性病
性病はナイーブな話ですのでなかなか人に相談できない病気です。それでいて放っておいても治ることは期待できませんし、ともすれば不妊症の原因になります。 性病を起こす原因や治療法について考えていきましょう。
最終更新: 2017.10.04

性病が舌や喉に感染?梅毒、淋病、クラミジア、ヘルペス、HIVに注意

性病の一部は喉や舌に感染して口の中に症状を出します。梅毒ではできもの、淋病では喉の痛みが出ます。症状がない場合も多いです。見逃さないためには病院の検査が必要です。

1. 舌や喉が痛い原因は性病か?

喉や舌に症状を出す病気は性病以外にもあります

オーラルセックスで口の中に性病が感染します。すると喉や舌に症状が出る原因になります。

口の中に症状があるときは、性病か性病でないかで対策が変わります。

喉が痛くなる原因一覧

喉が痛くなる主な原因に以下のものがあります。

このうち性病は以下です。

ヘルペス性歯肉口内炎はキスや性行為でうつります。必ずしも性病ではありません。しかし、性病としてうつる場合はかなり多いです。

伝染性単核球症はキスでうつる病気です。キス以外の日常的な接触でもうつります。キスでうつることからキス病とも呼ばれています。性病ではありません。原因はEBウイルスです。ほとんどは自然に治ります。

舌に症状が出る原因一覧

舌の痛み・見た目の変化の主な原因は以下です。

このうち性病は以下です。

口腔カンジダ症は性病ではありません。しかし、HIV感染症免疫力が落ちたときに現れやすい病気です。

2. 舌や喉に症状が出る性病一覧

喉や舌に症状を起こしやすい性病は次のものです。

  • 梅毒:舌・唇・扁桃のできもの
  • 淋病淋菌性咽頭炎):喉の赤み・腫れ
  • クラミジア:舌・喉に感染するが症状がないことも多い
  • 単純ヘルペスウイルス(ヘルペス性口内炎):舌や歯茎の口内炎、喉の痛み
  • HIVヒト免疫不全ウイルス):腫瘍口内炎、カンジダ感染による舌の斑点や白い膜など

それぞれ説明していきます。

3. 舌・唇・扁桃のできもの:梅毒

梅毒梅毒トレポネーマ(Treponema Pallidum)による性病です。

梅毒トレポネーマに感染すると、10日から90日ほどの潜伏期間があります。

潜伏期間には症状がありません。潜伏期間が過ぎると梅毒の初期症状が現れます。口に出る症状は男性と女性で大きく変わりません。

梅毒で口の中に出る症状は?

梅毒の初期(第1期及び第2期)では、性器や皮膚に症状がなくても口の中に症状が出ることがあります。

第1期では、硬性下疳(こうせいげかん)というできものが現れます。硬性下疳には以下の特徴があります。

  • 色は周りに近い色から暗赤色
  • 軟骨のように硬い
  • 表面がえぐれて潰瘍になりやすい
  • 痛みがないことも多い
  • 口の中では、唇・舌・扁桃に出現しやすい

第2期は、全身に梅毒トレポネーマが広がっている時期です。口の中にも症状が出ます。

  • 喉の痛み
  • 口角炎
    • 唇の端に白いただれが出ることです。
  • 粘膜斑
    • 口の中から喉の奥に出る、若干盛り上がった青白色から灰色の斑点です。

第2期梅毒では全身の症状も現れます。

  • 発熱
  • 体重減少
  • 倦怠感、だるさ
  • 食欲不振
  • 頭痛

梅毒の対策は?

梅毒なら抗菌薬抗生物質、抗生剤)で治療できます。自然治癒しません。

梅毒は治療しなければ心臓や神経を侵し、女性では胎児に感染して先天梅毒を起こす恐れがあります。また、症状がない無症候性梅毒という状態も無視できません。症状がなくても早めに梅毒の検査をして発見することが大切です。

特に、HIVに感染した人は同時に梅毒にも感染していることが多く、HIVが見つかったら梅毒の検査も必要です。

詳しくは「梅毒とは?症状、検査、治療について」の項をご覧ください。

4. 喉の赤み・腫れ:淋病(淋菌感染症)

扁桃炎のイラスト画像。正常でも口蓋垂の奥に扁桃が見えるが、扁桃炎では扁桃が赤く腫れ、咽頭炎もあれば喉が赤くなる。

淋菌淋病と総称されるさまざまな性病を起こします。潜伏期間は2日から7日ほどです。口の中の症状は男性と女性であまり変わりません。

口の中の淋病の症状は?

