2017.12.28 | ニュース

キイトルーダを尿路上皮がんにも、効能など追加の4製品はどんな薬?

添付文書を中心に
キイトルーダを尿路上皮がんにも、効能など追加の4製品はどんな薬?の写真
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2017年12月25日に、医療用医薬品4製品について効能・効果などの追加が承認され、うち2製品には同日に注意喚起がなされました。キイトルーダ、タシグナ、ジプレキサ、ソリリスに新しく承認された点を紹介します。

キイトルーダとは?

ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ®)はがん治療薬です。免疫チェックポイント阻害薬に分類されます。新しく「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮」の効能・効果が追加されました。

「尿路上皮癌」とは膀胱がん腎盂がん尿管がんなどを指します。ほかの抗がん剤治療を行ったあとであることがペムブロリズマブを検討する条件のひとつとなります。

臨床試験では、プラチナ製剤を含む化学療法を使用後の人が対象となり、ランダムに2グループに分けて比較されました。

  • ペムブロリズマブを使うグループ
  • パクリタキセル・ドセタキセル・ビンフルニンから医師が選んで使うグループ(ビンフルニンは日本では未承認)

生存期間を比べた結果、パクリタキセル・ドセタキセル・ビンフルニンのグループでは半数の人が7.4か月以上生存しましたが、ペムブロリズマブのグループでは半数の人が10.3か月以上生存し、ペムブロリズマブのほうが生存期間が長いと見られました

がんの進行なく生存した期間を比べた結果、パクリタキセル・ドセタキセル・ビンフルニンのグループでは半数の人で3.3か月以上、ペムブロリズマブのグループでは半数の人で2.1か月以上となり、統計的には差を確認できませんでした。

ペムブロリズマブを使用した人のうち副作用は60.9%の人に現れました。特に多かった副作用はかゆみ、疲労、吐き気などでした。

 

タシグナとは?

ニロチニブ(商品名タシグナ®)はがん治療薬です。分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔Bcr-Abl〕)に分類されます。以前から「慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病」を効能・効果として使われていますが、子供に対しては使用上の注意で「安全性は確立していない(使用経験がない)」とされていたところ、新しく子供に対する用量が追加されました。

慢性期の慢性骨髄性白血病がある子供を対象とした臨床試験で用法・用量が検討されました。慢性骨髄性白血病の原因遺伝子(Bcr-Abl1)についての検査値が効果の指標とされました。

副作用は86.2%の人に現れ、特に多かった副作用は頭痛、高ビリルビン血症、発疹、吐き気・嘔吐、脱毛などでした。

 

ジプレキサとは?

ジプレキサ®(商品名)は、非定型抗精神病薬に分類されるオランザピンを有効成分とする製剤です。新しく「悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果が追加されました。

シスプラチンはさまざまな場面で使われる抗がん剤です。シスプラチンはがん治療の中で大切な役割を持っている反面、副作用として吐き気・嘔吐が現れやすい特徴もあります。ジプレキサなどのオランザピン製剤はシスプラチンなどのがん治療薬による吐き気・嘔吐を改善します。

海外のガイドラインで臨床試験の結果に基づいて有効性を認められていることから公知申請されました。

 

ジプレキサなどのオランザピン製剤に対する注意喚起

オランザピン製剤については同日12月25日に厚生労働省から注意喚起が出されました。

以前からオランザピン製剤の重大な副作用として高血糖糖尿病性ケトアシドーシス糖尿病性昏睡が指摘されているため、オランザピン製剤の使用中に血糖値の測定などを十分に行うこと、患者や家族には副作用の可能性があることを説明したうえ、口渇・多飲・多尿・頻尿などが現れた場合にはすぐに使用をやめて医師の診察を受けるよう伝えることなどを求めています。

また「強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与の場合に限り使用すること」「原則としてコルチコステロイド、5-HT3 受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬等と併用して使用する」「原則として抗悪性腫瘍剤の投与前に本剤を投与し、がん化学療法の各サイクルにおける本剤の投与期間は 6 日間までを目安とすること」などもあわせて記されています。

 

ソリリスとは?

エクリズマブ(商品名ソリリス®)は、発作性夜間ヘモグロビン尿症などに対して従来使われている薬ですが、新たに「全身型重症筋無力症免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」の効能・効果が追加されました。

重症筋無力症は手足などの筋力低下の症状をあらわす病気です。呼吸する動作が妨げられる場合もあります。

治療には抗コリンエステラーゼ薬、ステロイド薬、免疫抑制薬などの治療薬のほか、血液浄化療法などもありますが、ほかの治療法で不十分な場合にエクリズマブが検討される可能性があります。

臨床試験では、全身型重症筋無力症がある人125人が対象となり、ランダムにエクリズマブを使うグループと偽薬を使うグループに分けられました。

効果判定のため、会話・呼吸・飲み込みの動作などの症状を採点するMG-ADLスケール(0点から24点、大きいほうが重症)を比較したところ、26週後に偽薬のグループでは平均-2.8点の変化があったのに対して、エクリズマブのグループでは平均-4.7点となり、エクリズマブのグループのほうが改善していると見られました

エクリズマブを使用した人の65.9%に副作用が現れました。特に多かった副作用は頭痛、下痢、上気道感染症、吐き気、鼻咽頭炎などでした。

 

エクリズマブに対する注意喚起

エクリズマブに対して12月25日に厚生労働省から注意喚起が出されました。

追加された効能・効果に対してエクリズマブを使用した患者全員を対象に製造販売後調査等を実施すること、適正な流通管理を実施することが求められています。

またエクリズマブの重大な副作用として、髄膜炎菌感染症を誘発する恐れがあり、死亡に至った人の例もあることから、必要に応じて髄膜炎菌ワクチンの追加接種を考慮するなどの注意が求められています。

 

まとめ

薬に新しい効能・効果などが加わることにより、保険診療として使える新しい選択肢となります。臨床試験から報告されているデータを参考に、従来の治療法と比べて有効性や副作用を考えることで、ひとりひとりに合わせた治療の可能性を広げることができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

キイトルーダ点滴静注20mg/キイトルーダ点滴静注100mg 添付文書、タシグナカプセル50mg/ タシグナカプセル150mg/ タシグナカプセル200mg 添付文書、ソリリス点滴静注300mg 添付文書、ジプレキサ細粒1% 添付文書

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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