気づかないうちに子供に性病が感染するリスクも?母子感染の恐怖から子供を守ろう
妊娠中に性病に感染していると、赤ちゃんにうつってしまうことがあります。特に妊娠に気を付けたい性病は、HIV感染症/エイズ、クラミジア感染、梅毒、性器ヘルペスです。それぞれの対策を説明します。
1. HIV感染/エイズ
妊婦が
帝王切開は、出産できる週数になったところでおかあさんのお腹をメスで切って赤ちゃんを取り出す方法です。荒っぽい方法ですが、赤ちゃんを守るためです。HIVに感染している妊婦が産道からの出産(経膣分娩)をすると子供にHIVがうつる確率は30%と言われています。帝王切開をすることで感染の確率を1%以下にすることができます。
帝王切開はHIVに感染していない妊婦の出産でもよく行われています。「自然な出産ではないので子供に悪い」とか「麻酔されて楽に産むので母性が育たない」という誤解を持っている人がいますが、まったく根拠のない偏見です。特に赤ちゃんをHIVから守るために帝王切開を選ぶことは、医学的に正当な理由に基づいているのです。
2. クラミジア感染
妊婦がクラミジアに感染していると、流産や
クラミジアが赤ちゃんに感染したときに起こりやすいのは、新生児結膜炎と新生児肺炎です。生まれたての赤ちゃんは体力がありませんので、うつると重症になって命に関わることがあります。
子どもに感染がうつらないように、妊娠希望のある方は妊活前に性病の検査をしましょう。また、妊娠がわかったときも、必ず性病
3. 梅毒
妊婦が梅毒にかかっていると、生まれてくる子供が先天梅毒という病気にかかる恐れがあります。
先天梅毒の主な
黄疸 (皮膚が黄色くなる)- 低出生体重
紫斑 (あざ)肝脾腫 (肝臓や脾臓 が大きくなる)
また、生まれたときには特に症状がないのに、小学生ぐらいになった時に、眼や歯や耳に症状が出てくることがあります。
クラミジア感染と同じですが、子どもに感染がうつらないように、妊娠希望のある方は妊活前に性病の検査をしましょう。また、妊娠がわかったときも、必ず性病スクリーニング検査をしましょう。
4. 性器ヘルペス
母親に性器ヘルペスの症状が出ている時に出産すると、生まれてくる子供が新生児ヘルペスにかかることがあります。新生児ヘルペスは20-30%の確率で死に至る、きわめて危険な病気です。
そのため、お母さんに性器ヘルペスの症状が出ているときは、帝王切開で出産することが望ましいでしょう。
ただし、お母さんの性器ヘルペスが初めてかかったものなのか、再発なのかで違ってきます。性器ヘルペスに初めてかかった場合は出産時に50%近い確率で赤ちゃんにうつってしまいます。しかし、以前の性器ヘルペスが再発したときなら、赤ちゃんにうつる確率は数%です。そのため、出産前に性器ヘルペスが再発した場合は、お医者さんとよく相談して帝王切開をするかどうか決めてください。
症状がひどい場合は、アシクロビルという薬で治療する方法もあります。アシクロビルは性器ヘルペスの原因の
5. 母子感染から赤ちゃんを守るために、妊娠中の検査を念入りに
性病を子供にうつさないためには、妊娠中に性病にならないことと、もし性病になってしまっても早く見つけることに気を付けてください。
妊娠中は、不特定多数の相手や見知らぬ人と性交するのはやめましょう。妊娠中にもコンドームを使ってセイファー・セックス(より安全な性交)をしましょう。
もし妊娠中に性病にかかってしまってもできるだけ早く見つけられるように、症状がなくても性病の検査はしてください。女性の性病は無症状のことも多く、症状を自覚してから検査するのでは、見逃してしまう性病も多いです。
妊娠を考えている人は、生まれてくる子供のためを思って一度性病検査をしてみると良いかもしれません。性病にかかってしまっていても、治療した後に妊娠すれば赤ちゃんに影響が及ぶ可能性が低いです。もちろんHIVは治療しても影響が出る可能性はありますが、治療して妊娠することで影響してしまう確率は下がります。
妊娠中の検査で性病が見つかったとしても、治療するほうが赤ちゃんにとって望ましいです。