きゅうせいこつずいせいはっけつびょう
急性骨髄性白血病(AML)
骨髄で異常な血液細胞が急激に増殖する病気。「血液細胞のがん」にあたる
10人の医師がチェック 109回の改訂 最終更新: 2018.02.14

Beta 急性骨髄性白血病(AML)のQ&A

    急性骨髄性白血病の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    急性骨髄性白血病は血液のがんで、白血球のもとになる細胞に遺伝子の異常が蓄積して発症します。生じる遺伝子の異常には様々なものがあり、細胞を異常に増殖させるような遺伝子変異や白血球の分化(成長してそれぞれが別々の役割をもった白血球細胞になること)を妨げるような変異があると言われています。多くは加齢などで生じると考えられていますが、放射線や抗がん剤などの化学物質が原因になる場合もあります。

    急性骨髄性白血病は、どんな症状で発症するのですか?

    発熱がなかなかよくならない、貧血症状(息切れ、立ちくらみ、だるさ等)、あざができやすいなどの症状が多いです。

    急性骨髄性白血病は、どのように診断するのですか?

    血液検査で疑われた場合は骨髄検査を行って診断します。

    骨髄検査は胸骨(胸の中央にある縦に長い骨)から行う場合と腸骨(腰にある骨盤の一部)から行う場合がありますが、最近は腸骨から行われる場合が多いです。

    急性骨髄性白血病の治療法について教えて下さい。

    点滴の抗がん剤を複数種類組み合わせて、数回行います。最初に行われる治療は寛解導入療法と呼ばれ、寛解に入った後の抗がん剤治療は地固め療法と呼ばれます。いずれの抗がん剤治療も白血病細胞とともに正常の白血球も一時的にほぼゼロの状態になるため、感染症に注意が必要です。

    染色体や遺伝子の検査で白血病が再発しやすいタイプだと分かった場合は、同種造血幹細胞移植(骨髄移植など)を行う場合もあります。ただし高齢の場合や状態によっては移植を行うのが難しいこともあります。

    急性前骨髄球性白血病の場合は維持療法という抗がん剤治療を、数か月から2年程度行う場合があります(維持療法は外来通院で行われることが多いです)。

    急性骨髄性白血病は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    発症頻度は10万人中2-3人程度です。胃がんや肺がん等に比べると若い人にも見られる病気ですが、実際は高齢者の方が多いです。

    急性骨髄性白血病の、その他の症状について教えて下さい。

    全身の骨の痛みや頭痛、歯肉の腫脹などが見られる方もいます。

    発熱や貧血、あざなどのために近くの病院で採血したところ、急性骨髄性白血病の可能性が考えられ、すぐに大きな病院を受診するよう言われた、という方も多いです。

    急性骨髄性白血病の、その他の検査について教えて下さい。

    感染症を疑った場合はCT検査などを行う場合もありますし、脳に白血病細胞が入り込んでいないかMRI検査や髄液検査などを行う場合もあります。

    寛解とは、どういう意味ですか?完治との違いは何ですか?

    寛解とは、治療後に骨髄検査などの検査をしても白血病細胞が見つからない状態です。寛解の時に完治した(身体に白血病細胞が全く残っていない)のか、検査をしても分からないレベルで極わずかに白血病細胞が残存しているのかをその時点で判断することは難しい場合が多いため、このような表現を用いています。

    急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の違いについて教えて下さい。

    どちらも急速に進行する白血病である点は同じですが、もとになる細胞が血液の細胞でも骨髄球系と呼ばれる種類かリンパ球系と呼ばれる種類かで分かれます。合併症の生じやすさ等にも細かい違いはありますが、大きな違いは治療に使う薬の違いです。どちらも抗がん剤を用いて治療しますが、急性リンパ性白血病では抗がん剤に加えてステロイドホルモンがよく使われます。

    急性骨髄性白血病が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    重症化した場合は正常な血液が作れなくなるため、貧血の悪化により心不全になったり、血小板減少により出血(消化管出血や脳出血など)が生じたりする可能性が高い他、感染症にかかっても治癒しなくなり命に関わります。

    急性骨髄性白血病と診断が紛らわしい病気はありますか?

    慢性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病など他の白血病は、時に急性骨髄性白血病と紛らわしい場合があります。また、骨髄異形成症候群という白血病の前段階にあたる病気も区別が難しい場合があります。

    骨髄移植とはどのような治療法ですか?

