かんぞうがん
肝臓がん
肝臓にできた悪性腫瘍のこと
1人の医師がチェック 71回の改訂 最終更新: 2022.10.17

肝臓がん以外の肝臓の腫瘍:肝血管腫、肝のうほうなどの解説

腫瘍は細胞や組織が増殖してできる塊のことです。腫瘍は体のどこにでもできる可能性があります。腫瘍の中で悪性のものは「がん」です。腫瘍の中には良性のものあります。ここでは肝臓にできる腫瘍について解説します。 

腫瘍には良性と悪性があります。悪性腫瘍はがんです。腫瘍を指摘されたからといってそれが肝臓がんであるかは詳しく調べてみないとわかりません。肝臓にできる腫瘍には肝血管腫のような良性腫瘍もあります。

肝臓にできる腫瘍には良性腫瘍もあれば悪性腫瘍もあります。肝臓に腫瘍ができたから必ず悪性腫瘍とは限りませんし、逆に良性腫瘍とも限りません。どちらの可能性もあります。まず良性腫瘍と悪性腫瘍の一般的な特徴を説明します。

  • 良性腫瘍の特徴

    • 大きくなるスピードが緩やか

    • 周囲の臓器を破壊することは少ない

    • 転移しない

  • 悪性腫瘍の特徴

    • 大きくなるスピードが速い

    • 周囲の組織を破壊することが多い

    • 進行すると転移する

悪性腫瘍には浸潤(しんじゅん)や転移をするという特徴があります。浸潤とは、周りの組織にがん細胞が入り込みながら広がっていくことです。

上の特徴は典型的な場合の特徴です。例外はあります。良性腫瘍か悪性腫瘍か見分けにくい場合もあります。良性腫瘍と診断されても経過観察を勧められることがあります。

肝臓にできる腫瘍の種類を示します。

  • 主な良性腫瘍

    • 肝血管腫(かんけっかんしゅ)

    • 肝嚢胞(かんのうほう) 

    • 肝細胞腺腫(かんさいぼうせんしゅ) 

    • 限局性結節性過形成(げんきょくせいけっせつせいかけいせい) 

  • 主な悪性腫瘍

    • 原発性肝がん 

      • 肝細胞がん 

      • 肝内胆管がん

      • 肝芽腫(かんがしゅ) 

      • 胆管嚢胞腺がん(たんかんのうほうせんがん) 

      • 混合型肝がん 

      • 肉腫

      • 未分化がん

    • 転移性肝がん

比較的よく見られる良性腫瘍には肝血管腫肝嚢胞があります(厳密には腫瘍ではないものも一緒に挙げています)。肝臓に発生する悪性腫瘍のほとんどは肝細胞がんと肝内胆管がんです。肝臓にがんが転移した場合を転移性肝がんといいます。転移性肝がんの原因で多いのは大腸がんです。大腸がんの肝臓への転移は手術で取り除くことも多いので重要です。

肝臓の良性腫瘍でよく知られているのは肝臓に血管の塊ができる肝血管腫などです。以下でそれぞれについて解説します。中にはまれな腫瘍も挙げています。まれな腫瘍はその性質が不明な点があります。良性腫瘍といわれても注意が必要な場合もあります。

肝血管腫は、肝臓にできる良性腫瘍では頻度が高く、女性に多い腫瘍です。検診や人間ドックのエコーで見つかることも珍しくはありません。血管腫は血管の塊です。肝血管腫は他の臓器に浸潤したり転移することはありません。大きさや症状から治療を検討することがあります。

参考:肝海綿状血管腫の画像診断ガイドライン
 

中身が水の袋状の構造を嚢胞(のうほう)と言います。肝嚢胞は肝臓に嚢胞ができたものです。浸潤や転移はしません。肝嚢胞は基本的には治療は必要とせず経過観察をします。

まれに嚢胞がかなり大きくなり腹痛などの症状がでることがあります。また、まれに肝嚢胞の中に細菌が入り込み感染を起こすことがあります。感染が起きると発熱したりします。

