2016.01.20 | ニュース

子どものがん治療、最近は15年生きる人も

1970年代からの比較

from The New England journal of medicine

子どものがん治療、最近は15年生きる人もの写真

子どもにも白血病や脳腫瘍などはまれではありません。小児期のがんは命の危険になりますが、治療の進歩の結果、長期間生存が期待できる場合もできてきました。1970年以降に小児期のがんの治療を受けた人の生存のデータが解析されました。

◆がん治療後長期間の生存は増えているか?

研究班は、アメリカとカナダの施設による、小児期のがんの治療を受けた人の長期経過のデータを参照しました。1970年から1999年の間に20歳以下でがんを診断され、治療を受けたあと5年以上生存した人を対象として、長期間の生存率に違いがあるかを検討しました。

 

◆15年後までの死亡が少なくなった

次の結果が得られました。

診断後15年で、生存者の間での全死因の累積死亡率は、1970年代にがんを診断された人で10.7%、1980年代に診断された人で7.9%、1990年代に診断された人で5.8%だった(3つの年代の比較でP<0.001)[...]。

1970年代にがんを診断された人に比べて、1990年代に診断された人では診断後5年から15年の間の死亡が少なくなっていました

この期間に、最初に診断されたがんの再発や悪化による死亡、その他の原因による死亡はともに少なくなっていると見られました。

 

この研究は5年以上生存した人を対象としているため、短期間の治療効果については別の検討が必要ですが、5年間生存した人がさらに長期間生存できる見込みは大きくなってきているようです。治療は長年のうちに少しずつ進歩しつつあり、これからも多くの人を救うために、今も無数の研究が重ねられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Reduction in Late Mortality among 5-Year Survivors of Childhood Cancer.

N Engl J Med. 2016 Jan 13. [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26761625]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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