[医師監修・作成]パーキンソン病の症状:手足の震え・無動・筋強直・姿勢障害など | MEDLEY(メドレー)
ぱーきんそんびょう
パーキンソン病
脳からの命令を伝える物質のドパミンが不足し、体が自由に動かなくなる病気。排便・排尿障害やうつ、認知症を起こすこともある。
15人の医師がチェック 234回の改訂 最終更新: 2022.02.28

パーキンソン病の症状:手足の震え・無動・筋強直・姿勢障害など

パーキンソン病の症状は、主に運動に関するものが知られていますが、他にも様々な症状が現れます。例えば物忘れやうつなどの精神面の症状、起立性低血圧便秘など自律神経に関係する症状などです。

1. 身体の動きに関する症状

パーキンソン病は、脳内のドパミンが減少することを原因とする病気です。脳内のドパミンは体を動かすことに重要な役割を果たしているので、パーキンソン病になると主に運動に関する症状が現れます。その中でも安静時振戦、無動・寡動、固縮(筋強剛)、姿勢反射障害はパーキンソン病の4大症状と言われることもある特徴的な症状です。

参考文献
・田崎義昭ほか/著, ベッドサイドの神経の診かた, 南山堂, 2016 
・ハリソン内科学
日本神経科学会, パーキンソン病治療ガイドライン 運動症状の薬物治療

安静時振戦:何もしていないのに手足が震える

安静というのは何もしていない状態のことで振戦(しんせん)は震えのことです。つまり安静時振戦は、何もしていない状態でも手や足が震えたりすることです。典型的な場合は、左右のどちらかの手足が何もしていないのに震えが現れます。この震えは動作をしているときには軽くなるのが特徴的です。

手の震えの原因としてパーキンソン病を心配して医療機関を受診される人がいますが、手の震える原因には本態性振戦という病気もあります。原因は不明ですが物を持ったり道具を使おうとすると手が震えるというのが本態性振戦という病気です。パーキンソン病とは異なり、安静にしているときには震えはないことなどから見分けることが可能です。ただし、震えなどの神経が関係する病気の状態を評価するのは難しいことです。心配な場合は、専門的な知識をもつ神経内科医の診察を受けて診断してもらう方が望ましいと考えられます。

無動・寡動:動作の開始ができないまたはゆっくり

用語の解説からします。無動は、体が動かなくなることで、寡動(かどう)は動作の開始に時間が必要で動いたあとも動作の幅が小さく緩やかな状態のことです。無動や寡動は、パーキンソン病の人の動作の様々な場面に現れます。例えば、足がすくんで踏み出せないことや歩く歩幅が極端に狭くなったりすることは無動や寡動の症状の1つです。

無動や寡動などの症状が進むとトイレなど一人になる空間から動けなくなることもあり、問題になります。このため、無動や寡動にはいち早く気づくように周りの人があらかじめ注意して観察することも必要です。

筋固縮(筋強剛):腕や足がスムーズに動かなくなる

筋固縮は身体の動きにスムーズさがなくなり、関節などの動きがカクカクと抵抗感があるような状態のことです。筋固縮は、初期の段階ではあまり目立ちませんが、進行すると動きがかなりぎこちなくなります。

筋固縮が進むと食事などの日常生活も変化をさせていかなければなりません。箸などの使用が難しくなるのでスプーンやフォークを使うなどの工夫をします。

姿勢反射障害:姿勢を保てない

姿勢を保てなくなるなど全身のバランスが失われていくことを姿勢反射障害といいます。姿勢反射障害が起こるとふらふらとしてしまうので転倒などの危険があり怪我などのリスクになります。病気が進行すると歩行時は誰かが横にたって支えながら歩いたり、家の動線に手すりをつけることなどの検討が必要になります。

2. 物忘れや気分などに関する症状

パーキンソン病は物忘れ(認知症)や気分の落ち込み(抑うつ)など精神の病気を伴いやすいことが知られています。精神の病気は生活をおくる上での影響も大きいので早期に気づいて治療する必要があります。

参考文献
・日本神経科学会, パーキンソン病治療ガイドライン 非運動症状の治療
・American Psychiatric Association, DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル, 医学書院, 2014
・田崎義昭ほか/著, ベッドサイドの神経の診かた, 南山堂, 2016

認知症

認知症はいわゆるもの忘れのことです。記憶の障害や物事を頭で処理するときの段取り、計画を行う能力が低下し、日常生活に影響を及ぼします。

パーキンソン病の人は発病から時間が経過するとともに認知症が増加するとされています。診断後12年で約60%、20年で約80%の人に認知症が発病するという報告もあります。