症状がある肝嚢胞には治療をします。治療は肝嚢胞の中身を抜き、再び水が溜まらないように薬(エタノール、ミノサイクリン塩酸塩など)を注入することがあります。治療で手術を選択することはかなりまれです。治療をしても肝嚢胞が再発することがあります。

参考:日本消化器病学会誌.2000;97:342-346
 

肝血管筋脂肪腫は肝臓にできる良性腫瘍です。腫瘍が血管、筋肉、脂肪で構成されるので血管筋脂肪腫といいます。肝臓以外には腎臓にできることもあります。

良性腫瘍なので治療を必要とはせずに経過観察されることが多いです。しかし肝血管筋脂肪腫は肝臓がんとの区別が難しいことがあります。画像診断や生検で区別ができないときは手術が検討されることもあります。

参考:J Gastrointest Surg. 2007;11:452-7.

肝細胞腺腫は肝臓にできる良性腫瘍です。男性より女性に多く、また経口避妊薬ステロイドの使用との関連が示唆されています。正常な肝臓に発生して単発のことが多いとされます。大きくなった場合には出血して腹痛が現れることがあります。肝細胞がんと区別しにくいことがあります。

参考:肝臓.2015;56:584-595
 

過形成とは細胞の数が増加することです。限局結節性過形成は、肝臓の限られた範囲で過形成が起きた状態です。大きくなると過形成の真ん中が瘢痕化(はんこんか)するなどの特徴があります。瘢痕化は線維化などがおきて本来の組織に置き換わることです。

肝細胞がんと区別が難しいことがあります。

参考:肝臓.2006;47:433-40
 

悪性腫瘍はまずは肝臓に由来したものかどうかで区別します。肝臓に由来したものを原発性肝がんといいます。

原発性肝がんにはいくつか種類がありますが肝細胞がん、肝内胆管がん肝芽腫でその99%を占めます。特に肝細胞がんは特に多く原発性肝がんのうち約94%を占めます。肝臓がんというと肝細胞がんを指すことが多いです。

その他の悪性腫瘍はかなりまれです。

肝臓には肝細胞という細胞があります。肝細胞はたんぱく質合成、炭水化物・脂質の代謝、解毒作用など様々な役割を担っています。肝細胞がんは肝細胞ががん化したものです。肝細胞がんの主な原因は肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝炎や肝硬変です。

肝臓には胆管という胆汁が流れる管が張り巡らされています。胆汁が流れる管を胆道ということもあります。肝内胆管がんは胆管の上皮から発生するがんです。肝細胞ががん化する肝細胞がんとはがん化する細胞が異なります。肝内胆管がん胆道がんの一部に分類されます。

肝芽腫は2歳未満に発生することが多い、肝臓にできる悪性腫瘍です。男児に多い傾向にあります。肝芽腫はお腹に硬いこぶとして触れることができたり、ほかの先天形態異常を伴うことがあります。血液検査では、AFPという腫瘍マーカーが増加することがあります。CT検査やMRI検査で診断します。抗がん剤と手術を組み合わせて治療します。

転移性肝がんは他の臓器に発生したがんが肝臓に転移して発見されたものです。大腸がんは肝臓に転移することが多いです。大腸がんの肝転移は転移したがんを切除することで根治が可能と考えられています。他のがんでも状況を見て肝臓に転移した病変を切除することが検討されることがあります。

がんの大きな特徴のひとつが転移を起こすことです。転移とは、がんが元あった場所とは違うところにも移動して増殖することです。元あった場所のがんを原発巣(げんぱつそう)または原発腫瘍と言います。転移によってできたがんを転移巣(てんいそう)と言います。転移巣での特徴は原発巣の特徴を引き継いでいます。

つまり転移性肝がんの原因が大腸がんであった場合、抗がん剤は肝臓がんのものではなく大腸がんに効果のあるものを選択します。これは治療方針を考える上で非常に重要です。当たり前と感じる人もいると思いますが憶えておいてください。

