性病
性病はナイーブな話ですのでなかなか人に相談できない病気です。それでいて放っておいても治ることは期待できません。また、ともすれば不妊症の原因になります。 性病を起こす原因や治療法について考えていきましょう。
最終更新: 2023.02.28

尖圭コンジローマとは? 症状、治療、原因(パピローマウイルス)について

尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)は、性器にできるイボのようなものです。がんではなく、放っておいてもがんになることはありませんが、見た目と邪魔になることから手術などの治療法があります。再発しやすいのが特徴です。

1. 尖圭コンジローマとは

尖圭コンジローマは、性器に生じるイボのようなできものです。性器がヒトパピローマウイルスHPV)に感染することが原因です。

たいていの場合、HPVは性行為で感染します。HPVは、皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し細胞に感染します。感染してからイボがわかるまでに3週間から8か月(平均2.8か月)かかるため、いつ感染したのかわからないことが多いです。

外陰部、腟、子宮頸部、肛門の周囲や中、尿道口に感染し、感染した部位にイボが多発します。

HPVには100種類以上のタイプがありますが、その中でもHPV6型と11型の感染によって尖圭コンジローマは起こります。子宮頸がんワクチンにはガーダシル®とサーバリックス®というものがありますが、ガーダシルはHPV6型と11型をカバーしていますので、尖圭コンジローマになってしまうのを予防する効果が予測されます。

なお、尖圭コンジローマはがんではありません。放っておいてもがんになったり、周りに広がっていったりすることはありません。

2. 尖圭コンジローマの特徴は?

尖圭コンジローマは、数mm程度の小さなボツボツ、または「カリフラワーのようなもの」に見えます。色は薄紅色であったり茶色であったりします。また、一般には自覚症状はないですが、ときに痒みや痛みを伴うことがあります。

尖圭コンジローマは男女によって出る部位が違います。

  • 男性に出やすい部位
    • 亀頭
    • 亀頭の裏の溝
    • 包皮(亀頭を覆う皮)
    • 陰囊
  • 女性に出やすい部位
    • 性器の周り
    • 子宮頸部

また、男女ともに尿道口や肛門の周囲や中に症状が出現します。また、尖圭コンジローマが肛門の中に出現するのは、肛門性交を行う同性愛者に多いことがわかっています。

3. 尖圭コンジローマの診断

イボのある位置とどんなイボがあるのかをみれば、ほとんどの場合で診断することが可能です。腟内や子宮頸部といった穴の中にあるイボは見えづらいので、特殊な液をまいた後に拡大鏡などを使ってよくよく調べます。また、なかなか診断がつかない時には、イボを切り取って顕微鏡で調べる場合もあります。

4. 尖圭コンジローマの治療

尖圭コンジローマは手術で切り取ることができます。しかし、見えているイボを全て切除しても、見えていなかった部位からまたイボが生えてくることもあり、繰り返し治療が必要になります。手術とその他の治療法のメリット・デメリットを紹介します。

  • 外科的切除法
    • 麻酔をしてからメスやハサミ、電気メスで病変を切除します。身体の負担が比較的大きいことと傷跡が残ってしまう可能性があります。
  • 凍結療法
    • 液体窒素を使ってイボを凍結します。凍結されたイボは壊れて消えていきます。1-2週ごとに繰り返して治療していきます。
  • イミキモド5%クリーム(ベセルナクリーム5%®)の塗布
    • 週に3回クリームを塗ります。免疫に作用して尖圭コンジローマの原因であるHPVを抑制する方向の働きます。治療期間は16週間と長いのが難点です。
  • 三塩化酢酸または二塩化酢酸の塗布
    • 尖圭コンジローマに直接塗ります。病変の細胞を殺すのが狙いです。薬剤は非常に強力ですので、治療が行き過ぎて正常な細胞までダメージを受けかねないのが難点です。
  • レーザー蒸散
    • 炭酸ガスレーザーやホルミウムレーザーを当てて治療します。あまり深くには影響を与えないので、潰瘍ができにくいです。

尖圭コンジローマ治療後に気を付けること

尖圭コンジローマは治療しても再発することが多いため、きちんと治療しきれたかを確認する必要があります。イボの見えていなかった部位からイボが生えてこないかを見るために、治療してから最低でも3ヶ月は通院して再発がないかを確認してください。3ヶ月で25%程度は再発すると考えられています。確認には拡大鏡などを用いて、怪しいと思われる部位をくまなく見ていくことになります。

5. パピローマウイルスによる感染の女性への影響

HPVが女性にもたらす病気で重要なのものは子宮頸がんです。

尖圭コンジローマはHPV6型と11型の感染によってもたらされることが多いですが、子宮頸がんは90%以上がHPV16型、18型、31型、33型、35型が原因であることがわかっています。

子宮頸がんの予防としてHPVのワクチンが世界的に接種されています。HPVワクチンは複数の型のHPVに対して予防効果があり、尖圭コンジローマを防ぐ効果もあります。日本でも2013年から定期接種(決められた年齢になったら原則的に全員がワクチンを打つ)となっています。

2023年2月現在、定期接種で用いられているのはサーバリックスガーダシルの2つです。

  • サーバリックス:16型、18型の2種類のHPVに対するワクチン
  • ガーダシル:6型、11型、16型、18型の4種類のHPVに対するワクチン

また、任意接種で受けられるものにシルガード9というワクチンがあります。これは9種類のHPV(6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型)に対応しています。

6. まとめ

尖圭コンジローマの特徴をまとめます。

  • 尖圭コンジローマは性器の周りにできるイボ
  • 治療は手術、凍結療法、レーザー、塗り薬など
  • 治療しても再発しやすい
  • 原因のウイルスはワクチンで予防できる

尖圭コンジローマが心配になったときは、産婦人科や泌尿器科などで相談してみましょう。



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