パーキンソン病にともなう認知症の治療は、パーキンソン病治療薬に加えて認知症に対する薬を用います。

不安・抑うつ

パーキンソン病の人はうつ病を同時に発病しやすいことが分かっています。うつ病を発病すると、気分の落ち込みまたは興味・喜びの消失といった状態が1日中続きます。うつ病は運動症状とともに生活の質を落とす原因になるので治療が必要なことがあります。

パーキンソン病の人が抑うつを発症したときにはまずはパーキンソン病の治療が十分かを確認します。パーキンソン病治療薬の効果が不十分だと抑うつの原因になりうるからです。

パーキンソン病の治療が不十分だと考えられる場合には、パーキンソン病治療薬を増量するなどします。それでも効果がないときには、うつ病に効果のある薬などを使用し、精神科と協力しながら治療をすることもあります。

幻覚・妄想

幻覚は「外的な刺激がないにも関わらず起こる知覚様の体験」と定義されます。分かりやすくいうと本当は存在しないもをさも存在するかのように見たり臭いを感じたりすることです。

妄想は、「相反する証拠があってもかわることのない固定した信念」で、説明すると本来は存在しない事実を存在するものとして捉えてしまうことです。

パーキンソン病の人に起こる幻覚・妄想は以下の2つが原因として考えられます。

  • パーキンソン病の進行によるもの
  • 薬による副作用

幻想や妄想は日常生活に影響があると判断された時点で治療が開始されます。まず新たな薬が追加投与されていないかを調べます。新しく薬が追加されている場合には薬が幻覚・妄想の原因として考えられるので、薬を中止すれば幻覚や妄想の改善が期待できます。それでも症状が改善しない場合には、治療で用いているレボドパ以外の薬を減量または中止します。ここまで行っても効果がない場合には抗精神病薬などを用いて治療します。

睡眠障害

パーキンソン病の人は、睡眠障害になりやすいことが知られています。それも入眠障害、頻回中途覚醒、睡眠行動異常症、日中の過眠、突発的睡眠など睡眠に関する様々な症状が起こります。このためパーキンソン病は発病後、時間が経過するとともに睡眠時間の減少、効率低下が起こってしまいます。睡眠障害に対処する方法としては以下のものがあります。

  • 日中の十分な活動
  • 日中に十分光を浴びる
  • 昼寝は15時以前に短時間(20−30分程度)
  • 就寝前の刺激物(アルコール、カフェイン)、喫煙、飲水を避ける
  • 夜食を控える
  • 眠前のリラックス
  • 適温で静かな環境
  • 寝る前にいつもと変わったことをしない
  • 規則正しい入眠時間
  • 睡眠時間は7-8時間
  • 決まった寝室

全てを守る必要はありませんが、いくつか自分にあったものを取り入れてみてください。同時に医師に睡眠障害があることを伝えて薬物療法に効果がありそうなものがあればそれを使ってみる方法もあります。ただし、睡眠障害には種類がありそれぞれに応じて使う薬は異なります。このために、入眠が難しいのか、それとも途中で覚醒してしてまうのかなど具体的に症状を伝えることも大切です。

3. 自律神経に関する症状

自律神経は、主に内臓などの活動を調整する役割を果たして、交感神経副交感神経の2つからなります。日中や身体を動かしているときには交感神経が活発になり、夜や休憩しているときには副交感神経が活発になります。

パーキンソン病はこの自律神経のバランスを乱すことがあり、そのため様々な症状が現れます。

参考文献
・福井次矢, 黒川 清/日本語監修, ハリソン内科学 第5版, MEDSi, 2017
・田崎義昭ほか/著, ベッドサイドの神経の診かた, 南山堂, 2016 

起立性低血圧:立ちくらみ

立ちくらみは、医学用語では起立性低血圧と言います。起立性低血圧は、血圧を調整する自律神経のバランスが崩れることが原因で起こります。

人間は姿勢に応じて適した血圧になるようなメカニズムがありそれを司るのが自律神経です。自律神経の調整が上手くいかなったときの症状の1つが起立性低血圧です。起立性低血圧の症状はふらつきやめまい、頭痛などでまれに失神してしまうこともあります。