淋菌が口の中に感染すると、咽頭炎(いんとうえん)や扁桃炎(へんとうえん)を起こします。淋菌による咽頭炎扁桃炎では喉の奥が赤く腫れます。腫れているところに白い膜のようなものを付着させることもあります。淋病による舌の症状は多くありません。

口の中に淋菌が感染しているとき、首のリンパ節が腫れることがあります。

まったく症状がないこともあります。

喉の淋病が悪化したときの症状

クラミジアや淋菌の感染がひどくなると扁桃(扁桃腺)の周囲にの溜まる扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)という病気になることがあります。

扁桃周囲膿瘍では次の症状があります。

  • 激しい喉の痛み
  • 物が食べられない
  • 口が開きにくい

扁桃周囲膿瘍に対しては、針を刺して膿を抜いたり手術で膿を取ったりする治療法があります。

淋病の対策は?

淋病は抗菌薬で治療できます。ただし、最近は一部の抗菌薬が効かない薬剤耐性の淋菌が急増しています。病院・クリニックで的確に診断されたうえ、適切な抗菌薬を選ぶことが非常に大切です。自然治癒は期待できません。

また、クラミジアに感染した人は同時に淋病にも感染していることが多いです。クラミジアと淋病の検査は同時にしなければなりません。

詳しくは「淋菌感染症(淋病)とは?男女別症状の違い、検査、治療について」の項をご覧ください。

5. 症状なく舌・喉に感染:クラミジア

性病を起こすクラミジア・トラコマティスという細菌は、ほかの細菌と違って、培養できません。このため、実際に口の中でどの程度感染を起こしているのかを把握することは難しいです。また、症状もほとんど出ないため、クラミジア・トラコマティスによる口の中の感染を強く疑わないとなかなか診断することは難しいです。

言い換えれば、クラミジアの潜伏期間は非常に長い場合があります。自然治癒しません。

喉に感染したクラミジアを発見するには喉の検査が必要です。保健所の無料の検査では喉の検査ができません。喉の感染が心配な人は病院で検査するのがおすすめです。

クラミジアは淋病と同じく性産業に従事する女性の喉や舌を介してうつることが多いと考えられます。疑わしい人は遺伝子検査などの精密な検査が必要です。

特に、淋病にかかった人は同時にクラミジアにも感染していることが多いので、淋病の検査をするときはクラミジアの検査も一緒にしてください。

詳しくは「クラミジア感染症とは?症状、検査、治療薬など」の項で説明しています。

6. 舌や歯茎の口内炎、喉の痛み:単純ヘルペスウイルス(ヘルペス性口内炎)

単純ヘルペスウイルスはキスや性行為でうつります。潜伏期間は1日から1か月です。

口の中に単純ヘルペスウイルスが感染すると、ヘルペス性口内炎のほか、咽頭炎扁桃炎を起こします。口の中に現れやすい症状は以下です。

  • ただれ
  • 潰瘍(粘膜がえぐれる)
  • 喉、歯茎、舌の水疱(水ぶくれ)
  • 強い喉の痛み
    • 痛くて食べられない
  • 首のリンパ節が腫れる
  • 発熱
  • 倦怠感、だるい
  • 全身の筋肉の痛み

口の中に出る症状は、男性と女性で大きな違いがありません。

水疱が出ることは単純ヘルペスウイルスの特徴です。水の泡の水泡ではありません。

症状は自然に治まります。しかし、治癒ではありません。単純ヘルペスウイルスは症状が治まってからも体に住み着いています。症状は何度も再発します

詳しくは「性器ヘルペスとは?女性に多い症状、治療、再発予防について」の項をご覧下さい。

7. 舌の斑点、白い膜:HIV(ヒト免疫不全ウイルス)によるカンジダ感染

HIVに感染するとしだいに免疫力が落ちていきます。男性でも女性でも同様です。

最初の数週間にインフルエンザに似た症状が出ることがあります。その後数年にわたって、自覚できる症状はありません。症状がない期間を無症候期(臨床的潜伏期)と言います。無症候期にも免疫力はだんだん弱っていきます。

ある程度まで免疫力が落ちてしまうとほかの病気(合併症)を引き起こします。HIVにより免疫力が落ちて合併症が出た状態をエイズAIDS)といいます。

エイズによって、口の中に腫瘍(できもの)口内炎が出ることがあります。

梅毒に感染した人は同時にHIVにも感染していることが多いので、梅毒の検査と同時にHIVの検査も行うことが早期発見につながります。

HIVには薬があります。薬で治療することで、病気を進行させない効果が期待できます。自然治癒はありません。

詳しくは「HIV感染症とエイズ(AIDS)の初期症状、検査、治療」の項を参考にして下さい。

エイズによるカンジダ感染

エイズで引き起こされる病気のうち、口の中に症状が出やすいのがカンジダ感染です。男性にも女性にもあります。

カンジダ(Candida albicans)というのはカビの一種です。「カンジタ」ではありません。カンジダは健康な人の体にも住み着いています。普段は害がありません。エイズなどで免疫力が極端に弱ったとき、カンジダが異常に増殖して症状を起こします。

口の中でカンジダが増殖したときの症状を挙げます。

  • 口の中の白い膜
  • 味覚の変化
  • 痛み
  • 飲み込みづらさ
  • 舌に白い斑点が出る
    • 舌の端にできることが多い

8. 膿・口内炎・ぶつぶつ・発熱は性病?