肝臓に腫瘍があると検査でその腫瘍が何であるかを調べます。使われる検査の例を挙げます。

  • CT検査(ダイナミックCT検査) 

  • MRI検査(造影MRI検査) 

  • 超音波検査(造影超音波検査) 

  • 生検

  • 腫瘍マーカー

    • AFP(アルファフェトプロテイン) 

    • AFPレクチン分画(AFP-L3分画) 

    • PIVKA-II(ピブカ・ツー)

CT検査では以下のことに医師は注目しています。

  • 肝臓にある腫瘍に悪性の可能性があるのか

  • 肝臓に悪性を疑う腫瘍があった場合

    • 腫瘍の見た目の特徴

    • 個数 

    • 大きさ

    • 血管との関係

  • 肝臓以外への転移の有無

肝臓にできる悪性腫瘍の中でもっとも多いのは肝細胞がんです。

肝細胞がんはCT検査の一つであるダイナミックCT検査をすることで特徴的な画像を見ることができます。ダイナミックCT検査をすることで肝臓の腫瘍が肝細胞がんかどうかの判断ができます。肝臓の腫瘍の中にはダイナミックCTでは診断が難しいものもあります。そのときにはMRI検査や超音波検査(造影超音波検査)、さらには生検を追加して総合的に評価します。

肝細胞がん以外に肝臓にできる悪性腫瘍は肝内胆管がん転移性肝がんなどがあります。典型的な場合ではCT検査で肝細胞がんと特徴が異なります。

MRI検査は、磁気を利用する画像検査です。放射線を使うことはありません。体にペースメーカーなどの金属製品を植え込んでいる人はMRI検査を使えない場合があるので、検査の前に担当医などに伝えてください。

CT検査でわかりづらい肝細胞がんの診断にはMRI検査が有効なことがあります。

肝細胞がんの中には血流が多いものもあります。CT検査のなかでもダイナミックCT検査は血流の豊富さを利用した検査です。血流の豊富な肝細胞がんはダイナミックCT検査で特徴的な画像を確認することができます。

一方で肝細胞がんの中には血流の乏しいタイプのものも存在します。血流の乏しいタイプの肝細胞がんにはMRI検査が診断の役に立つことがあります。

超音波検査(エコー検査)は肝臓腫瘍の診断に重要です。超音波検査は放射線を使う検査ではないので放射線の影響の心配はいりません。

超音波を体に当てると、超音波の跳ね返りから肝臓の形や肝臓腫瘍の有無、血管の走り方などがわかります。超音波検査は手術中や手術後にも使います。肝臓の血流が問題ないかなどを知ることができます。肝臓腫瘍の種類も推測できます。

超音波検査からは多くの情報を得ることができます。さらにその診断能力を高めるために造影剤という薬品を注射で投与して超音波検査をする場合があります。

造影超音波検査の原理について解説します。造影超音波検査は通常の超音波検査では良性と悪性の区別がつかない場合に検討されます。がん細胞は、栄養や酸素を得るために自分で血管をつくりだす特徴があります。超音波検査ではがん細胞の部分は血流が増えている様子が観察できます。造影剤を使って超音波検査をすると血流が増えた様子がさらによく観察できるようになります。

がん細胞には正常な肝臓の細胞にいるクッパー細胞がいません。クッパー細胞は異物を処理する細胞です。造影剤を注射すると肝臓でマイクロバブルというものが発生します。マイクロバブルは異物なのでクッパー細胞に食べられます。しかしがん細胞にはクッパー細胞がないのでその部分がはっきりとした絵として描出されます。

造影超音波検査では血流の増加した様子とクッパー細胞が観察できないことの2つから、良性か悪性かの判断が難しい病変の区別をすることができます。

生検は病変の一部を取り出してそれを詳しくみる検査のことです。生検は「がん」の確定診断においてよく用いられます。例えば胃がんと疑われる部分を内視鏡で観察して一部を取り出します。取り出したものを顕微鏡で確認することでそれが本当にがんかどうかの診断をします。