起立性低血圧はいわば姿勢の変化に神経の対応が追いつかない状況なので、ゆっくりと姿勢を変えることを意識したり寝ている時から頭の位置を高くしたりしておくことは予防に有効なことがあります。具体的には、ベッドから起き上がるときにはゆっくりと起き上がり一度ベッドに座ってから起き上がるなどの工夫をすることは意味があるかもしれません。生活習慣などを見直しても起立性低血圧がよくならないときには血圧を維持するための薬などを用います。

便秘

便秘は、多くのパーキンソン病の人に現れる症状です。食べ物が口に入ると胃で消化されて、腸に送られ栄養や水分の吸収が行われて、残ったものが便になり身体の外に排出されます。

便秘は腸の動きが弱くなることを原因にして起こります。腸の動きは自律神経によって調整されています。パーキンソン病で自律神経がバランスを崩しているときは、腸の動きも低下することがあり便秘になります。

便秘を解消する方法としては、以下のことが予防や改善の効果が期待できます。

  • 水分の摂取
  • 食物繊維の多い食品の摂取
  • 排便習慣を付ける
  • 適度な運動

水分が不足すると便が硬くなり便を出しにくくなるので、適度に水分をとることが大事です。水分は意識的にとらないと不足しがちになるので、時間と量を決めて摂取するなどの工夫をしてみてください。

食物繊維は、消化吸収されないので便の量を多くします。便の量が多くなると便意を催しやすくなり、排便がスムーズにいくことがあります。野菜や玄米食、海藻などは食物繊維が多いので、食事に上手く取り入れてみてください。

排便の習慣をつけることも有効です。人間の身体には胃の中にものが入ると腸の動きが活発化する反応があります。この反応を活かして食後に排便にいくとうまくいくことがあります。

適度な運動も腸の動きを良くすることが期待できます。激しい運動は必要ないので、ウォーキングなどを生活の中に取り入れてみてください。運動はパーキンソン病の運動症状に対するリハビリテーションにも効果が期待できます。

便秘に悩む方は、毎日排便がないと気持ちが悪いと感じてしまい排便がないことを随分気にされる人もいます。パーキンソン病の人はどうしても便秘になりがちなので回数にはあまりとらわれない方がよいと思います。あまりにも長期間排便がないのは問題になりますが、1日1回以上の排便は必要ではないこともあります。どうしても、排便回数が気になるのであれば排便の記録をつけるなどして医師に相談してみるのも1つの手です。排便状態を見てもらえば心配な状態かどうかの判断が付けやすいと思います。

排尿障害

パーキンソン病は排尿にも影響を及ぼします。排尿は、自律神経で調整されており、膀胱に尿が溜まるまでは尿意が起こらないようになっています。パーキンソン病は大脳基底核という場所の病気で、大脳基底核は尿意を抑える役割を果たしています。パーキンソン病では尿意が異常に起こることがあり、この状態を過活動膀胱といいます。

過活動膀胱の治療に用いる薬は主に2つあり、抗コリン薬と選択的β3受容体作用薬(ミラベグロン:商品名 ベタニス®)です。抗コリン薬はパーキンソン病治療薬の1つでもあり症状に影響する可能性があります。排尿障害を治療するのは主に泌尿器科になりますが、その際には現在パーキンソン病で治療をしていてこのような薬を内服中であるという旨を伝えてください。もし不安を感じる場合には、医師から紹介状診療情報提供書)を作成してもらうと自分の病気の状態を正確に伝えることができると思いますので利用してみてください。

勃起不全

まず勃起のメカニズムについて説明します。

脳に性的な刺激などが加わるとその刺激は陰茎を司る神経に伝わり陰茎海綿体が緩んで血液が充満し、陰茎が大きくなります。陰茎にたまった血液は陰茎から外へ出る量は制限されるので、勃起の状態が維持されます。この陰茎への血液の流入増加や流出制限は自律神経によって調整が行われています。パーキンソン病が進行して自律神経に影響が出るとこのメカニズムが機能しなくなり勃起不全が起こります。

勃起不全は治療薬により症状が良くなることがあります。注意が必要なのは、勃起不全の治療薬は心臓にも影響がある薬で、安易に使える薬ではないことです。患者さんの中には海外などから自力で購入して使用を試みる人がいますが、危険な行為なのでやめて下さい。勃起の治療薬を使用したいと思ったときにはパーキンソン病の治療をしてもらっている医師にまず相談して心臓の機能などの面から治療可能かどうかを確認してもらってからにしてください。

