きゅうせいちゅうじえん
急性中耳炎
耳の奥の中耳という場所に感染が起こる病気で、子どもに多い
24人の医師がチェック 278回の改訂 最終更新: 2026.04.03

急性中耳炎の症状について

急性中耳炎の症状というと、耳の痛みや発熱を思い浮かべる人が多いかもしれません。代表的な症状に加えて、それ以外にどのような症状があり、どのような場合に病院を受診したほうがについても説明します。

1. 耳が痛む原因は急性中耳炎だけなのか?

自分の耳が痛いときや、子どもが耳を痛がったとき、まず急性中耳炎を思い浮かべる人は多いかもしれません。実際に急性中耳炎は耳の痛みの原因としてよくみられますが、耳の痛みを起こす病気はそれ以外にもあります。また、耳そのものに異常がなくても、耳のまわりや口、のどの病気によって耳が痛く感じられることもあります。

耳の痛みの原因としては、次のようなものがあります。

  1. 耳が原因の場合
    1. 外耳の病気:外耳炎、耳の帯状疱疹など
    2. 中耳の病気:急性中耳炎、滲出性中耳炎真珠腫性中耳炎、航空性中耳炎、耳管狭窄症など
  2. 耳周辺が原因の場合
    1. 耳下腺の病気:急性耳下腺炎、流行性耳下腺炎おたふくかぜ)など
    2. 耳下腺以外の病気:先天性耳ろう孔、顎関節症、頸部リンパ節炎など
  3. 耳や耳周囲以外が原因になる場合
    1. 口やのどの病気:急性扁桃炎舌癌、中咽頭下咽頭がんう歯など
      • 口やのどの感覚神経が耳周囲にも分布するため、口やのどの痛みが耳にも広がって感じる
    2. 神経の病気:舌咽神経痛、三叉神経痛など

口やのどの感覚神経は耳の周囲にも分布しているため、口やのどの痛みが耳の痛みとして感じられることがあります。耳が痛いからといって、必ずしも原因が耳にあるとは限りません。そのため、症状が続く場合や、原因がはっきりしない場合には、自己判断せずに耳鼻咽喉科で相談することが大切です。

子どもの耳の痛みでは、急性中耳炎が原因であることが多くみられます。一方、大人では急性中耳炎に加えて、急性外耳炎や顎関節症もよくみられる原因です。とくに顎関節症では、耳の前あたりが痛む、朝起きたときに痛みが強いといった特徴がみられることがあります。

2. 大人と子供の急性中耳炎では症状が違う?

急性中耳炎は子どもに多い病気ですが、大人でも起こります。病気のは同じでも、症状の現れ方は年齢によって異なります。特に小さな子どもでは、自分で耳の痛みをうまく訴えられないため、周囲の大人が変化に気づくことが大切です。ここでは、年齢による症状の違いと、受診の目安について説明します。

1歳未満の赤ちゃん(乳児)の中耳炎の症状

自分の症状を伝えられない乳児では、下記の症状が参考になります。

  • 発熱している
  • 機嫌が悪い
  • なかなか泣きやまない
  • 耳を手で触る
  • 粘っこい鼻水
  • 耳の穴から液体がでている
  • 食欲がない
  • 元気がない

一般的には、粘り気のある鼻水を伴う風邪症状が続いたあとに、こうした症状がみられます。鼻水が続いたあとに耳を気にする様子があれば、小児科または耳鼻咽喉科の受診を考えます。不機嫌や発熱があっても、ぐったりせず元気がある場合には、翌日の受診でもよいことがあります。一方で、ぐったりしている、呼びかけへの反応が鈍い、おしっこの量が減っているといった場合には、夜間であっても小児科、耳鼻咽喉科、救急外来の受診を考える必要があります。夜間に対応している耳鼻咽喉科は多くないため、自治体の救急相談窓口などで受診先を確認しておくと安心です。

ただし、乳児の発熱の原因は急性中耳炎だけではありません。とくに生後3か月未満の赤ちゃんは、発熱そのものに注意が必要です。この時期の発熱では、急性中耳炎以外の重い感染症が隠れていることもあるため、早めの受診が大切です。

1歳以上の幼児の中耳炎の症状は?