口の中の症状だけで性病かどうかはわかりません。喉が痛くなる原因にはかぜエイズも考えられます。区別して治療を始めるには、まず病院に行く必要があります。

見当をつけてから病院に行きたいときは、症状チェッカーに症状を入力してみてください。

喉から白い膿が出たら性病?

喉に白い膿が見えても、性病とは限りません

扁桃炎などで白苔(はくたい)という白いものがこびりついて見えます。扁桃炎の原因は性病もそれ以外も考えられます。白苔だけでは区別できません。白苔が出る病気の例を挙げます。

この中では淋菌感染症エイズが性病です。見分けるには診察が必要です。

喉や舌の口内炎は性病?

喉や舌に口内炎があっても性病とは限りません。普通の口内炎は喉の奥近くや舌にもできます。口内炎の主な原因を挙げます。

この中ではヘルペス性歯肉口内炎エイズが性病です。見分けるには診察が必要です。

喉にぶつぶつができたら性病?

喉にぶつぶつしたものがあっても性病とは限りません

扁桃はもともとぶつぶつしています。腫れたり赤くなったりするとぶつぶつが目立ちます。扁桃炎などでぶつぶつが出ます。

扁桃炎の原因には淋菌などの性病も、かぜもありえます。喉のぶつぶつだけでは区別できません。原因を見分けるには診察が必要です。

喉の痛みと痰は性病?

性病ではあまり痰は出ません。喉の痛みと痰が出る原因としてかぜ肺炎があります。若い人でもマイコプラズマ肺炎などにかかる人は多いです。かぜ肺炎は性病ではありません。

ただし、かぜ肺炎繰り返すことからエイズが見つかる場合もあります。エイズで免疫力が落ちていると、普通の感染症にもかかりやすくなります。

喉の痛みと腫れ、発熱、喉の違和感は性病?

喉の痛み、腫れ、発熱だけでは性病とは限りません

たとえば急性咽頭炎で以下の症状が出ます。

  • 喉の痛み
    • 飲み込むときの痛み
  • 喉がかゆい・喉の違和感
  • 喉が腫れる
  • 喉が赤くなる
  • 喉に膿が出る
  • 発熱

急性咽頭炎の原因に以下のものがあります。

急性咽頭炎の原因には性病もそうでないものもあります。ほかの症状がないときは簡単に区別できません。原因を見分けるには診察が必要です。

9. 喉や舌の性病は病院で検査するべき?何科がいい?

口の中の症状が目立つときは、歯科や口腔外科の病院が適しています。喉の症状が目立っていれば耳鼻咽喉科も合っています。

性病を専門にしている性病科という診療科があります。性病らしい心当たりがあって、近くに性病科があれば、最初から性病科に行くのをおすすめします。

感染症科は性病以外の感染症にも詳しい診療科です。性病かどうかよくわからないときにはおすすめです。

保健所の検査や検査キットより病院がいい?

喉の性病が心配なときは最初から病院に行くのをおすすめします。

保健所で無料でできる検査には、喉の検査がありません。また、インターネットなどで買える検査キットは信頼性でやや劣ります

性病ではないことを確かめて安心したければ、病院に行くのがいいでしょう。

性病は自然治癒しない?

性病は自然治癒しません。性病かもしれないと思ったら、自分でなんとかするのは無理です。病院で相談してください。

性病の治療は?

上に挙げた性病の治療の例を挙げます。

どれも病院で処方してもらうことで改善が期待できます。

個人輸入などで抗生物質を買って飲むのは非常に危険です

まず、原因に合った種類の抗生物質を選ばなければ効果がありません。たとえばクラミジアには一般によく処方されるペニシリン系抗菌薬やセフェム系抗菌薬が効きません

抗生物質には以下のような副作用もあります。

また、抗生物質の一部は妊婦は飲んではいけないとされています。もし知らずに飲んで妊娠していた場合、赤ちゃんに影響する可能性があります。

さらに、抗生物質の不適切な使用により、抗生物質が効かない耐性菌が増えやすくなります。特に淋菌などは最近耐性菌が急増して大きな問題になっています。

気軽に抗生物質を飲むと、自分の体の中で耐性菌を育ててしまうことにもなりかねません。すると耐性菌が隣近所で蔓延し、いずれ自分がまた感染することになります。そのときになって病院に行っても、薬が効かず危険にさらされます。

性病の治療には必ず病院で診察を受けてください



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