肝臓がんでは生検は必ず行わなければならない検査ではありません。MRI検査やCT検査などの画像検査で肝臓がんらしい特徴が確認できれば肝臓がんの診断となります。生検は肝臓に針を刺す必要があり負担にもなります。肝臓がんがかなり疑わしい場合には体に負担をかけないで治療に進むことは理にかなっているとも言えます。

生検が必要になるのは、画像検査で肝臓がんの診断が難しいときなどです。

腫瘍マーカーは血液中の微量の物質です。がんがあると腫瘍マーカーの量が多くなります。

肝臓がんには腫瘍マーカーが3つあります。AFP、AFPレクチン分画、PIVKA-IIです。患者さんの状態をみて腫瘍マーカーを使い分けます。

腫瘍マーカーは肝臓がんの早期発見には適していません。腫瘍マーカーだけで診断することもできません。

AFPは胎児が作るタンパク質です。出生後はAFPの血液中での濃度は低下します。肝臓がんはAFPを産生することがあります。AFPは慢性肝炎や肝硬変でも血液中の濃度が上昇することが知られています。つまりAFPが上昇したからといって肝臓がんであるとは判断できないことには注意が必要です。

AFPは肝臓がんで数値が高くなることが知られています。しかしながら肝炎や肝硬変でも数値が高くなることがあります。つまりAFPが高いからといって肝臓がんであるとは限りません。

AFPはさらに細かく分けることができます。AFP-L1、AFP-L2、AFP-L3の3つです。この中でもAFP-L3が肝臓がんと関係が強いことが知られています。

PIVKA-IIは肝臓で作られる血液を固める物質の一つです。肝臓がんでPIVKA-IIが上昇する理由についてはまだ不明な点がありますが、肝臓がんの腫瘍マーカーとして使われています。肝臓がん以外でもビタミンKが体の中に不足していたりワーファリンという薬を飲んでいると上昇することがあります。

肝臓に腫瘍があり腫瘍マーカーも高いと医師から言われると、それだけで「自分はがんなのか?」と強い疑いを持ってしまうと思います。例えその後の検査で「がん」ではなかったと言われても不安は残ると思います。

しかし、腫瘍マーカーは絶対ではありません。「がん」がないのに腫瘍マーカーが上昇することもあります。これを偽陽性(ぎようせい)といいます。逆に腫瘍マーカーが上昇していなくて「がん」が潜んでいることもあります。これを偽陰性(ぎいんせい)といいます。

肝臓がんの腫瘍マーカーは肝炎や肝硬変の状態でも上昇します。腫瘍マーカーの数値は「がん」の状態を必ずしも反映しません。その後の検査や腫瘍マーカーについて医師からの説明をよく聞いてください。

肝臓腫瘍の診断は大きさだけではすることができません。大きさが3cmの腫瘍では多くの病気に可能性が残ります。

  • 主な良性腫瘍

    • 肝血管腫(かんけっかんしゅ)

    • 肝嚢胞(かんのうほう) 

    • 肝細胞腺腫(かんさいぼうせんしゅ) 

    • 限局性結節性過形成(げんきょくせいけっせつせいかけいせい) 

  • 主な悪性腫瘍

    • 原発性肝臓がん 

      • 肝細胞がん 

      • 肝内胆管がん

      • 肝芽腫(かんがしゅ) 

      • 胆管嚢胞腺がん(たんかんのうほうせんがん) 

      • 混合型肝がん 

      • 肉腫

      • 未分化がん

    • 転移性肝がん

肝臓に3cm大の腫瘍が疑われると言われた場合には検査をして腫瘍が何であるかを診断する必要があります。良性腫瘍で頻度が高いのは肝血管腫肝嚢胞、悪性腫瘍では肝細胞がんの頻度が高いです。

肝臓の腫瘍の原因が明らかになっているものは多くはありません。原因がわかっているまたは考えられているものについて説明します。

肝細胞がんは肝臓がんの大部分を占めます。

肝細胞がんの多くは肝炎や肝硬変を背景に発生します。B型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスの持続感染は肝炎や肝硬変の原因になります。ウイルスのほかにも肝炎や肝硬変はアルコールの多飲によるアルコール性肝炎や食事などの影響による非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)として起こることがあります。