1歳以上の子どもでは、自分で耳の痛みを訴えられることが増えてきます。ただし、うまく言葉で説明できないこともあるため、次のような症状が参考になります。

  • 発熱している
  • 耳の痛み
  • 耳を手で触る
  • 粘っこい鼻水
  • 耳の穴から液体がでている
  • 元気がない
  • 耳の聞こえが悪い

1歳を過ぎると、耳の痛みを言葉で訴えることが多くなります。数日前から鼻水が続いたあとに耳の痛みが出てきた場合は、急性中耳炎が疑われます。急性中耳炎では、体が温まると耳の中の炎症が強まり、痛みが増すことがあります。そのため、お風呂あがりや眠ったあとに耳の痛みを訴える場合には、急性中耳炎の可能性があります。また、鼓膜の奥に液体がたまることで、聞こえが悪くなることもあります。

子どもの中には、風邪をひくたびに急性中耳炎を繰り返す場合もあります。一方で、成長とともに急性中耳炎は起こりにくくなり、5歳を過ぎるころから頻度が減ってくることが多くなります。耳の痛みを繰り返す場合や、聞こえにくさが続く場合には、耳鼻咽喉科で相談することが大切です。

大人の急性中耳炎の症状は?

大人の急性中耳炎の症状は以下のものになります。

  • 耳の痛み
  • 耳だれ(耳漏:じろう)
  • 難聴
  • 耳鳴り
  • めまい

多くは風邪症状に続いて耳の痛みが現れます。また、中耳にがたまることで、聞こえにくさが出ることがあります。炎症が強くなると、中耳の奥にある内耳にも影響が及び、難聴の悪化、耳鳴り、場合によってはめまいがみられることもあります。耳の痛みだけでなく、聞こえにくさや耳鳴り、めまいを伴う場合には、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

3. 耳だれは急性中耳炎の症状なのか?

耳の穴から液体や膿のようなものが出てくる状態を、耳だれ、または耳漏(じろう)といいます。急性中耳炎が悪化すると、中耳にたまった膿が鼓膜を破って外に出てくることがあり、これが急性中耳炎による耳だれです。多くは炎症がおさまると鼓膜の穴も自然に閉じます。

ただし、耳だれは急性中耳炎だけで起こるわけではありません。急性外耳炎や慢性中耳炎などでもみられます。また、湿った耳垢を耳だれと見間違えることもあります。耳だれが続く場合や、痛み、発熱、聞こえにくさを伴う場合には、耳鼻咽喉科で相談してください。

4. 耳に水が入った感じは急性中耳炎?

耳に水が入ったような感じは、聞こえ、とくに低い音の聞こえが悪くなったときにみられやすい症状です。この症状は急性中耳炎でも起こりますが、滲出性中耳炎や急性低音障害型感音難聴など、ほかの病気でもみられます。

急性中耳炎では、一般的に耳の痛みを伴うことが多く、耳の詰まった感じや聞こえにくさだけが単独でみられることは多くありません。耳の痛みがなくても、聞こえにくさや耳閉感が続く場合には、急性中耳炎以外の病気も考えて耳鼻咽喉科で相談することが大切です。

5. 急性中耳炎は熱がでるの?

急性中耳炎では、発熱を伴うことがあります。小児急性中耳炎診療ガイドラインでは、急性中耳炎は「急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある」と定義されています。つまり、発熱は急性中耳炎でみられる症状のひとつですが、必ずみられるわけではありません。

子供の発熱は急性中耳炎が原因?

子どもの急性中耳炎では発熱を伴うことがありますが、子どもの発熱がすべて急性中耳炎によるものというわけではありません。実際には、保育園や幼稚園に通う子どもでは、かぜ急性上気道炎)による発熱のほうがはるかに多くみられます。

一方で、かぜに続いて急性中耳炎を起こすと、熱が長引いたり、高くなったりすることがあります。ただし、急性中耳炎でも熱がほとんど出ないことはあります。発熱だけで急性中耳炎かどうかを判断することは難しく、耳の痛み、耳を気にする様子、耳だれ、機嫌の悪さなどをあわせてみる必要があります。

赤ちゃんの発熱は急性中耳炎が原因?

赤ちゃんの発熱の原因もさまざまで、急性中耳炎はそのひとつです。ただし、赤ちゃんでは月齢によって発熱への対応が異なります。次のような場合には、早めの受診が必要です。

  • 3ヶ月未満
  • 38度を超える熱が3日以上、さがらない
  • 顔色が悪い
  • ぐったりして声をかけても反応が弱い

このような場合は、急性中耳炎だけでなく、ほかの感染症が隠れていることもあるため、すみやかに医療機関を受診してください。

とくに生後3か月未満の赤ちゃんの発熱には注意が必要です。この時期の発熱では、原因が急性中耳炎に見えても、ほかの重い感染症が隠れていることがあります。月齢が低い赤ちゃんで発熱がある場合には、早めに小児科を受診することが勧められます。

生後3か月以降になると、かぜなどの一般的な感染症による発熱も増えてきます。発熱があっても、機嫌がよく、水分がとれていて、呼吸の様子にも問題がなければ、少し様子をみることもあります。ただし、熱が続く場合や、顔色が悪い、ぐったりしている、反応が弱いといった様子があれば、急性中耳炎以外の病気も考えて受診を検討してください。

発熱が5日続いた時はどうする?

