はいえん
肺炎
細菌やウイルスの感染、薬剤、アレルギーなどが原因となって、肺の炎症により息切れなどを起こす病気
17人の医師がチェック 208回の改訂 最終更新: 2025.06.03

肺炎は予防できるの? 予防接種:肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、5種混合ワクチン

肺炎に対するワクチンは非常に有効です。ワクチンは肺炎球菌に対するものとインフルエンザ桿菌に対するものがあります。

1. 肺炎球菌に対するワクチン

肺炎球菌には100種類ほどのタイプが有ることがわかっています。ワクチンはこれらの全部を予防することはできないのですが、そのうちの重要な何種類かを予防するように作られています。

肺炎球菌に対するワクチンは2種類あります。1つはニューモバックス®というもので、もう1つがプレベナー®というものです。いずれも有効性が証明されているものですのですが、特徴は少し異なります。

それぞれの違いについて説明していきます。

ニューモバックス®

ニューモバックス®は23種類の肺炎球菌を予防できるように作られています。このワクチンを打つことによって肺炎球菌による肺炎や髄膜炎といった感染症にかかりにくくなることが期待されます。

実際に感染にかかる確率は下がっているのですが、死亡するリスクは下げてはいないというデータも有ります。しかし、実際のどの程度効果があるのかについては評価途中の段階と考えて良いと思います。

ニューモバックスは予防効果が5-10年ほどで切れると予想されるため、5年毎に再接種することになっています。

2014年10月から定期接種となり、摂取する際には65歳以上の5の倍数の年齢の人は補助を受けられます。

プレベナー®

プレベナーは13種類の肺炎球菌を予防するように作られています。予防できる肺炎球菌の種類数だけを考えるとニューモバックスの方に分があるように見えますが、プレベナーにはプレベナーの特長があります。

細かい原理は難しい話になりますが、プレベナーは免疫反応を高める工夫がされています。そのため13種類の肺炎球菌に関しては予防効果が高いことが期待できます。また、一度予防接種を打てば二度と打たなくても効果があると期待されています。

ニューモバックスとプレベナーの違い

ニューモバックスとプレベナーの違いに関して表にまとめてみます。

 

ニューモバックス

プレベナー

カバーしている種類

23種類

13種類

免疫を高める強さ

普通

強い

注射する部位

筋肉から皮下注射

筋肉注射

再接種の必要性

5年毎に接種

必要ない

公費負担の有無

65歳以上の5の倍数の

年齢には公費負担あり

(実費は地域差あり平均4000円位)

なし(実費10000円位)

接種できる年齢

2歳以上

生後2-72ヶ月と65歳以上
肺炎球菌感染症にかかりやすいと思われる人

この2つのワクチンは一長一短で、どちらの効果が優勢であるといった結論は出ていません。

いずれのワクチンも、髄膜炎脳脊髄液に感染が起こった状態)や菌血症(血液で感染が起こった状態)と呼ばれる重篤な状態を明らかに予防するので、特に高齢者や免疫の弱い人は接種をおすすめします。なお、ここでいう免疫の弱い人とは、HIVに感染している人やステロイドを毎日飲んでいる人や血液の病気を治療している人などを指します。

子どものワクチンではプレベナーが定期接種(接種の義務化)となっています。生まれてから1歳4ヶ月までに4回接種することが推奨されていますが、以下のように非常にタイトスケジュールになります。

小児期のワクチン接種スケジュール2024

[PDF版はこちら]

お母さんは大変とは思いますが、子どもが病気にならないためにも上の図を参考にしながら上手にスケジュール管理してください。

2. インフルエンザ桿菌に対するワクチン

インフルエンザ桿菌という細菌は、肺炎・喉頭蓋炎・髄膜炎を起こします。特に喉頭蓋炎と髄膜炎は死亡率の高い病気ですので、特に子どもの感染症の中で問題になっていました。

喉頭蓋炎や髄膜炎はインフルエンザ桿菌のbタイプが起こすことが多いことから、このbタイプを狙って予防するのがヒブワクチンになります。2024年4月からは5種混合ワクチン(百日咳ジフテリア破傷風ポリオ・ヒブ)として接種できるようになりました。

このワクチンも子どもに定期接種しているものになります。生まれてから1歳8ヶ月までには打っておきたいワクチンになります。上のワクチンスケジュールの図を参考にして、上手にスケジュール管理して下さい。

3. インフルエンザウイルスのワクチン

インフルエンザウイルスが肺炎を起こすことは珍しいです。しかし、インフルエンザウイルスに感染すると肺炎が起こることは少なくないです。

一見すると矛盾しているこの話はどうして起こるのでしょうか?

健康な人の場合、インフルエンザウイルス自体が肺炎を起こすことは珍しいことは事実です。インフルエンザウイルスに感染したことは一度はあることと思いますが、その時を思い出して下さい。

のどが痛くなったり鼻水が出たりすることはあれど、息苦しくなってしまったという経験のある人は少ないと思います。これはつまり、インフルエンザウイルスは鼻やのどで感染は起こすけれど、酸素の交換を行う肺にまで入り込むことは少ないことを表しています。

インフルエンザウイルスはのどよりも深く侵入して肺に近づくことがあります。すると自分の免疫が頑張ってウイルスを駆逐します。無事駆逐できたとしても、空気の通り道の壁がボロボロに破壊されてしまいます。そのボロボロになった壁は非常に防御力が低いので、違う細菌に攻撃されると容易に肺炎になります。

このようにインフルエンザウイルスの感染が起こると、インフルエンザを駆逐できても違う細菌が襲ってきて肺炎になることがあります。

これを予防するために、インフルエンザウイルスワクチンが重要になります。特に免疫の弱い人や肺に持病のある人は必ず毎年打つようにして下さい。

4. 予防の基本の手洗い・うがい

肺炎に限らず感染症を予防する方法としてもっとも重要なのは手洗い・うがいになります。感染症が周りにうつる経路はたくさんありますが、基本的には口に入れないことで予防できるものばかりです。(例外は性病に多い接触感染などです。)

ワクチンがないマイコプラズマなどの病原体に対しては、手洗い・うがいが最大の対策になります。

手洗い・うがいを行うことで、感染の原因となる微生物を口の中に入れないようにすることができます。