するように起こるびまん性白質病変病気が原因となって体に生じた、あるいは変化が起きた、その特定の部位のことがみられることも多いようです。脳血管性パーキンソニズムは、パーキンソン病と似た症状がみられるものの、特徴的な症状もあります。

一般的なパーキンソン病と比較した脳血管性パーキンソニズムの特徴を以下に示します。

  • 高齢者(70歳以上)に多い
  • ある一定の姿勢をとったときに振戦がみられる(姿勢時振戦)
  • 歩幅が広く緩慢で、足を横に広げたような歩き方をする
  • 下肢の症状が強くみられる
  • パーキンソン病の薬の効果が少ない

 

脳炎後パーキンソニズム

脳炎とは、ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効であるが脳内に感染し、炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るをおこすことで生じる病気です。脳炎は、発熱や頭痛など様々な症状が生じますが、脳炎にかかった後に、パーキンソニズムの症状がみられることがあります。今回は、日本脳炎でみられるパーキンソニズムについてご紹介します。

日本脳炎にかかった後、数ヶ月から数十年で見られることが知られています。

パーキンソン病と比べて、以下の特徴があります。

  • 不眠や便秘など、自律神経内臓の活動を調整している神経。交感神経と副交感神経を併せた総称症状が強くみられる
  • 筋肉が硬くなりやすく、振戦は少ない
  • ジストニー性運動障害(手足の意図しない運動や姿勢の崩れがおこる障害)

以上、比較的広く知られているパーキンソニズムについてご紹介しました。これらの他にも、中枢神経の障害に伴い、情報を伝達する神経経路の障害や、脳などがうまく働かなくなることで生じるものもあります。

 

パーキンソン病は、神経の情報を伝達するドーパミンがうまく働かないことで生じます。他の病気により、この経路になんらかの障害がみられた場合には、パーキンソニズムが生じます。パーキンソニズムの治療は、その原因となる疾患によって異なります。現在の症状がどのような理由により生じているのか、といった診断を適切に行うことが、治療への近道となるかもしれません。

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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