熱が5日以上続く場合は、急性中耳炎だけでなく、肺炎川崎病などほかの病気も考える必要があります。急性中耳炎と診断されていても、熱が下がらない場合には再度受診することが大切です。
また、水分がとれない、尿が減る、顔色が悪い、ぐったりしている、反応が鈍いといった様子があれば、熱の日数にかかわらず早めの受診が必要です。発熱が長引くときは、自己判断で様子をみ続けず、小児科で相談してください。

急性中耳炎の熱は何日間続く?

急性中耳炎による発熱が続く日数には個人差があります。38℃以上の高い熱は数日以内におさまることが多い一方で、急性上気道炎を伴っている場合には、その炎症の影響で37℃台の微熱が1週間前後続くこともあります。熱が長引く場合には、耳の症状だけでなく全身状態もあわせて確認してください。

熱がないときはお風呂に入ってもいい?

発熱がなくても、急性中耳炎で耳の痛みがある間は、入浴は控えてください。体が温まると耳の中の炎症が強まり、痛みが増すことがあるためです。発熱で汗をかいていて、どうしても入浴が必要な場合には、体が温まりすぎないように短時間ですませてください。

急性中耳炎で耳の痛みが強いのは、発症後2〜3日程度であることが多く、その後、発熱がなく、耳の痛みもおさまっていれば入浴は可能です。ただし、入浴後に耳の痛みが強くなるようであれば、無理はしないでください。

夕方に熱が出やすい?

体温は一般的に、朝が最も低く、夕方から夜にかけて高くなる傾向があります。そのため、昼間はそれほど高くなかった熱が、夕方から夜にかけて上がったように見えることがありますし、すでに発熱している人では、夜になるとさらに高く見えることもあります。

発熱があっても、水分がとれていて元気があれば、すぐに医療機関を受診しなくてよいこともあります。一方で、高熱でなくても、顔色が悪い、ぐったりしている、反応が鈍いといった様子があれば受診を考えてください。

また、小さい子どもほど、眠いときや、食後、泣いたあと、暑い環境にいるときなどに体温が上がりやすくなります。熱がこもらないように、衣服や布団の量を調整してください。

熱がないときは保育園に行ってもいい?

急性中耳炎の治療中であっても、解熱剤を使わずに1日を通して37.5℃未満で、元気があり、水分や食事がとれているようであれば、登園は可能です。さらに、24時間以内に38℃以上の発熱がなく、解熱剤も使っていないことが目安になります。

一方で、38℃前後の熱がある場合や、判断に迷うような様子(元気がない、水分がとれない、機嫌が悪いなど)があれば、保育園は休んでください。迷うときには、園の基準も確認してください。

鼓膜切開後も熱出ることはある?

急性中耳炎で耳の痛みや高熱が強い場合には、鼓膜切開が検討されることがあります。鼓膜切開は、中耳にたまった膿を外に出し、痛みや炎症を改善するために行われます。小児急性中耳炎診療ガイドラインでも、鼓膜切開は重症例などで選択肢になります。

ただし、鼓膜切開をしても発熱がすぐに下がらないことはあります。急性中耳炎そのものの炎症が残っていることもあれば、かぜなど上気道炎に伴う発熱が続いていることもあるためです。

鼓膜切開後も発熱が長引く場合には、急性中耳炎が十分に改善していない可能性に加えて、急性気管支炎肺炎などを合併していることもあります。熱が続く、ぐったりしている、水分がとれないといった場合には、小児科や耳鼻咽喉科を再度受診してください。

6. 大人の急性中耳炎も熱でるの?

大人の急性中耳炎も、一般的にはかぜ急性上気道炎)のあとに起こることが多く、発熱を伴うことがあります。ただし、すべての急性中耳炎で熱が出るわけではありません。発熱を伴わない軽いかぜのあとに発症することもあり、熱がまったくなく、耳の痛みだけがみられることもあります。発熱の有無だけで判断せず、耳の痛みや聞こえにくさなどの症状があれば受診してください。