多汗

汗は自律神経により調整されています。パーキンソン病による自律神経の乱れは発汗にも影響します。まれに汗をかくのは水分摂取の量が多いからだと考えて自己判断で水分を制限する人がいます。多汗はパーキンソン病の症状の1つなので水分の摂取量が多いことが原因だとは限りません。水分量を自己判断で控えるのは脱水を起こす危険性を高める可能性があるので多汗が心配な時でも医師に一度相談してみてください。

4. その他の症状

パーキンソン病では様々な症状が現れます。疲労感や痛み、よだれが多くなると言った一見関係がなさそうな症状もパーキンソン病の症状であったりします。少し変わったと思う点があるならばパーキンソン病の症状かどうか相談してみて下さい。病気が進行していることにいち早く気づけるかもしれないですし、治療で症状がよくなるかもしれません。

参考文献
・福井次矢, 黒川 清/日本語監修, ハリソン内科学 第5版, MEDSi, 2017
・田崎義昭ほか/著, ベッドサイドの神経の診かた, 南山堂, 2016 

疲労感

疲労感もパーキンソン病の症状の1つです。パーキンソン病が進行すると体が動かしにくくなるために発病前に比べると一つひとつの行動の負荷が大きくなります。負荷の蓄積は疲労感につながってしまいます。

疲労感は薬により運動症状が改善すると楽になる人もいますが、一方で薬による治療をしても改善がない場合があります。薬による治療に効果がない場合は、精神面からくる疲労の可能性も示唆されます。精神面での疲労には確立された治療はないのが現状です。とはいえ疲労感が運動症状からくるものなのか精神面からくるものなのかの区別は診察を受けて治療をしないとわかりません。中には病気と疲労感は関係がないと思って我慢される人もいるのですが、そうではありません。疲労感を感じるならばまず医師に相談してみてください。治療によって症状が改善することも期待できます。

痛み・感覚障害

痛みや感覚障害は、パーキンソン病の人の半数程度に現れる症状です。パーキンソン病の人が痛みを感じる理由はドパミンが不足しているためだと考えられています。

ドパミンは神経伝達物質であり、ドパミンが不足していることがパーキンソン病の原因だと考えられています。このためパーキンソン病の治療ではドパミンを補う治療を行います。パーキンソン病は病気が進むと徐々にドパミンの必要量が多くなり、効いているときとそうでない時の差が激しくなります。ドパミンが効いていない時は痛みを感じやすくなります。このためドパミンの量が不足していることが痛みの原因だと考えられる場合は、ドパミンを増やすことなどで症状の改善が見込めます。他ではリハビリテーションで関節を動かすなどにも効果が期待できます。痛みが強いときには鎮痛剤を使って痛みを緩和することがあります。

よだれが出る・多くなる

パーキンソン病の人では、よだれが目立つ様になることがあります。よだれの原因は唾液が口の中に収まらないことですが、パーキンソン病の人は唾液の出る量が多くなっている訳ではありません。以下のことが原因でよだれが出るようになっているのです。

  • 飲み込む力が落ちるのでよだれになる唾液が口の中に溜まりやすい
  • 表情が硬くなるのでよだれが出やすい

唾液は正常な人でもある程度の量がつくられているのですが、無意識のうちに飲みこんでいるので口の中にあふれるほど溜まることはありません。しかし、パーキンソン病の人は口の中のものを飲み込む力が弱くなっているので、口の中に唾液がたまりよだれが多くなってしまうのです。さらにパーキンソン病の人は表情が乏しくなり口の動きも緩慢になります。このため口の中に唾液が溜まると口の動きが追いつかずに口の中に溜まった唾液がよだれとなってしまいます。

よだれを減らすには、飲み込みや口の動きを改善することが効果的と考えられます。パーキンソン病の治療薬が不足していると考えられる場合には薬を増量します。薬を増量しても効果がないときには唾液の量を減らす薬(抗コリン薬)がパーキンソン病治療薬の中にもあるので治療薬を変更することも考えます。この場合は、唾液は減ることが期待できますが、本質的な使い方ではないので他の症状が悪化することも有りえます。このため利益と不利益について医師としっかりとした相談が必要です。

表情の変化

パーキンソン病の人は表情が乏しくなることがあり仮面様顔貌と言われます。この症状は感情が欠乏していることを原因としている訳ではなく、顔の筋肉が動かしにくくなって感情を表情として表現できないことが原因で起こる症状です。つまり喜怒哀楽を感じているもののそれを表情として表現できない状態です。表情を取り戻すにはパーキンソン病治療薬を増やすことやリハビリテーションなどに効果が期待できます。