肝臓に炎症が起こり、炎症が続いて進行すると肝臓の線維化が起きて固くなった肝硬変の状態になります。炎症が長期化すると、肝臓の破壊と再生が何度も起きます。そのぶんだけ肝細胞の遺伝子に傷がつき、肝臓がんが発生しやすくなると考えられています。

他に肝細胞がんの発生する危険性を高めるものとしては喫煙、肥満糖尿病、アフラトキシンなどが知られています。

参考:

第19回全国原発性肝癌追跡調査報告肝炎白書

肝内胆管がんを発生する患者さんは肝細胞がんを発生する人に比べてその数が少ないです。原因に関してはまだ不明な部分が多いです。

肝内胆管がんは組織的には胆管の上皮から発生するので、胆道がんに分類されます。胆道がんの発生には以下の病気が関係していると言われています。

共通しているのは胆道に慢性的な炎症が起きる病気ということです。胆石症肝内結石を予防的に治療することによって胆道がんの発生が低下するかは不明とされています。

IARC(国際がん研究機関)は他に1,2-ジクロロプロパンという化学物質が胆道がんのリスクであると指摘しています。

参照:

IARC(国際がん研究機関)厚生労働省

肝臓の腫瘍は破裂することが報告されています。破裂が報告されているのは肝臓がん(肝細胞がん)、肝内胆管がん肝血管腫(かんけっかんしゅ)、肝血管筋脂肪腫(かんけっかんきんしぼうしゅ)などです。

肝臓がん(肝細胞がん)は破裂することがあります。

肝臓がんは血管が多いので破裂するとお腹の中で大量出血をしてしまい命に危険が及びます。ただし肝臓がんが破裂することは多いことではありません。「第19回 全国原発性肝癌追調査報告」によると肝臓がんが診断された人のうち腹腔内破裂した割合は0.6%でした。肝臓がんで死亡した人のうち破裂が死因となった人は3.9%でした。肝細胞がんが破裂することは多くはありませんが、注意は必要です。

肝内胆管がんが破裂することはまれです。

肝内胆管がんは肝臓がんの中では肝細胞がんに次いで多い種類です。「第19回 全国原発性肝癌追調査報告」によと肝内胆管がんのうち腹腔内破裂する割合は0.3%、破裂が死因となった人はいませんでした。

肝臓がんの腫瘍といってもその種類は様々です。このためにその種類、その状態に合った治療法を選択します。例えば良性腫瘍であれば治療を必要としないものがほとんでです。治療が必要なのは肝臓がんです。肝臓がんの中でもその9割以上が肝細胞がん、肝内胆管がんのどちらかです。

以下では肝細胞がんと肝内胆管がんの治療について解説します。詳細はそれぞれのページで解説しているので「肝臓がんとは?」や「肝内胆管がん(胆管細胞がん)とは?」も参考にしてください。

肝細胞がんは悪性腫瘍であり他の臓器に浸潤したり転移したりする可能性があります。よほど肝臓の機能が低下している場合以外は手術などの治療を考えます。

肝細胞がんの治療の例を挙げます。

  • 手術

    • 肝切除

    • 肝移植

  • 焼灼療法(しょうしゃくりょうほう)

    • RFA(ラジオ波焼灼療法)

  • 塞栓療法(そくせんりょうほう)

    • TAE(肝動脈塞栓療法)

    • TACE(肝動脈化学塞栓療法) 

  • 抗がん剤治療 

    • 分子標的薬(ソラフェニブ)

