性病
性病はナイーブな話ですのでなかなか人に相談できない病気です。それでいて放っておいても治ることは期待できません。また、ともすれば不妊症の原因になります。 性病を起こす原因や治療法について考えていきましょう。
最終更新: 2023.02.28

もっと身近な性病への質問に答えます

性病で病院に行ったときに、忙しそうなお医者さんに質問をするのは意外に気が引けて難しいものです。診察室ではちょっと聞きにくい、それでも気になる性病の質問に答えます。

Q.性病になったら不妊になりますか?

A.性病と不妊症は関連しています。たとえばクラミジアに長期間感染してしまうと卵子の通り道である卵管が狭くなったり、子宮の機能が落ちてしまったりして不妊の原因になります。

そのため、不妊を防ぐためにも性病にならないことと、性病になったらできるだけ早く治療することが必要になります。

男性でも、性病は精子を作る機能を落とすことがあります。不妊になる夫婦の半分ほどは男性が原因です。不妊を防ぐためには男性も性病に十分気を付けてください。

Q.エイズは治らない病気ですか?

A.現在の最先端の医療でも、エイズを治すことは出来ません。しかし、体の中でエイズの原因となっているHIVをごく少量まで減らして、症状を進行させない事はできます。飲み薬は長期間、大抵の場合は一生飲まなくてはいけませんが、昔のようにエイズになったら死を待つしかないという状況ではなくなってきています。

Q.コンドームをつければ性病にはなりませんか?

A.コンドームを着けることで性病にかかるリスクは格段に下がります。しかし、ゼロにはなりません。コンドームでカバーできていない部位やオーラルセックスでうつってしまうことが原因として考えられます。完全ではなくても、自分と相手も守るためにコンドームは最大の手段となります。

Q.性病の検査に行ったらなにをされますか?

A.症状のある部位の観察と尿や血液の検査を行います。明らかにや分泌物がある場合は、膿や分泌物を採取して中に細菌がいないかを調べます。採取する際に陰部を触られることはあります。

また、膣や肛門のような奥行きがあって簡単には見えない部位に症状がある場合は、筒のような検査道具を入れて精密に見る検査をする場合があります。

Q.子宮頸がんのワクチンは打った方が良いの?

A.子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスHPV)とわかっています。ヒトパピローマウイルスに感染しないようにする目的で子宮頸がんワクチンが作られました。

日本では2013年からヒトパピローマウイルスのワクチンが定期接種となっていましたが、接種後にけいれんなどの重大な副反応を疑う症状の報告があったため、厚生労働省は積極的な予防接種を控えるという方針を取っています(2016年6月時点)。

世界的には子宮頸がんの予防接種を積極的に行っていくことが主流であり、世界保健機構(WHO)は日本に積極的なワクチン接種を再開するように促しています。

子宮頸がんになる人は年間9,000人ほどで、年間2,700人ほどの人が子宮頸がんで亡くなっています。

副反応があるかどうかはまだ確かではありません。その一方で、子宮頸がんで若くして亡くなる女性がいることは確かです。ワクチンの意義は大きいと考えられます。

Q.亀頭にぶつぶつがあります。大丈夫でしょうか?

A.亀頭にぶつぶつがある場合に気をつけなくてはならないのが、尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)です。尖圭コンジローマは数ヶ月でどんどん数が増えていき、最終的にはカリフラワーのような状態になります。数が増えないようでしたら、ファアダイスや真珠様陰茎小丘疹やタイソン腺という全く問題のないものの可能性が高いです。

Q.精液に血がまじります。原因は何でしょうか?

A.精液に血が混じることを血精液症と言います。原因は、性病のような感染症が主なものになりますが、うっ血腫瘍や結石、射精時の強いいきみでも血が混じることがあります。いずれにしても症状が続く場合は何らかの病気の可能性が高いので、泌尿器科などの医療機関にかかってください。

Q.風俗店に行ったのでエイズが心配です。

A.コンドームを着けない1回の性行為でHIVがうつる確率は、1%以下と考えられています。クラミジアが30%程度の確率でうつることに比べると非常に低いです。

コンドームを装着していれば感染する可能性はほとんどゼロです。

心配なら、保健所や医療機関で検査ができます。保健所は検査日が限られているなどの制約がありますが、匿名で無料で検査できます。詳しくは「性病は保健所と病院のどちらに行くべき?行かなくても治ることはある?」で説明しています。

なお、風俗店に限らず性行為にはコンドームを付けるようにしてください。

Q.包茎だと性病になりやすいですか?

A.包茎だから性病になるわけではありません。性病に対しては包茎ではない人と同じ注意をしていれば十分です。

ただし、包茎だと程度によっては不潔になりやすく、雑菌が繁殖する温床になってしまいます。皮がめくれにくい、特に全くめくれない、あるいはめくるとペニスが締め付けられて痛いという人は、一度医療機関にかかってみると良いかもしれません。

Q.性病は潜伏期間でもうつりますか?

A.潜伏期間とは、感染はしているけれど症状の出ない時期のことを言います。症状は出なくても感染している状態なので、感染はうつります。

代表的な性病の潜伏期間は以下のとおりです。

原因微生物

潜伏期間

淋菌

3-7日間

クラミジア

7-20日間

梅毒

10−90日間

HIV

10-40日間

Q.クラミジアにかかっていても出産できますか?

A.クラミジアにかかったまま出産すると生まれたての子供に感染がうつる恐れがあります。出産の前にお母さんがクラミジアを治療しておくことで、子供にうつることを防げます。

Q.性病を治療したら必ず治りますか?再発しますか?

A.性病の治療は100%ではありません。最近では抗生物質の効きにくい菌(耐性菌)の報告も増えており、耐性菌が原因の場合は効くはずの薬でも治らないことがあります。

治療しても症状が残っている場合は、違う薬を使うべきかもしれません。最初に薬を処方したお医者さんにもう一度相談してみることをおすすめします。

淋菌クラミジアなど、多くの性病は薬で完治してしまえば、また新しく感染しない限り再発しません。性器ヘルペスだけは例外で、薬でも原因のウイルスを完全にいなくすることができないので、繰り返し再発します。しかし再発したときの症状は軽く自然に治ることが多いです。



性病に関する他の詳細情報