性病
性病はナイーブな話ですのでなかなか人に相談できない病気です。それでいて放っておいても治ることは期待できません。また、ともすれば不妊症の原因になります。 性病を起こす原因や治療法について考えていきましょう。
最終更新: 2023.02.28

性病(STD)とはどんな病気?

性病には気を付けているから大丈夫と思っていませんか? 性病は古くから知られている病気ですが、症状が目立たないことが多い、病院に行きにくいなど、いくつもの落とし穴があり、現代も流行を続けています。

1. 性病(STD)ってなんだろう?

感染症・性病は、英語のSexually Transmitted Diseaseの略でSTDとも言います。性行為でうつる病気のことを指します。感染するという点を強調して、感染症(infection)という言葉を使ったSexually Transmitted Infection(STI)と呼ぶべきという意見が強くなりつつありますが、以前から使われているSTDという言葉のほうが今はまだ目にする機会が多いでしょう。

性病という言葉には、クラミジア感染症、淋菌感染症梅毒HIV感染症/エイズAIDS)、性器ヘルペスなどさまざまな感染症が含まれます。

2. 性病は現代病なの?

HIVは1980年代に認識された病気ですが、梅毒は古く室町時代から認識されていた病気です。昔は花柳界(芸者や遊女の世界)で流行っていたことから花柳病と言われました。抗生物質もコンドームもない時代には、一度性病が発生してしまうと蔓延を止められませんでした。

江戸の川柳に梅毒を題材にしたものがあります。

「とら息子 親の目盗んで 鼻が落ち」

「鷹の名にお花お千代はきつい事」(鷹とは売春婦のこと、お花お千代をお鼻落ちよとかけている)

これらは梅毒が進行して鼻にゴム腫がでてしまうと、鼻が陥没してしまうことを揶揄したもので、江戸時代には大衆が梅毒を認識していたことがわかります。

江戸時代の医者で、「解体新書」の翻訳でも有名な杉田玄白は、年間1,000人の患者を診たうち700人から800人は梅毒であったと記しています。また、横浜で遊女の梅毒検査を行ったイギリスの軍医のニュートンも、遊女の大多数が梅毒持ちであったことを報告しています。

性病は古くから認識されていて、原因が見つかってからもかなりの年代が経っているのですが、現代においても多くの人を脅かしています。こうした性病はなぜなくならないのでしょうか?

3. 性病が流行る理由

性病は性行為でうつります。性行為をしなければ性病にはかかりませんが、性行為は、子供を作る繁殖行為としてだけでなく動物的な快楽行為としても、人間の一生からなかなか切り離せないものです。人間の性行為への欲求が、性病がなくならない最も本質的な理由です。

性病は人間にとって避けられない問題です。タブー視することなく、向き合って正しい知識を身に付け、対策しなければならないのです。

4. 性病はなぜなくならないのか?

多くの性病は薬で完治します。にもかかわらず、性病を抱えたまま長年苦しんでいる人、いつのまにか多くの人に感染をまき散らしてしまう人がいます。なぜ性病は治しにくいのでしょうか?

理由1: 症状を自覚しにくい

性病の症状と言われて思い浮かぶのは、性器が痛くなったり痒くなったり、性器からが出てきたりすることだと思います。しかし意外にも、性病は症状の出ないことのほうが多いのです。そのため、気付かなかったり気付くのが遅くなったりしてしまうのです。

ではどうやって性病を見つければよいのでしょうか?

  • 風俗に行ったなど、感染リスクのある行為に心当たりがあったら検査してみる
  • 新しい相手とセックスをしたら検査してみる

つまり、症状がない性病を見つけるには、少しでも感染の可能性があると思った時に検査をするしかありません。性病の検査は病院でもしてくれますが、保健所で無料でできます。

また簡易検査キットが市販されていますので、検査キットを試してみても良いかもしれません。

理由2:症状が出ても性病だとは思わない

性病を思わせる症状が出ても性病とは思いたくないものです。性病という言葉の響き、恥ずかしくて認めたくない気持ち、自分の行為をとがめられたような思いから、まさか自分が性病にはならないだろう、ほかの病気かもしれない、たまたま体調が悪いだけかもしれないと考えてしまいます。

しかし、性行為をする限り、いつ誰が性病にかかっても不思議はありません。特に性病に特徴的な以下の症状が出たときは覚悟をしてください。

  • 性器が痛い
  • 性器がかゆい
  • 性器に膿がある
  • 性器にできものができた
  • 性器に水ぶくれができた
  • 尿をするときに痛みがある
  • 残尿感がある
  • おりものが増えた
  • おりものの臭いが強い
  • 原因不明の熱が出る

上の症状のどれかひとつでも自覚があれば、性病ではないか調べるべきです。

理由3:自然に治らない

性病だろうと思っても、やはり病院に行くのは気が重いものです。身体には免疫があるから自然に治してくれるのではないか、と思いたくなります。

しかし、性病は風邪のように自然に治ることがあまりありません。梅毒は自然治癒することがあるので有名ですが、現代で問題となるほとんどの性病は病院に行かなければ治すことができません。

理由4:羞恥心や罪悪感で病院に行きにくい

自分が性病だと思っても、性病にかかったと公言するのは誰しもはばかられます。お医者さんに性生活を説明するのも、性器を見せるのも恥ずかしいし、うかつな行動を怒られるのではないかと思うとますます行きたくなくなります。

しかし、性病は病院に行かないと治りません。

お医者さんにはプライバシーを守る義務がありますし、悩みを打ち明ければ親身になってくれます。勇気を持って病院に行きましょう。

理由5:最後のハードル、パートナーに伝えにくい

検査で性病とわかったら、大事な仕事があります。それはパートナーにも検査をしてもらうことです。パートナーを疑ったり、ほかの人からうつったかもしれないと伝えるのはとても嫌なことです。しかし、性病はパートナーと同時に治療しなければ完治できません。もしパートナーにうつしてしまっていれば、自分だけ治療して治ったとしても、すぐにまたうつされてしまいます。

危険を知らせて、性病があるのかどうかをきちんと調べ、将来のさらに大きな危険に対策させてあげることが本当のパートナーへの愛です。

本来は最初の検査もパートナーと一緒にしたほうがよく、検査の結果を見てすぐに治療できる医療機関に行くのが確実なのですが、病院はちょっと敷居が高いと感じる人は、市販されている検査キットを使っても構いません。結果が陽性と出れば、必ず医療機関にかかるようにしてください。

きっちり治療して、健康な性生活を取り戻しましょう。



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