    • 肝動注化学療法

肝細胞がんの治療は肝臓の機能、病変の数、大きさ、ステージを参考にして決めます。以下の図が肝細胞がんの治療法の決め方の目安になります。

肝臓がんの治療チャート

肝細胞がんの治療法の選択やそれぞれの治療は複雑で特徴が大きく異なります。肝細胞がんの治療を決める上で最も大事なものは肝臓の機能です。

以下、肝臓とがんの状態の例とともに、それぞれで推奨される治療の例を挙げます。それぞれの治療法の詳細は「肝臓がんの治療はどう選ぶ?」でも解説しています。

  • 肝障害度がAまたはB

  • 腫瘍が1個

上2点に当てはまる場合はまず手術が勧めらます。腫瘍の大きさが3cm以内であれば焼灼療法でも治療が可能です。

  • 肝障害度(またはChild-Pugh分類)がAまたはB

  • 腫瘍が2個か3個

  • 腫瘍の大きさが3cm以内

上の3点とも満たしていれば焼灼療法も推奨されます。手術と焼灼療法のどちらが適しているかは腫瘍の位置などを考慮にいれて最適なものを選択します。焼灼療法より塞栓療法が適していると思われる場合もあります。

  • 肝障害度(またはChild-Pugh分類)がAまたはB

  • 腫瘍が2個か3個

  • 腫瘍の大きさが3cmを超える

上の3点を満たす時は手術または塞栓療法が推奨されます。施設によっては3cmを超える腫瘍に焼灼療法を考慮する場合もあります。

  • 肝障害度(またはChild-Pugh分類)がAまたはB

  • 腫瘍が4個以上

腫瘍が4個以上ある場合は塞栓療法がまず選択肢に挙がります。

他には分子標的薬という抗がん剤治療が選ばれることがあります。

  • 肝障害度(またはChild-Pugh分類)がC

  • 腫瘍が3個以内

  • 腫瘍が3cm以内

肝障害度Cというのは肝臓の機能がかなり低下している状態です。肝臓移植などが検討されますが、肝臓移植は簡単にできる治療ではないために動注化学療法などが選ばれることもあります。

  • 肝障害度(またはChild-Pugh分類)がC

  • 腫瘍が4個以上

肝臓の機能がかなり低下しておりその上腫瘍も複数個ある難しい状況です。施設によっては肝移植を考慮する場合があります。他には肝動注療法などで治療することもあります。緩和ケアが主体になることも多いです。

肝内胆管がんは原発性肝がんの中で肝細胞がんに次いで多いです。

肝内胆管がんの治療は手術が主な治療法になります。肝内胆管がんは治療が難しいがんの一つです。現在のところ手術が最も効果があると考えられています。遠隔転移がある場合は抗がん剤で治療します。遠隔転移とは領域リンパ節以外のリンパ節に転移があったり、他の臓器に転移をしていることです。肝内胆管がんは胆管を閉塞して黄疸などの症状をきっかけに発見されることもあります。黄疸などがあるときは黄疸の状態を改善する減黄術をまず行います。

  • 手術  

  • 抗がん剤治療

    • GC療法

    • S-1療法 

  • 減黄術

    • 内視鏡を使った減黄術:ENBD 

    • 体の外から針をさす減黄術:PTBD

肝内胆管がんは肝臓の中になる肝内胆管の上皮から発生したがんです。がんを取り除くには肝臓を切り取る必要があります。肝臓を切り取る手術を肝切除術と言います。

肝切除術にはいくつか種類があります。肝内胆管がんでは肝臓を半分以上切除する手術が選ばれることが多いです。

抗がん剤治療には、GC療法とS-1療法に効果が確認されています。GC療法はシスプラチンとゲムシタビンという薬を組み合わせて治療します。肝内胆管がんの抗がん剤治療の目的は余命を延長することです。抗がん剤治療でがんを根治することは難しいです。

肝内胆管がんができる場所によっては黄疸がでることがあります。黄疸は血液中のビリルビン濃度が上昇して皮膚や眼球結膜(白眼の部分)が黄色く染まることです。肝内胆管がんが大きくなり胆管を閉塞することが原因です。黄疸が症状として現れている場合は、黄疸を改善することをまず考えます。閉塞した胆管に管を通したり、閉塞している胆管の手前の胆管に向けて体の外から針を刺したりします。

参考:第19回 全国原発性肝癌追調査報告