きゅうせいこつずいせいはっけつびょう
急性骨髄性白血病(AML)
骨髄で異常な血液細胞が急激に増殖する病気。「血液細胞のがん」にあたる
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最終更新: 2025.01.19
急性骨髄性白血病(AML)の基礎知識
POINT 急性骨髄性白血病(AML)とは
骨髄にある造血幹細胞から血液細胞(白血球、赤血球、血小板)へと成熟する過程にある細胞が癌化する病気です。白血病はまず、癌化した細胞がもし正常に成熟したら何になっていたかによって分類されます。たとえば、成熟したらリンパ球(白血球の一種)になるだろう細胞が癌化したものをリンパ性白血病と呼び、成熟したらリンパ球以外の白血球、赤血球、血小板になるだろう細胞が癌化した場合を骨髄性白血病と呼びます。さらに、急激に発症した白血病を急性白血病、ゆっくり進むものを慢性白血病と呼びます。これらを組み合わせて、白血病は急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分けられます。急性骨髄性白血病は数日から数週単位で病状が進行する、進み方が早いタイプの白血病です。急性骨髄性白血病の症状としては、正常な血液細胞が作られなくなることによる症状として、感染を起こしやすくなる(発熱)、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすい、出血が止まりにくい、などが見られます。また、白血病細胞が臓器に浸潤することによる症状として、腹部の腫れ、歯茎の腫れや痛み、腰痛、関節痛、頭痛などが見られます。診断は採血検査、骨髄検査、画像検査、染色体検査、遺伝子検査などを用いて行われます。治療は抗がん剤が中心となります。造血幹細胞移植が行われる人もいます。急性骨髄性白血病が心配な人や治療したい人は血液内科を受診してください。
急性骨髄性白血病(AML)について
急性骨髄性白血病(AML)の症状
急性骨髄性白血病(AML)の検査・診断
- 血液検査
- 血液細胞の数や、異常な血液細胞の有無を確認する
- 全身の臓器の機能を調べる
- 治療をしていくうえで問題になる
ウイルス 感染の有無を調べる
骨髄 検査- 腰骨や胸の骨から骨髄を採取する
- 骨髄を顕微鏡で確認したり、
染色体 検査や遺伝子検査を行う
- 画像検査
レントゲン (X線 )検査やCT 検査で、合併症 の有無を調べる腹部超音波検査 (腹部エコー )を行うこともある
腰椎穿刺 - 背中の下の方を針で刺して、
脊髄 の周りを流れる液体(髄液 )を採取する - 脳に白血病細胞が浸潤していないかどうかを調べるために行われる
- 背中の下の方を針で刺して、
- 染色体核型や遺伝子変異解析によって、AMLはさらに細かく数十個の病型に分類される(WHO分類、FAB分類)
- 病気のタイプ(病型)によっては、特に出血しやすい、特定の薬が効きやすいなどの特徴がある
がん の進行具合を判断する基準として、他のがんでは病期 (ステージ )が決められているが、AMLでは診断時に既に全身へ白血病細胞が広がっているので、病期分類は存在しない- 初回の治療を行い、寛解(体内に大量に存在していた白血病細胞が顕微鏡で見えないほどまで減ること)に至れば、年齢や染色体核型、遺伝子変異などによって
予後 良好群、予後中間群、予後不良群に分けられる
急性骨髄性白血病(AML)の治療法
- 診断時には通常、体内に1兆個ほどの白血病細胞が存在する。これをまずは10億個以下ほどに減らすことが治療の初期目標となる
- 寛解が得られた場合には、年齢や
染色体 核型、遺伝子変異などによって予後 良好群、予後中間群、予後不良群に分けて治療方針を決定する- 予後が比較的良好と考えられる場合には、残存した白血病細胞をさらに減らすために「地固め療法」と呼ばれる
抗がん剤治療 を行う - 予後があまり良くないと考えられるケースなどでは、ドナーがいれば
造血幹細胞移植 を行う場合もある - 寛解後に再発するケースも多く、再発した場合には予後が良くない場合が多い
- 予後が比較的良好と考えられる場合には、残存した白血病細胞をさらに減らすために「地固め療法」と呼ばれる
- AMLの寛解率や生存率は、病型によって大きく異なる
- 寛解が得られる割合は予後良好群で80%以上、予後中間群で60-80%程度、予後不良群で40-50%程度
- 3年間生存率は予後良好群で50%前後、予後中間群で20-40%前後、予後不良群で10%前後だが、若い方ほど予後が良い傾向がある
- FLT3-ITDという遺伝子変異を有する場合は、抗がん剤治療に加えてFLT3阻害薬という分子標的薬を併用することで、治療成績の向上が示されている
- 急性前
骨髄 球性白血病(APL)の場合には治療法が若干異なる- APLはAML全体の10%程度を占めている
- APLではオールトランス型レチノイン酸(ATRA)と呼ばれる薬剤がよく効くので、抗がん剤と併用する
- APLは治療成績がよく、90%以上の割合で寛解が得られ、再発率も10年間で25%程度
- APLは特に出血しやすいため注意が必要
急性骨髄性白血病(AML)に関連する治療薬
レチノイド製剤(APL治療薬)
- 前骨髄球の分化を妨げる遺伝子の抑制機構を崩すことで異常に増殖した前骨髄球を減少させる薬
- がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで正常な細胞を障害し組織を壊す
- 急性骨髄性白血病の一つである急性前骨髄球性白血病(APL)は前骨髄球のがん化でおこり染色体異常でキメラ遺伝子が生じ、これが白血球の分化・成熟を阻害し前骨髄球が異常に増加する
- 本剤はAPLにおけるキメラ遺伝子による白血球の分化抑制機構を崩す作用をあらわす