2016.03.15 | コラム

パーキンソン病のリハビリテーションにはどんな良いことがあるの?運動や体操の方法を解説

パーキンソン病
パーキンソン病のリハビリテーションにはどんな良いことがあるの?運動や体操の方法を解説の写真
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この記事のポイント

1.パーキンソン病にはリハビリテーションは必要?
2.パーキンソン病のリハビリテーションの目的
3.どんなリハビリテーションが行われるの?
4.まとめ

パーキンソン病は、ドパミンという脳内の神経伝達物質が不足することにより身体を動かしにくくなる病気です。リハビリテーションを行うことで症状の進行を予防できることが知られています。今回は、パーキンソン病の方にどのようなリハビリテーションが行われるのか解説します。

◆パーキンソン病にリハビリテーションは必要?

身体の震えや筋肉のこわばりなど、様々な症状がみられるパーキンソン病は、原因不明の病気です。重症度は人によって様々ですが、パーキンソン病には、主に以下の症状が見られることが知られています。

  • 振戦:手足や体幹が震える
  • 無動:動きが遅くなる
  • 固縮:筋肉がこわばり、手足がスムーズに動かせなくなる
  • 姿勢反射障害:バランスがとりにくくなる

こうした症状は、時間の経過ともに徐々に進行していきます。症状が重くなると、外出や掃除、排泄行為、入浴といった日々の生活に影響を及ぼします。しかし、薬による適切な治療とリハビリテーションを行うと症状やそれに伴う障害などの進行を遅らせることができます。

ここからは、「パーキンソン病のリハビリテーション」について詳しい内容を説明します。

◆パーキンソン病のリハビリテーションの目的

リハビリテーションの目的は、動かしにくくなった身体をより動かしやすくするようにすることです。リハビリテーションは以下のようなねらいがあります。

  1. 筋肉が硬くならないようする
    固縮(筋肉が硬くなってしまうこと)はパーキンソン病の症状の1つです。大きく身体を伸ばすなどの体操が固縮の進行予防に有効です。
  2. 筋力の低下を防ぐ
    身体が動きにくくなると、外出も簡単ではなくなり家に閉じこもりがちになります。家で過ごす時間が増えるとさらに運動の機会が減って、手足の筋力も低下してしまいます。リハビリテーションは筋力の低下を防ぐ効果にも期待ができます。家で過ごす時間がふえている場合には積極的にリハビリテーションを利用して筋力の低下を予防するようにしてください。

以上、リハビリテーションの目的やねらいを説明しました。続いて実際に行われるリハビリテーションに加え、自宅で行うことのできるリハビリテーションを紹介します。

◆どんなリハビリテーションが行われるの?

パーキンソン病が進行すると身体をスムーズに動かせなくなります。このため、身体を滑らかに動かせるようにするための訓練が行われます。

  • 歩行訓練
    パーキンソン病になると歩行に変化が現れます。
    • 前方・後方・側方に突進するような歩き方になる
    • 歩幅が狭くなる
    • 方向転換ができなくなる
    • 腕がうまくふれなくなる

リハビリテーションでは歩行を上手くできるようすることを目的にします。具体的には、リズムをとる目的でメトロノームを用いたり、歩幅の間隔を記した床を歩くなどの方法があります。

  • 運動療法(関節運動、ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練)
    関節や筋肉が硬くなってしまうのを防ぐために、全身の筋肉を伸ばすストレッチが運動療法では行われます。また、立つ・座るといった動作を繰り返すことで生活を送る上で必要な筋力を維持したり膝立ちでの移動、片足立ちなどバランス能力を養うための訓練も行われます。
     
  • 呼吸訓練
    パーキンソン病の人は姿勢が前屈みになることが多いです。前屈みの姿勢は肺が圧迫されて、息を吸ったり吐いたりするのが苦しくなります。前屈みの姿勢にならないために姿勢を正し、深呼吸を取り入れるなどの訓練を行います。
  • 音楽療法
    パーキンソン病の人は身体の動きがぎこちないことがありますが、一定のリズムに合わせて動作をするとスムーズに身体を動かせるようになることがあります。この特徴を活かして、音楽に合わせて体を動かしたり、歌ったりして身体の動きをよくする訓練が行われます。
  • 飲み込みの訓練
    病気が進行すると、喉の筋肉がうまく動かなくなるのでものを飲み込みにくくなります。喉の筋肉を上手に動かすようにするには喉の筋肉を刺激することが有効です。具体的には、冷やした綿棒などで舌の奥や喉の周りを刺激するアイスマッサージや口を大きくあけたりすぼめたりして顔の筋肉を鍛える訓練が行われます。
  • 言葉の訓練
    口をあけにくくなったり、お腹に力が入りにくくなったりすることが影響して声が小さくなったり単調な話し方になることがあります。声が小さくなるとコミュニケーションが取りづらくなり日常生活にも不便さを感じるようになります。良好なコミュニケーションをするために大きな声やはっきりとした発音は必要なものです。そのために、口をあけ大きな声を出す訓練や、言葉をスムーズに発声するために文章を読み上げる訓練などが行われます。

パーキンソン病は、進行性の病気です。症状の進行を遅らせるには、自宅で体操をしたりや今まで通りの生活を継続することが大切です。自宅でできる体操を紹介します。

  • 自宅で行える体操

    ​顔の体操
    1)口を大きくあけたりすぼめたりする
    2)顔をしかめたり、笑顔を作ったりする
    3)頬を膨らませたり戻したりする
    4)口をすぼめて息をはく
    5)舌で唇の周りをなめる

    頭と首の体操
    1)頭をゆっくりと左右にうごかす
    2)頭を左右にゆっくりまわす

    肩まわりの体操
    1)両手をお腹の前で組み、上に大きく上げたり下げたりする
    2)両手を背中で組み、胸をはるように手を背中からはなしたり戻したりする
    3)両手を前に伸ばし、手を握ったり開いたりする

    全身の体操-1(立ってする)
    1)肩幅くらいに足を開いて立ち、ゆっくり身体を前にまげる
    2)身体をゆっくり左右にひねる 
    3)壁を背にして立ち、背中の前面が壁につくように胸をはる
    4)壁に向かって立ち、両手を壁にあてながら背中を伸ばす

    全身の体操-2(横になってする)
    1)両足の膝をたて、お尻を床から離したり戻したりする
    2)両足の膝をたて、両足を左右にゆっくりひねる
    3)うつぶせになり、両肘を床について背中を伸ばす

時間を見つけてここで紹介した体操を日常生活に取り入れてみて下さい。

◆まとめ

パーキンソン病のリハビリテーションについて解説しました。パーキンソン病の症状に対してリハビリテーションは効果が期待できます。目的や具体的な内容を知ることで今まで以上に上手にリハビリテーションを活用できるようになるかもしれません。リハビリテーションに取り組んでいる人は、その意味を確認する意味で、これから取り組もうとしている人は、その準備としてこのコラムを役立てください。

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。