2015.09.06 | ニュース

急性骨髄性白血病の治療後、細胞の遺伝子変異を見るとリスクがわかる?

50人の解析から

from JAMA

急性骨髄性白血病の治療後、細胞の遺伝子変異を見るとリスクがわかる?の写真

急性白血病の一種である急性骨髄性白血病(AML)は、化学療法などで治療されますが、治療後に再発するなど、人によって効果に違いがあります。新たに細胞の遺伝子からリスクを予測する試みがなされました。

◆50人のAML患者が対象

白血病で異常に増殖する細胞は、正常な細胞に何らかの変化が起こり、遺伝子が変異したことによって生まれると考えられています。この研究は、異常な細胞の特徴と見られる遺伝子変異に注目することで、AMLの経過を予測することを試みています。

研究班は、AMLに対して化学療法を受け、最初の治療から30日前後で効果が見られていた50人の患者を対象として、細胞の遺伝子解析を行い、その後の経過を追跡して調べました。

 

◆変異のある細胞が残っていると経過が悪かった

次の結果が得られました。

患者50人の発症時と寛解時のサンプルの解析から、24人(48%)で寛解時の骨髄細胞の5%以上に持続する白血病関連変異があった。持続する変異があった24人では、すべての変異がなくなった26人よりも無増悪生存期間および全生存期間が有意に減少した。

最初の治療のあと、骨髄の細胞の5%以上で白血病に特徴的な変異が見られた人では、生存期間が短くなっていました

研究班はこの結果から「[...]この遺伝学的アプローチがAML患者のリスク層別化を改善するかもしれない[...]」と述べています。

 

AMLを含め、白血病の治療はさまざまな条件によって使い分けられ、最大限の効果を発揮するよう工夫されています。ここで示された結果をもとに、より多様な患者について同様の傾向が見られるか、また悪い予測が立った場合に有効な治療は何かといった面がクリアされ、信頼度の高い予測ができれば、よりよい治療に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association Between Mutation Clearance After Induction Therapy and Outcomes in Acute Myeloid Leukemia.

JAMA. 2015 Aug 25

[PMID: 26305651]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る