    一般的には同種骨髄移植がよく知られていますが、類似の治療に同種末梢血幹細胞移植と臍帯血移植があり、これらをまとめて同種造血幹細胞移植と呼びます。兄弟などの血縁者、骨髄バンクドナーあるいは臍帯血からHLA(白血球の型)が合致したドナーを選ぶ必要があります(血液型は同じでなくても構いません)。

    通常の化学療法よりも大量の抗がん剤投与や全身放射線照射を行った上で、ドナーの造血幹細胞を点滴で注入します。白血球が上昇するまでの数週間は無菌室で暮らすことになります。治療効果は高いのですが感染症や移植片対宿主病など多くの合併症を生じる可能性があり、移植の合併症でなくなる方も3割程度存在するハイリスクな治療なので、移植するかどうかは白血病の状態も考えて決める必要があります。

    急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病の違いについて教えて下さい。

    慢性白血病は年単位で徐々に進行するのに対して急性白血病は日~週単位で進行するため、すぐに治療を行う必要があります。診察を受けたその日に緊急入院して抗がん剤治療を始めさせて頂く場合もよくあります。

    骨髄抑制とは何ですか?

    抗がん剤治療や放射線治療を行うと、骨髄で白血球や赤血球、血小板を作っている細胞の働きが抑えられてしまいます。結果として白血球(特にその中でも好中球)や血小板の減少、貧血が生じ、場合によっては好中球を増やす注射や輸血が必要になります。また、骨髄抑制の期間中は感染症に注意が必要です。

    急性骨髄性白血病の治療法の使い分けについて教えて下さい。

    同種造血幹細胞移植を行う場合と、化学療法だけで治療を行う場合がありますが、患者さんの状態及び白血病の状態の両者を総合して使い分けます。

    一般的に移植を行うのは65歳までとされています(ただし、近年はより高齢でも元気な方の場合は移植する場合も増えてきました)。若い方でも心臓や肝臓、腎臓などの臓器機能が悪い場合や重症感染症がある場合は移植に耐えられないと判断される場合もあります。

    また、染色体検査や遺伝子検査で白血病が再発しやすいタイプと判明した場合や、再発した場合、寛解導入療法が効かなかった場合は化学療法だけで治癒を目指すのは難しいため移植が検討されます。

    急性骨髄性白血病が発症しやすくなる、または急性骨髄性白血病の人が他に注意すべき病気はありますか?

    がんに対して抗がん剤治療を行ったことのある人は骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病などの血液の病気に罹る頻度が普通の人よりも高くなります。

    急性骨髄性白血病の人が注意すべき病気は感染症や貧血、出血で、手洗い等の予防策をしっかり行い、激しい運動などは避けて下さい(治療が終了した方の場合は、血液内科医に事前に相談して頂くのがよいでしょう)。

    急性骨髄性白血病の薬は、生涯飲み続けることになるのですか?

    白血病に対して生涯にわたって薬が必要になることはありません。ただし、治療の合併症に対する薬を飲み続ける必要が出る可能性はあります。

    急性骨髄性白血病は、遺伝する病気ですか?

    基本的に遺伝する病気ではありません。

    急性骨髄性白血病では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    急性骨髄性白血病に対する抗がん剤治療では、1回の治療につき少なくとも1ヶ月程度の入院が必要になります。抗がん剤治療のみで治療を行う場合は順調にいけば半年程度の治療期間になる場合が多いです。

    ただし急性前骨髄球性白血病というタイプの場合は維持療法が数か月から2年程度行われます(維持療法は外来通院での治療が可能なことが多いです)。

    また、造血幹細胞移植を行う場合はそのタイミングや合併症により治療期間は大きく変わります。

    急性骨髄性白血病は、再発を予防できる病気ですか?

    抗がん剤や造血幹細胞移植以外で、再発を予防するために確立された治療法はありません。急性前骨髄球性白血病では入院で抗がん剤治療が終わった後に外来通院で数か月から2年程度抗がん剤治療を続ける場合もあります(維持療法と呼びます)。

    急性骨髄性白血病に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    白血病の患者さんは病気自体の影響や治療の副作用で免疫力が低下していることが多いため、特に骨髄抑制が強い期間は生ものを食べることが望ましくありません。また、風邪を引いている人に近づかないことや手洗い等の予防も重要です。

    急性骨髄性白血病は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    完治が期待できる病気ですが再発や感染症などの合併症による亡くなる場合も多く、完治する可能性は3-4割程度と考えられます。ただし年齢や染色体検査結果などによっても大きく変わります。

    後遺症は白血病自体で生じることはあまりありませんが、抗がん剤や移植の影響で心臓や腎臓などの臓器機能が低下する場合や移植片対宿主病を発症する場合があります。

    急性骨髄性白血病のために貧血があると言われましたが、鉄分を多く摂る方がよいですか?

    貧血にも色々種類があり、原因によって対処が異なります。鉄分が足りない貧血の場合は鉄を多く摂って頂くのがよいですが、白血病の場合の貧血は鉄分が足りないのではなく有効活用できない状態です。そのため、鉄分を無理に多く摂ろうとする必要はありません。